19日、2011−12シーズンに向けたbjリーグドラフト会議が都内で行なわれ、17名(エクスパンションは除く)の選手が各チームに指名された。新人ドラフトでは、1巡目指名で井上聡人、菅澤紀行、片岡大晴がそれぞれ3チームから競合指名を受けた。その結果、井上は新規参入チームの東京サンレーヴス、菅澤も同じく新規参入の群馬クレインサンダーズが交渉権を獲得。片岡は京都ハンナリーズが交渉権を引き寄せた。宮崎シャイニングサンズが最多の3名を指名した。
(写真:河内敏光コミッショナー【中央】と指名された選手たち)
 5月と6月にかけて行われた合同トライアウトを経て、ドラフト対象となった選手は193名。そのなかからプロへのチケットを手に入れたのは、わずか17名だった。注目を集めたのは東京が交渉権を獲得した井上である。ポジションはセンター(C)。指名を受けた選手のなかで唯一の2メートルオーバーのビッグマンだ。

 東海大学からオーエスジーフェニックス東三河(現浜松)、JBLのトヨタ自動車アルバルク、レラカムイ北海道、10年から昨季までは日立サンロッカーズでプレーした。竹内世代のひとりであり、各世代別代表にも選出経験がある。華々しいキャリアを誇る井上だが、2年前に右ヒザ前十字靭帯断裂という選手生命に関わる重傷を負った。JBLの2010−11シーズン開幕前の練習試合で相手選手と接触したことが原因だった。全治に8カ月を費やし、同シーズンを棒にふった。

「ケガが治ってもプレー中の恐さが抜けなかった。それがなくなってきたのは本当に最近」
 復活を期した昨季も長期間離脱したブランクを埋めきれなかった。シーズン終了後の今年5月、トップパフォーマンスを発揮できていないことを理由に、チームから解雇を言い渡された。
「引退するか、現役続行かかなり悩んだ」
 そんな中、bjリーグの関係者から合同トライアウトへの参加を持ちかけられ、試験2日前に受験を決意。その結果、ドラフトで3チームから競合指名を受けるなど、現役続行のチャンスを掴み取った。
(写真:地元・東京からの指名に「素直に嬉しい」)

 ケガの影響で身体能力の高さを生かしたプレーは少なくなった分、以前から得意だったシュート精度をさらに磨いた。
「小学生や中学生がするような本当に基本的な練習からやり直した。また、スペースをつくりながらシュートを打つようになった。新しいステージにも来ることができたので、今はケガに感謝している」

 出身は福岡だが、幼少時から東京で暮らし、中学・高校も都内。指名された東京はまさに地元チームだ。井上は「インサイドでもアウトサイドでも、とにかく点を取りたい」と抱負を口にする。27歳のルーキーが、チームとともにbjリーグに乗り込む。

「これからのbjリーグ盛り上げていくには、あなたたちの力が必要。プロとしての第一歩を踏み出す今日という日を忘れずに、ブースターの皆様に笑顔と勇気を届けるようなプレーを見せてくれることを期待している」
 河内敏光コミッショナーは指名された選手たちに向けてこうエールを送った。昨季のbjリーグでは新人が活躍したチームが上位に進出している。優勝した琉球ゴールデンキングスは並里成、山内盛久。1年目ながら3位と躍進した横浜ビー・コルセアーズにも、新人の山田謙治がレギュラーとしてプレーしていた。今季もルーキーが躍動したチームが上位に進出するのか。8回目のシーズンは10月に開幕する。
(写真:左から東京の原島代表、井上、青木HC)

 各チームの指名選手は次の通り。

【群馬クレインサンダーズ】
<1巡目> 菅澤紀行(リンク栃木ブレックス)
・藤江
「新人らしく、フレッシュな気持ちで去年のルーキーの人たちに負けないようにタイトルと狙っていきたい」
<2巡目> 俊野達彦(千葉エクスドリームス)

【東京サンレーヴス】
<1巡目> 井上聡人(日立サンロッカーズ)
「バスケットができる環境をいただけたことに感謝する。今日からプロとして頑張っていく」
【高松ファイブアローズ】
<2巡目> 岸本行央(琉球ゴールデンキングス練習生)
「プロバスケットボール選手として、感謝の気持ちを忘れず、精一杯プレーしていきたい」

【千葉ジェッツ】
指名なし

【埼玉ブロンコス】
指名なし

【信州ブレイブウォリアーズ】

【岩手ビッグブルズ】
指名なし

【宮崎シャイニングサンズ】
<1巡目> 大塚裕土(TGI D-RISE)
「指名という結果が出たことは自分が成長できたと思う。これからも必死に頑張りたい」
<2巡目> 重永和樹(東海大学)
<3巡目> 河野誠司(横浜ビー・コルセアーズ練習生)

【大分ヒートデビルズ】
指名なし

【仙台89ERS】
指名なし

【富山グラウジーズ】
<1巡目> 藤江建典(TGI D-RISE)
「新人らしく、フレッシュな気持ちで去年のルーキーの人たちに負けないようにタイトルと狙っていきたい」
【秋田ノーザンハピネッツ】
<2巡目> 澤地サミュエルジュニア(ゴードン大学)
「小さい頃からプロでバスケットボールをするのが夢だった。指名されて本当にうれしい」

【島根スサノオマジック】
<1巡目> 井手勇次(TGI D-RISE)
「この場に立てたことを感謝する。感謝の気持ちはコート上で表現したい」
<2巡目> 石井孝生(曙ブレーキ工業)
「自分の特長である走力を生かして、一生懸命プレーしたい」

【新潟アルビレックスBB】
<1巡目> 宮永雄太(東芝ブレイブサンダース)
「精一杯プレーして、たくさんの方に勇気や希望を与えられるような選手を目指したい」

【ライジング福岡】
指名なし

【滋賀レイクスターズ】
指名なし

【大阪エヴェッサ】
<1巡目> 綿貫瞬(石川ブルースパークス)
「これからプロとしての自覚を持って、練習に励んでいきたい」
<2巡目> 橋本拓哉(エヴェッサカレッジ)
「17歳という若さで勝負していきたい。まだスタートラインに立ったばかりだが、チームに貢献するプレーをしてきたい」

【京都ハンナリーズ】
<1巡目> 片岡大晴(リンク栃木ブレックス)
「日本を代表するプレーヤーになるためにどんどんチャレンジして、これからも全身全霊、一日一日を大切に頑張っていきたい」

【横浜ビー・コルセアーズ】
指名なし

【浜松・東三河フェニックス】
<1巡目> 上島ティモシー(UCLA)

【琉球ゴールデンキングス(沖縄)】
<1巡目> 並里成(※昨季は特例で沖縄に所属していた為、今回のドラフト対象)