今季、東北楽天からシアトル・マリナーズにFA移籍した岩隈久志が21日、本拠地でのシカゴ・ホワイトソックス戦でメジャー初登板を果たした。1−6とビハインドの6回、3番手でマウンドに上がった岩隈は9回まで投げきり、4回1安打1失点、2奪三振1四球の内容だった。試合は3−7でマリナーズは敗れた。
 日本での開幕から3週間、メジャーリーグの開幕ロースターで、30球団でただひとり出番のなかった男がようやくマウンドに上がった。
 当初は先発ローテーションの一角として期待された岩隈だが、オープン戦で結果を残せず、中継ぎに降格。ブルペンに入るも、出場機会がないまま、14試合が過ぎていた。

 この日は先発のへクター・ノエシが2回途中でKOされたことによる、いわば敗戦処理での登場。ただ、巡ってきた機会で持ち味を充分に発揮した。最初の打者をわずか2球でキャッチャーフライに打ち取ると、アレクセイ・ラミレス、ダヤン・ビシエドをいずれもフォークボールで空振り三振にしとめる。

 低めにボールを集め、失投と言えるのは8回、アダム・ダンに投じた甘いストレートの1球のみ。これをライトスタンドに運ばれ、1点を失ったが、ヒットは他に許さなかった。メジャー移籍後、不安視された制球も、投じた45球中32球がストライクと安定感があった。

 楽天時代の2008年には21勝をあげ、09年のWBCで活躍した日本を代表する右腕だけに、いつ投げるか分からない現在の立場は不本意だろう。先発の座を勝ち取るための逆襲がここから始まる。