9日(日本時間10日)、カヌー・スラローム男子カナディアンシングル決勝で羽根田卓也(ミキハウス)が3位に入った。銅メダルを獲得し、同種目日本勢初のメダルを手にした。1位はデニス・ガルガウシャヌ(フランス)、2位はマティエ・ベニュシュ(スロバキア)だった。

 

 29歳の羽根田が快挙を成し遂げた。準決勝を6位で突破、10艇で争われる決勝に臨んだ。

 

 カヌーのスラロームは河川を下りながら、指定されたゲートをクリアし、ゴールまでのタイム(ポイント)を競う。ゲートを正しく通過できなければペナルティーとしてポイントを加算され、最もポイントの少ない者が勝者となる。スピードとテクニックが要求される種目だ。

 

 決勝で羽根田は5番目のスタートとなった。ここまでのトップはベニュシュの95.02ポイント。日本勢初の表彰台へ、まずはこの記録を上回りたいところだった。

 

 羽根田は序盤、中盤と快調に飛ばす。最初のチェックポイントはベニュシュよりも1秒以上速く通過した。しかし、最後はバテたのか減速してしまう。すべてのゲートをくぐり終えると必死にゴールまで向かう羽根田。ベニュシュの記録に2秒以上遅れ、97.44ポイントでレースをフィニッシュした。

 

 暫定2位につけた羽根田。メダルの色、表彰台の可能性は残り5人の記録次第だった。その後はゲートをうまく通過できず減点される選手が続出。10人目のドイツ選手がゴールし、全員が競技を終了した。羽根田を抜いたのは94.17ポイントで金メダルを獲得したガルガウシャヌのみ。この瞬間、羽根田の銅メダルが確定した。

 

 自身3度目の五輪。羽根田は18歳で強豪国のスロバキアに留学し、己の腕を磨いた。北京五輪は14位、ロンドン五輪は7位入賞。着々と力をつけていき、リオデジャネイロの地でついに表彰台まで辿り着いた。

 

(文/杉浦泰介)