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(写真:本社前で社員約300人に出迎えられる田知本)

 リオデジャネイロ五輪女子柔道70キロ級で金メダルを獲得した田知本遥(ALSOK)が17日、都内のALSOK本社で会見を開いた。田知本は11日(日本時間)、カリオカアリーナで行われた決勝で、ロンドン五輪銅メダリストのジュリ・アルベルア(コロンビア)と対戦。技ありから抑え込んでの一本で勝利した。五輪同階級で日本人が金メダルを獲得したのは2008年北京五輪の上野雅恵以来である。

 

 女子柔道70キロ級の女王に輝いてから約1週間。金メダルを首にかけて会見に現れた田知本は「本当に毎日、少しずつ、じわじわと(金メダルを獲ったことを)実感しています。街で声をかけられたり、テレビで五輪を見ていて、“自分もここにいたんだ”と思ったり、手元にあるこのメダルを見ると実感がわきます」と金メダル獲得の感想を口にした。

 

 リオ五輪の決勝で主審の「一本」の合図の後、田知本は世界一を噛みしめるように抑え込みの姿勢からゆっくりと起き上がった。あのときの感想を「本当に一生忘れられない、最高の瞬間でした」と、笑顔で語った。

 

 4年前のロンドン、田知本に笑顔はなかった。ロンドンで7位に終わってから今回の金まで、決して順風満帆ではなかった。2013年世界選手権初戦敗退、昨年2月、ドイツで行われたグランプリ大会はドーピング違反の恐れのある市販風邪薬の服用により欠場。国際大会で結果を出せずに苦しんだ。

 

 この間、周囲から受けたサポートについて田知本はこう振り返った。

「(自分の調子が)良くないときにそばにいてくれた人のありがたみを感じていた。その人たちのためにがんばりたいと思った」

 

 その結果が金メダルを携えての凱旋となった。リオ五輪金メダリストは「4年前は敗者の気持ちを味わった。今回は勝者の気持ちを味わった。私は両者の気持ちを知っている。この経験を少しでも後輩に伝えていきたい」と力強く答えた。

 

 田知本は今大会、日本人女子として最初の金メダルを獲得した。日本を上昇気流に乗せた田知本の功績は計り知れなく大きいものである。

 

(写真・文/大木雄貴)