20日、東京・有明コロシアムでbjリーグ2011−12ファイナルが行われ、琉球ゴールデンキングスが浜松・三河フェニックスを下し、3季ぶり、2度目の優勝を決めた。MVPには沖縄のアンソニー・マクヘンリーが選ばれた。また、3位決定戦では横浜ビー・コルセアーズが京都ハンナリーズを下した。
(写真:胴上げされる沖縄・桶谷HC)

◇ファイナル
  MVP・マクヘンリー、最多得点で優勝貢献
琉球ゴールデンキングス 89−73 浜松・三河フェニックス
【第1Q】20-24【第2Q】19-6【第3Q】18-24【第4Q】32-19
 沖縄が浜松との頂上決戦を制した。東西のカンファレンスで、ともにレギュラーシーズンを1位で終えている。さらに守りからの速い攻めを売りにしているところも似ている。第1Qは攻守が目まぐるしく入れ替わるハイテンポな展開となった。沖縄は第1Qを終えた時点で、20−24とリードされたものの、内容は五分だった。

 しかし、その第1Qで、ルーキーながらチームの要であるG並里成が、2つファウルを犯してしまう。いわゆるファウルトラブルに陥ったのだ。バスケはファウルを5回重ねると退場となる。当然、桶谷HCはその後のピリオドのことを考えて、温存策をとる。並里が第2Qで出場した時間は、10分間中わずか17秒だった。

 並里はパスまたはドリブルで、沖縄の攻撃を組み立てる役割を担っている。それだけに、並里の温存がゲームを壊す危険もあった。しかし、桶谷HCが並里の代わりに投入したG与那嶺翼が、その不安を一蹴する。キャプテンを任される29歳は、的確な指示やパスでしっかりとチームをコントロールした。

 また、bjリーグでは、1チームにつき、同時に外国人選手を起用できるのは3人までとなっている。しかし、第2Qだけは、起用できる人数が2人に減る。そのため、外国人選手の穴を埋める日本人選手の活躍が重要だ。
 浜松戦の第2Qのスターティングメンバーとして送り出されたのは、ルーキーの山内盛久だ。前日のカンファレンスファイナルで、攻守に渡って活躍し、指揮官から「シンデレラボーイ」と称された。今回もしつこくボールに食らいつくことで、相手にプレッシャーをかけ続けた。指揮官は「(与那嶺と山内といった)バックアップのメンバーがいい仕事をした」と評価した。戦力がダウンすると言われる第2Qで浜松を19−6と圧倒した。昨年の浜松とのファイナルでは、第2Qで6−18とリードを広げられ、優勝をさらわれた。指揮官は「譲れない気持ちがあった」と第2Qで勝負をかけたことを明かした。
(写真:ボールへの執着心を見せた山内)

 また、桶谷HCは「ハッスルプレー」でも浜松に負けないことを選手たちに言い続けてきたという。ハッスルプレーとは、リバウンドやスティールなどで体を張ってボールを奪う、またはキープすることだ。沖縄は今回、OFとDFを合わせたリバウンドの総数で浜松を13も上回った。スティールは本来、浜松の方が得意とするプレーだが、それの9に対して沖縄は10。
「足を使い、手を使いよくボールに食らいついてくれた」
 指揮官は40分を通してハッスルプレーで上回った選手たちに賛辞を送った。

 勝負所の第2Qでリードを広げ、後半は並里、外国人選手を再び投入。持ち前の速い攻撃とアグレッシブな守備で主導権を渡さない。特に並里は、鋭いドライブからレイアップシュートを決めるなど、存在感を示した。チームは第4Q終盤、ファウルゲームに出てくる相手に対し、Fデイビッド・パルマ―らがフリースローを確実に決める。終わってみれば16点差をつけて、見事、昨季のリベンジを果たした。

 王者となり今後の目標を問われた桶谷HCは、笑みを浮かべてこう答えた。
「今はちょっと考えられないですね。精根を使い果たした感じです(笑)。それだけ、ファイナルで勝つことにかけてきた」

 強い覚悟を持った指揮官に率いられたチームは、見事、頂点に立った。来季からは王者として、他チームからのマークが厳しくなることは容易に想像できる。ただ、戦士にも休息は必要だ。今は疲れを癒し、そこからまた、チーム名のとおり、「キング」としての戦い方を追求していく。
(写真:沖縄はブースター賞と二冠を達成)

 一方、敗れた浜松の河合HCは「すべてはわたしの力不足。これだけのメンバーがいるのに、優勝させてあげることができなかった」と自責の弁を述べた。しかし、リベンジへの強い思いがたぎっていた。
「今の浜松のスタイルを変えるつもりはない。しかし、来季は間違いなく沖縄に勝てるチームをつくる。できることなら、ブースター賞と優勝の二冠を狙いたい」
 覇権奪回を目指す来季、浜松がどういった戦いを見せてくれるのか今から楽しみだ。

◇3位決定戦
  横浜・バーレル、27得点と大爆発
横浜ビー・コルセアーズ 75−66 京都ハンナリーズ
【第1Q】19-6【第2Q】12-16【第3Q】19-24【第4Q】25-20

 横浜がレギュラーシーズンMVPのジャスティン・バーレルの活躍などで、参戦1年目を3位で終えた。
 試合最初の得点を奪ったのはバーレルだ。しかも、いきなりのスリーポイントシュートを炸裂させた。さらに第1Qでは3ポイントシュートをあと2本決める活躍を見せる。バーレルの活躍にチームも勢いに乗った。6連続得点で第1Qを終え、19−6と大きなリードを奪った。

 第2Qは京都にスリーポイントを含む4連続得点を決められ、31−22と一桁に点差を縮められる。バーレルもシュートを2本しか打つことができず、そのうちの1本を決めるにとどまった。

 第3Qも京都にリードを許し、トータルスコアで4点差にまで詰め寄られた。しかし、第4Qでは、Gドゥレイロン・バーンズの連続3ポイントや4連続ポイントなどで、着実に京都との点差を広げていく。終盤、京都がファウルゲームを展開してきたものの、高い決定力でフリースローを沈めた。特にバーレルは後半の2ピリオドともに8得点をマーク。トータルで両チーム最多の27得点を叩き出した。
(写真:横浜3位の原動力となったバーレルのシュート)

「(bjリーグ所属の)19チームの中で、勝利でシーズンを終えられるのは(ファイナルと3位決定戦で勝つ)2チームしかいない」

 バーレルは、シーズンの最後を勝利で終えられた喜びを口にした。来季も横浜でのプレーを考えているという。チーム全体のレベルアップを図り、さらにMVP男が今季以上の活躍を見せれば、来季も横浜はシーズンの最後を勝利で終えることができるだろう。ファイナルの勝者として。