「大魔神」ならぬ「タジマジン」である。今シーズン途中から中日のクローザーを任せられている田島慎二が安定したピッチングを続けている。

 

 6月15日現在、33試合に登板し、2勝1敗、14ホールド、3セーブ、防御率0.56。中日のブルペンを支えている。

 

 プロ入り5年目の27歳。1年目からセットアッパーとして活躍し、4年連続で40試合以上(1年目56試合、2年目50試合、3年目42試合、4年目64試合)に登板している。

 

 高校2年の途中までキャッチャーをやっていただけあって地肩は強い。使い減りしない肩が彼の最大の売り物だろう。

 

 サイドスローからストレートとスプリット、スライダー、シュートを投げ分ける。左バッターにも強いのはシンカー気味に変化するスプリットを持っているからだ。

 

 今季、さらに成長した理由はどこにあるのか。それはコントロールにあると見る。昔から高めには浮かないピッチャーだったが、今季はほとんど失投を見かけない。

 

 それが証拠に32回3分の1イニング投げながら、長打は4月3日の東京ヤクルト戦で山田哲人に打たれた二塁打1本だけなのだ。

 

 6回を3失点以内なら合格とされる先発ピッチャーと違って、セットアッパーは1球の失投も許されない。たった1球のミスが命取りとなる過酷なポジションだ。

 

 カープのクローザー中崎翔太も健闘しているが、1イニングに何球かヒヤッとするボールがある。運よくミスショットに救われることもあれば、取り返しのつかない結果を生むこともある。

 

 キープ・ダウン(低めに集める)こそはリリーフ・ピッチャーのイロハのイだということをタジマジンは改めて教えてくれる。

 

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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