MLBの2012シーズンが28日、開幕し、東京ドームでオークランド・アスレチックスとシアトル・マリナーズのオープニングゲームが行われた。マリナーズのイチローは「3番・ライト」でスタメン出場し、5打数4安打1打点の大当たり。延長戦にもつれ込んだ試合は3−1でマリナーズが勝利し、白星発進となった。なお開幕メジャーを勝ち取った川崎宗則は出番がなかった。
 やはりイチローは千両役者だった。メジャー12年目で初となる日本での公式戦。本人も待ちに待った晴れ舞台を自らのバットで盛り上げた。

 まずは初回、2死無走者から無数のフラッシュのなか、左バッターボックスへ。フルカウントからの6球目をたたきつけると打球は高く弾んでアスレチックス先発のブランドン・マッカーシーの頭上を越える。ショートのクリフ・ペリントンがボールを拾い上げた時には、もうイチローは1塁を駆け抜けていた。内野安打でスタンドの“イチメーター”に早速“1”がカウントされる。

 続く第2打席は、4回、前を打つダスティン・アックリーが先制のソロホームランを放った直後に回ってきた。まだスタンドのどよめきが収まらない間に、三遊間へ流すと衰え知らずの俊足を飛ばす。ショートのペリントンもムダのないスローイングを見せたが、一瞬早くイチローが一塁に到達した。

 第3打席は1−1の同点で迎えた6回だ。1死一塁で打席に入ると、2ボール1ストライクのバッティングカウントから低めのボールにうまく反応する。きれいなセンター返しで3打数3安打。ドームの満員の観客はイチローのヒットショーに酔いしれた。

 試合は4回に両チームが1点ずつを取り合った後、お互いの投手陣が好投し、1−1のタイスコアが続く。イチローも9回に先頭打者として、この日4回目のアットバットを迎えるが、アスレチックスのセットアッパー、グラント・バルフォアの前にいい当たりのレフトライナーに倒れた。開幕戦から試合は延長戦に突入した。

 均衡が破れたのは11回だ。1死三塁のチャンスから、先制ソロを打っているアックリーがセンター前に運び、ついに1点を勝ち越す。ここで打順は3番のイチローへ。アックリーが二盗を決めて、得点圏に進むと、1ボール2ストライクと追い込まれながら、アウトコースに沈む変化球にバットを合わせる。打球はセンター前に抜け、貴重なダメ押しタイムリーとなった。

 昨季は184安打とシーズン200安打の連続記録が10年でストップ。打率もプロで1軍に定着してから初めて3割を割った。巻き返しの1年にエリック・ウェッジ監督から与えられた役割はポイントゲッターの3番だった。そのお披露目のゲームでイチローは安打に加え、打点を記録し、しっかりチームの勝利に貢献した。慣れ親しんだ「僕の国」で新しいイチローが最高のスタートを切った。