31日(日本時間)、リオデジャネイロ五輪に臨むU-23日本代表は同ブラジル代表と親善試合をブラジル・ゴイアニアで行い、0-2で敗れた。前半33分、日本はMFガブリエウ・バルボサに先制点を決められると、41分には右CKからDFマルキーニョスに追加点を許した。2点のビハインドを追いかけた日本だったが、後半も無得点に終わった。日本は8月5日にリオ五輪初戦を迎える。

 

 カウンターを発動させず完敗(ゴイアニア)

U-23日本代表 0-2 U-23ブラジル代表

【得点】

[ブ]

ガブリエウ・バルボサ(33分)、マルキーニョス(41分)

 

 日本の武器であるカウンターを見せることなく最後の調整試合を終えた。

 

 試合開始から日本はブラジルにボールを持たれる時間が長かった。18分に日本の右サイドを崩されクロスを上げられると、MFフェリペ・アンデルソンがボレー。27分にはMFネイマールに味方とのワンツーからシュート、30分にはMFラフィーニャにヘディングでシュートを見舞われた。いずれも日本のゴールネットを揺らすには至らなかったが、ヒヤリとする場面が続いた。

 

 すると試合は33分に動いた。バルボサが左サイドからドリブルを開始するとDF3人をかわし、左足でシュートを放つ。このシュートをブロックしようとしたDF植田直通の体にボールが当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれた。この日、設けられた給水タイム直後の集中が切れた時間での失点だった。

 

 悔やまれる失点から8分後、日本はブラジルに再び得点を許す。ネイマールからの右CKをマルキーニョスにゴール中央からヘディングで合わせられた。ゴール左に決められ、攻撃の見せ場を作れぬまま2点のリードを許して前半を終了した。

 

 後半8分に日本はビッグチャンスを迎える。ゴール前にいるFW興梠慎三にボールが収まるとDFを引き付けて、左サイドを上がってきたMF中島翔哉にラストパスを送る。このパスを受けた中島が左足でシュートを放つものの、相手GKに防がれた。五輪本番でも劣勢が予想されるだけに、数少ないチャンスをものにしたかった。

 

 その後は両チーム合わせて13人のメンバーが入れ替わったことにより、弛緩した雰囲気のまま、時計の針は進んでいった。スコアはこのまま動かず0-2で終了した。日本はブラジルに為す術なく敗れたが、手倉森誠監督は「(ブラジルに)鍛えられた。勝って終わりたかったが、ようやくこれで本大会に入っていけるコンディションが整った」と前を向いた。

 

 オーバーエイジ枠(24歳以上の選手)で招集され、スタメン出場を果たした興梠は「個人的に強い相手にポストプレーができたのはプラスになった。大事なのは(五輪初戦の)ナイジェリア戦でこのような試合にならないように全力で戦う」と本番を見据えた。

 

 48年ぶりに五輪のメダルを狙う手倉森ジャパンは、この試合で強化試合は最後だった。強豪に主導権を握られるのは仕方ないが、本番でカギを握るであろうカウンターが効果的に発動しなかったのが気がかりだ。手の内をわざと明かさなかったのか……。そうであることを強く願いたい。5日後、初戦のナイジェリア戦で、手倉森監督仕込みのカウンターから痛快に得点を奪う日本代表の姿を見たいものである。

 

(文/大木雄貴)