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(写真:男子シングルスで優勝を争ったシュ・シン<左>とファン・ジェンドン)

 19日、国際卓球連盟(ITTF)ワールドツアースーパーシリーズのラオックスジャパンオープン荻村杯最終目が東京体育館で行われた。男女シングルスは中国勢対決。男子はITTF世界ランキング2位のファン・ジェンドンが同3位のシュ・シンを4-1で下し、女子はITTF世界ランキング1位のリウ・シウェンが同2位のディン・ニンを4-2で破った。男子ダブルスはマ・ロン&シュ・シン組、女子ダブルスはディン・ニン&リ・シャオシア組が優勝。4種目全てを中国勢が制した。

 

 ITTFワールドツアーにおいて、最上位の格付けのスーパーシリーズである荻村杯。リオデジャネイロ五輪前哨戦とも位置付けられる大会で躍動したのは、やはり中国勢だった。

 

 “BIG4”が順当にベスト4に残った男子シングルス。シュ・シンがITTF世界ランキング1位のマ・ロンを、ファン・ジェンドンはロンドン五輪金メダリストのチャン・ジィカを準決勝で破って決勝へとコマを進めた。

 

IMG_9462 卓球王国の次世代エースと称される19歳のファン・ジェンドンと、元世界ランキング1位で昨年の荻村杯2冠のシュ・シン。試合前までの両者の対戦成績はファン・ジェンドンの6勝5敗とほぼ五分だった。第1ゲームから競った展開となった。

 

 8-8からファン・ジェンドンがフォアハンドのストレートを叩き込んだ。時速74キロの強打で抜け出すと、このゲームは11-9で先取した。勢いに乗ったファン・ジェンドンは続く第2ゲームも11-5で取った。

 

IMG_9489 第3ゲームはシュ・シンが取り返すと、ファン・ジェンドンは第4ゲームを11-7で突き放す。第5ゲームは8-7とシュ・シンがリードしたが、「次のプレーに向けてプレッシャーを感じた」という。ファン・ジェンドンに逆転を許すと「焦る気持ちがあった」と盛り返すことができなかった。

 

 終わってみればゲームカウント4-1で、ファン・ジェンドンが大会初優勝。シュ・シンの連覇を阻んだ。「今日は自分のプレーができた。困難があっても勝ちたいという信念はぶれなかった」とファン・ジェンドン。フォア、バック両面で強打を放ち、シュ・シンに打ち勝った。

 

 リオデジャネイロ五輪では補欠に回るファン・ジェンドン、シュ・シンもシングルスの出場はなく団体戦メンバー。他国ならエースクラスで、金メダル候補となり得る2人が後ろに回る層の厚さだ。

 

IMG_9509 女子は世界ランキング1、2位が順当にファイナルへと進んだ。小さい時から一緒に練習してきたというリウ・シウェンとディン・ニン。「友人であり、ライバル」。互いをよく知る2人は第1ゲームから白熱した試合を見せる。デュースの末、19-17でディン・ニンが先取する。

 

 続く第2ゲームはリウ・シウェンが世界ランキング1位の意地を見せる。3-7から8連続ポイントを取って11-7で奪い返した。リウ・シウェン、ディン・ニンは前陣でフォア、バック両面のテンポの速い強打を放つスキのない卓球を披露する。第3ゲームはリウ・シウェン、第4ゲームはディン・ニンが取った。

 

IMG_9551 第5ゲームは点の取り合いの末、12-10でリウ・シウェンが競り勝った。リウ・シウェンの強烈なドライブがディン・ニンのボディを襲い、打ち返せない場面も目立つ。10-7とリウ・シウェンがチャンピオンシップポイントを掴むと、ディン・ニンの返球が台をオーバー。リウ・シウェンが3月のカタールオープンに続き、スーパーシリーズ2勝目を挙げた。

 

 リオ五輪では日本にとって最大のライバルとなる中国。団体戦メンバーのリウ・シウェンは「日本との対戦は楽しみ」と余裕を感じさせた。シングルス、団体戦両方に出場するディン・ニンは「日本は非常に強い」と口にしたが、まだまだ両国との力の差は小さくない。越えるべき壁は厚い。

 

 今大会は男女シングルスの最高位は水谷隼(becon.LAB)と早田ひな(希望が丘高)のベスト8。日本開催で最終日に日本人選手不在は一抹の寂しさを覚える。リオ五輪までワールドツアーは韓国オープンとピョンヤンオープンの2試合。4年に1度の大舞台へ残り2カ月を切った。卓球NIPPONの戦いは続く。

 

(文・写真/杉浦泰介)