1カ月後に迫ったロンドン五輪への出場を目指し、バスケットボール女子日本代表がラストチャンスとなる世界最終予選に挑む。残る切符は5枚だ。まずは出場12カ国が3チームずつ4組に分かれて1次リーグを戦う。各組の上位2チーム、計8カ国で五輪出場決定戦(準々決勝)が行なわれ、そこで勝利した4カ国に出場権が与えられる。そして最後の1枚は五輪出場決定戦で敗れた4カ国でトーナメントを行ない、頂点に立ったチームに渡される。アテネ以来、2大会ぶりの出場を目指す日本は、1次リーグでトルコ(現地時間26日)、プエルトリコ(同27日)と五輪出場決定戦への進出をかけて戦う。
(写真:脅威的な回復で復帰したエース大神)
 25日、日本バスケットボール協会は世界最終予選の代表メンバーを発表した。そこには不安視されていたエース大神雄子(JX)の名が連ねられていた。大神は右足甲を疲労骨折し、3月に手術を受けていたため、出場が危ぶまれていたのだ。しかし、半年以上を要すると言われたリハビリを3カ月で終え、今月11日の国内最終合宿に間に合わせた。とはいえ、復帰したばかりの大神が、果たしてどれだけ動くことができるのか。体力的にも不安は拭いきれないだけに、日本としては準々決勝で出場権を獲得し、最少の3試合で終えたいところだろう。

 指揮官が代わって間もないという点も、不安要素の一つに挙げられる。昨年12月、ロンドンを目指して代表を指揮してきた中川文一氏が解任。代わって指揮官に就任したのが内海知秀HCだ。内海HCはJXを常勝チームに作り上げた手腕の持ち主だ。JXは今や全日本選手権、Wリーグで4年連続2冠と向かうところ敵なしである。しかし4年前、内海HCが指揮を執った前回の北京五輪の予選では、切符を獲得することはできなかった。

 さらにアウトサイドからのシュートを武器にしたフリーランスバスケットを用いる中川氏とは異なり、内海HCはスピーディにインサイドを攻めていくアーリーオフェンスを採用し、攻めの型がある程度決まっているのが特徴だ。果たして、選手たちはこの短期間で“中川バスケ”から“内海バスケ”に切り替えることができているのか。

 救いとしては、アーリーオフェンスの柱となる司令塔の吉田亜沙美、インサイドで勝負できる間宮佑圭、そしてポイントゲッターの大神と、内海バスケを知り尽くしているJXメンバーが主力に多いことだ。

 最初の1次リーグで戦う相手はトルコとプエルトリコ。ポイントは初戦のトルコだ。世界ランキングこそ、15位の日本に対し、21位のトルコだが、勢いのあるチームだ。昨年の欧州選手権では強豪フランスを破る大金星を挙げ、決勝進出を果たしている。今大会は地元開催ということもあり、決して侮れない。1次リーグで連勝すれば、ロンドンへの道が大きく開くだけに、初戦のトルコ戦をモノにしたい。

 全競技において日本代表としてロンドン五輪をかけた最後の戦いに挑む“はやぶさジャパン”の戦いがいよいよ始まる。


〜世界最終予選メンバー〜

大庭久美子(デンソー)
田真希(デンソー)
間宮佑圭(JX)
矢野良子(トヨタ自動車)
田中利佳(JX)
久手堅笑美(トヨタ自動車)
藤原有沙(デンソー)
木林稚栄(JX)
吉田亜沙美(JX)
大神雄子(JX)
篠原恵(富士通)
山田久美子(JX)