24日、bjリーグのプレスカンファレンスが行なわれ、代表選手が一堂に会し、今シーズンにかける意気込みを語った。今シーズンはイースタン・カンファレンス11チーム(岩手、秋田、仙台、新潟、富山、信州、群馬、埼玉、千葉、東京、横浜)、ウエスタン・カンファレンス10チーム(浜松、滋賀、京都、大阪、島根、高松、福岡、大分、宮崎、沖縄)が参加。チャンピオンの座をかけ、来月6日から各会場で熱戦が繰り広げられる。
(8シーズン目を迎えたbjリーグ)
 年々、bjリーグはチーム数の増加とともに認知度も上がってきている。今年1月に埼玉スーパーアリーナで行なわれたオールスターには1万4000人、5月に有明コロシアムで行なわれたファイナルには9,400人のブースターたちが駆けつけた。レギュラーシーズンを含めた全体では史上最多の84万4000人を記録した。

 これについて河内敏光コミッショナーは冒頭の挨拶で次のように述べた。
「我々は単純なバスケットボールの試合とはとらえていない。ブースターにとって、bjリーグの試合が家族みんなで楽しむイベントであったり、地元が沸き立つお祭りとなり、地域が活気づくものとして伝えていきたいと思っている」

 しかし、昨シーズンはbjリーグの存続をも揺るがす事件も起きた。今年3月、リーグ設立1年目から大阪エヴェッサに所属し、bjリーグの顔とも言うべき米国人選手が大麻取締法違反の疑いで逮捕されたのだ。後に不起訴処分となり、リーグではすぐに設置された薬物問題対策委員会によって、当時リーグに所属していた全選手を対象に薬物検査を実施、全員が陰性と判断された。だが、薬物問題に対する体制の甘さが露呈されたことは否めなかった。

 そのことを受けて、河内コミッショナーは「昨シーズンはプロバスケットボールリーグとして、ブースターに心配かけるような出来事があった。2012−13シーズンを迎えるにあたっては、リーグ内にコンプライアンス委員会を設置した。選手契約前の薬物検査の義務付けを行なうなど、ブースターに安心してゲームを楽しんでもらえるよう、我々リーグもより一層厳しい態度で向かっていこうと決心している」と述べ、信頼回復に努めることを宣言した。

 約2週間後に迫った8シーズン目のbjリーグ。今シーズンはイースタン・カンファレンスには新たに群馬クレイサンダーズと東京サンレーヴスが加わり、これまでイースタンに所属していた浜松・東三河フェニックスがウエスト・カンファレンスに移った。1チーム52試合が行なわれ、計21チームが頂点を目指す。外国籍選手については、昨シーズンは1チーム5名まで契約が可能だったが、今シーズンは4名に変更。さらに昨シーズンは「第2クオーターに限り外国籍選手はコート上で同時に2人までプレイできる」とされていたが、今シーズンは第1、第3クオーターは「同時に2人まで」とし、第2、第4クオーターは「同時に3人までプレイできる」こととなった。

 プレスカンファレンスの後半には、国際大会に参加のため不参加となった横浜ビー・コルセアーズを除いた20チームの代表選手が登場し、それぞれの見どころを語った。

岩手ビッグブルズ 山本吉昭
「スピード感のあるオフェンスと桶谷大ヘッドコーチ(HC)の下、今取り組んでいるトライアングル・オフェンスが見どころ」

秋田ノーザンハピネッツ 水町亮介
「中村和雄HCもそうだが、長谷川誠選手、庄司和広選手をはじめ、30代オーバーが6人いるというのは、他のチームには見られない特徴だと思う。年齢を感じさせない、コートを縦横無尽に動き回るのが見どころ。中村HCに負けないくらいの勝ちに対する執念が必要だと思う」

仙台89ERS 志村雄彦
「日本人選手は何人か残っている選手もいる。新しく入ってきた選手ともいいコミュニケーションをとれているので、日本人選手が活躍すれば、上位にいけると思う。しばらく行っていないファイナルに進んで、昨シーズンチャンピオンの沖縄と戦いたい」

新潟アルビレックスBB 池田雄一
「2年目のマット・ギャリソンHCがやりたいバスケットを理解して、順調にチームづくりができていると思う。その中で見どころにしたいのは、チームディフェンスからの激しいオフェンス。特にディフェンスに力を入れて練習しているので、そこをゲームで見せられたらと思う」

富山グラウジーズ 城宝匡史
「見どころは日本人選手が得点を取れるところ。プレシーズン3試合をやって、日本人だけでも50点以上取っているので、シーズンが始まっても、それくらいの活躍ができればなと思っている」

信州ブレイブウォリアーズ 斎藤崇人
「石橋貴俊HCは“泥臭さ”、スタッツに出ないような動きをやろうと言っているので、それが見どころのひとつ」

群馬クレインサンダーズ 岡田慎吾
「注目してほしいところは、“タイムシェア”。一人一人の選手がコートに立つ1回の時間は短いが、そこで全力を出して、疲れたら次の選手と交代して、また休んだら出て、というふうに目まぐるしい選手の交代をウリにしようとしている」

埼玉ブロンコス 北向由樹
「見どころは何といっても“ヘリコプター”ことジョン・ハンフリー。チームにおける存在という意味で顔になっている。勝負どころなど全てにおいて彼から始まると言っても過言ではない。プレシーズンでも彼がリーダーとなってくれた」

千葉ジェッツ 石田剛規
「見どころはチームプレー。昨シーズンは1対1のオフェンスというのがアグレッシブさというところで見どころだったが、今シーズンはその反省をいかしてチームプレーを特に意識してやっている。昨シーズンは岩手にいた冨山晋司HCの下、システマチックなオフェンス、ディフェンスを見せられると思う」

東京サンレーヴス 青木康平
「米国人選手もbjリーグは初めてなので、彼らがどうフィットしていくがポイントとなる」

浜松・東三河フェニックス 大石慎之介
「チームの見どころとしては、攻撃的なディフェンスから速いバスケット。両カンファレンスで優勝というチームはないので、それを目指して頑張りたい」

滋賀レイクスターズ 小川伸也
「見どころは、アラン・ウェストHCが掲げる“シャッフル・ディフェンス”。簡単に言えば人とボールが一緒に動くということ。全員が動いてボールをシェアしながら、ゴールを目指す。特に仲摩純平選手と寺下太基選手は実力も経験もハートも素晴らしい選手なので、2人が見どころになると思う」

京都ハンナリーズ 瀬戸山京介
「激しいディフェンスとモーションオフェンスが見どころ。浜口炎HCが京都に来て2シーズン目となるが、基本的に昨シーズンと変わらずディフェンス、そしてオフェンスではチームメイトを信頼し合って、仲間の良さを出していくというプレーを今シーズンもするので、その部分を見て欲しい」

大阪エヴェッサ 今野翔太
「昨シーズンからのメンバーが3人しか残っていないので、ゼロからスタートのチーム。全員で努力をして成長していく過程と姿勢を見てもらいたい」

島根スサノオマジック マイケル・パーカー
「新しい選手が3人と少ないということで、強い結束力のあるチームプレーに注目してほほしい。注目選手はブランドン・フリーマン選手。昨シーズンは中・長距離のシュートが打てる選手がいなかったが、彼は世界にも誇れる素晴らしいスリーポイントシューターだと思う」

高松ファイブアローズ 鈴木正晃
「昨シーズンは2勝しか挙げられなかったので、今シーズンはどこまで勝てるかということも含めて、見どころは全て」

ライジング福岡 仲西淳
「ライジング福岡のスタイルとしてはリーグトップのオフェンス力があると思うので、今シーズンも全員バスケでそのオフェンスを見せたい。今シーズンはメンバーも替わって、ケビン・パルマ―選手もいなくなってしまったので、その穴を全員でカバーして攻撃的なバスケットを見せたい。また、今シーズンはもう少しディフェンスを頑張って、攻守ともにライジング福岡らしいバスケットが見せられればいいなと思っている」

大分ヒートデビルズ 小原匡博
「年齢的には30代が多いチームだが、補強で獲得した波多野和也選手と清水太志郎選手、2年ぶりに復帰したサイラス・デイト選手がいて、あとは日本人選手が全員残留した。昨シーズンは後半戦だけで言えば、高い勝率を挙げることができたので、今シーズンもその流れを引き継いでいこうとチーム全員が頑張っている。スターターのうち4人がオールスターを経験しているような選手なので、経験をいかしたプレーと、外国人選手もハードにディフェンスをしかけて、全員で守って走って、得点を取っていくというのが今シーズンの大分」

宮崎シャイニングサンズ 小島佑太
「見どころは北郷純一郎HCの手腕。まだ本性は出していないが、おそらく熱い人だと思う」

琉球ゴールデンキングス 小菅直人
「オフェンスもディフェンスも昨シーズン以上にアグレッシブに、そしてエネルギッシュにバスケットを表現するところを見てもらいたい。HCも替わって、自分たちの表現するバスケットというのが昨シーズンと全く異なったものとなっている。オフェンスもディフェンスも運動量豊富に、見ていて楽しいバスケットを見せられると思う」

 プレスカンファレンスの後には、昨年9月に誕生した「バスケットボールストリート」と名付けられた東京・渋谷センター街を代表選手がパレード。バスケットボールストリートの入り口に到着すると、そこに設置されたモニュメントの完成除幕式が行なわれた。
果たして21チームにまで増えた8シーズン目のbjリーグでは、どんな戦いが見られるのか。選手たちの熱いプレーに注目したい。