30日、プロ野球の阪神対中日戦が甲子園球場で行われ、阪神の福留孝介がサイクルヒットを達成した。福留は中日時代の2003年6月8日の広島戦以来2度目のサイクルヒット。NPBでの複数回達成はロバート・ローズ、藤村富美男、松永浩美に次いで4人目となった。福留のホームランで先制した阪神は北條史也のタイムリー、高山俊に一発が飛び出すなど5回まで5点をリード。6回表に1点を返されたものの、その裏に福留の適時三塁打で突き放した。先発のメッセンジャーは7回2失点の好投。阪神が中日を8-2で下した。

 

 福留、4安打5打点の大活躍(阪神8勝9敗、甲子園)

中日   2 = 000|001|100

阪神   8 = 010|133|00×

勝利投手 メッセンジャー(9勝6敗)

敗戦投手 吉見(4勝4敗)

本塁打 (中)ビシエド21号ソロ

     (阪)福留5号ソロ、高山3号ソロ

 

「これだけのお客さんの前で打てたので最高の気分です」。6月に日米通算2000安打を記録した福留が再び快挙を達成した。

 

 4番ライトでスタメン出場した福留は、0-0で迎えた2回裏に第1打席が回ってきた。中日の先発は吉見一起。福留は1ボールからの2球目、低めの変化球を振り抜く。ライトスタンドへ叩き込み、阪神に先制点をもたらした。

 

 4回裏の第2打席はヒットで出塁。その後、得点圏に進んだ福留は北條のライト前で生還した。5回裏の第3打席は1死二塁の場面。福留は吉見のストレートを弾き返すと、打球は前進守備のライトの頭上を越えた。ボールが転々とする間に三塁を陥れる。福留は5番・原口文仁のセンター前ヒットで5点目のホームを踏んだ。

 

 あと二塁打でサイクルヒットという状況で巡ってきた第4打席。福留は最初のチャンスで決めた。6回裏二死満塁、2番手・山井大介と対峙した。甘く入った変化球をレフトへ運ぶ。飛びついたレフトのグラブも届かず、打球はフェンスへと転がる。福留は悠々二塁へ。走者一掃のツーベースで5打点目を挙げた。39歳のヒーローは「球場全体の雰囲気がすごかった。抜けてくれてよかった」と振り返った。

 

 NPB史上64人目(69度目)のサイクルヒット。自身としては13年ぶりの達成だ。さらに39歳3カ月でのサイクルヒットは、83年の山本浩二の36歳6カ月を抜いて史上最年長記録となった。福留の4安打5打点の大活躍で阪神は中日と並ぶ4位に浮上。3位・横浜DeNAとの差は6ゲームあるが、4年連続のクライマックスシリーズ進出をまだ諦めてはいない。逆襲の夏へ、虎の背番号8が牽引する。

 

(文/杉浦泰介)