25日、2016明治安田生命J1リーグファーストステージ最終節が各地で行われた。首位の鹿島アントラーズがホームで18位のアビスパ福岡を2-0で下し、ステージ優勝を決めた。鹿島は前半27分にDF山本脩斗が右CKからヘッドで合わせて先制する。37分にはFW土居聖真が決めてリードを広げた。このままスコアは動かずに鹿島がステージ優勝を決めた。

 

 09年以来の年間王者への挑戦権獲得(カシマ)

鹿島アントラーズ 20 アビスパ福岡

【得点】

[鹿]  山本脩斗(27分)、土居聖真(37分)

 

 ステージ優勝がかかった大一番でも、落ち着いて試合を進める――。常勝と言われていた頃の鹿島が戻ってきたようなゲーム運びだった。2位・川崎フロンターレとの勝ち点差はわずかに1。そのプレッシャーをものともしなかった。

 

 前半27分、右CKを獲得するとキッカーのMF柴崎岳がゴール中央に鋭く落とすボールを供給した。これにペナルティーアーク付近から走りこんできた山本が頭で合わせて先制する。重圧のかかる試合でも、セットプレーで得点をもぎ取れる強かった時の鹿島を思い出させる。

 

 その10分後、鹿島は相手の縦パスを絡めとると、素早く前線へボールを送る。右サイドでボールを受けたFW金崎夢生がマイナスのクロスを入れると、土居が冷静に右足インサイドで合わせた。GKの位置を見極めて放ったコントロールショットはゆっくりとゴール左へ吸い込まれ、早くもリードは2点に広がった。

 

 後半に入ると、鹿島のゴールチャンスは減るが相手にもチャンスを与えない。鹿島はプレスをかけてくる相手をトラップや反転でいなす。さらにはボールを下げたり、流したり、逆サイドに振って的を絞らせず着々と時計の針を進める試合巧者ぶりをいかんなく発揮した。

 

 試合終盤には既にチームを去ることが決まっているFWジネイ、DF青木剛を投入する余裕を見せつつ無失点でゲームを終わらせた。

 

 昨年のナビスコカップに続き、チームをステージ制覇に導いた鹿島の石井正忠監督は「今日は絶対に勝たないといけなかった。選手が90分戦ってくれた。監督どうこうでなく、選手が素晴らしいことに尽きる」と選手の労を笑顔でねぎらった。

 

 キャプテンとしてチームを牽引したMF小笠原満男は「スタッフ、選手、サポーターで掴み取った(ステージ)優勝。非常に素晴らしいが、まだシーズンは続く。セカンドステージも勝ちにいく」と喜びを噛みしめつつも、早くもセカンドステージに目を向けていた。

 

 鹿島はセットプレーで先制点をあげると、時計の針の進め方はいやらしいほど巧かった。Jクラブ最多の17冠を誇る常勝軍団が完全復活か。このままセカンドステージでも好調を維持してJリーグを盛り上げてほしい。

 

(文/大木雄貴)