19日(日本時間20日)、シンクロナイズドスイミングのチーム・フリールーティンが行われ、日本はテクニカルルーティンとの合計で189.2056点をマークし、3位に入った。チームでのメダルはアテネ五輪以来、3大会ぶりだった。トップはロシアが196.1439点で5連覇を達成した。192.9841点の中国は2大会連続の銀メダルに輝いた。

 

 3日前のデュエットで復活を印象付けた日本が、チームでもメダルを獲得した。

 

 デュエットに出場した乾由紀子(井村シンクロクラブ)、三井梨沙子(東京シンクロクラブ)に加えて井村シンクロクラブの林愛子、丸茂圭衣、中村麻衣、中牧佳南、吉田胡桃と小俣夏乃(アクラブ調布)、箱山愛香(長野シンクロクラブ)の8名で臨んだ。テクニカルルーティンはロシア、中国に次ぐ3位。4位のウクライナとは、わずか0.3310点の差しかなかった。

 

 決着はフリールーティン。日本は8カ国の大トリを務めることとなった。5番目に登場したロシアは4連覇中の女王。その実力を如何なく発揮した。99.1333の高得点をマークし、合計196.1439点とし優勝を決定付けた。6番目のウクライナは95.1667点を積み上げて188.6080点、7番目の中国は97.3667点を加え192.9841点になった。この時点でロシア、中国、ウクライナの順。日本が再び3位に浮上するためには94.8357点以上が必要となった。

 

 曲名は『AMATERASU~輝く夜明け』。日本の神話「天照大神」をテーマに世界へ復活をアピールする。勢い良くプールへと飛び込んだ8人の“マーメイド”たち。アップテンポな曲調の時は力強くパワフルに舞った。リフト技は高くダイナミックに、8人の脚は美しく天に掲げられた。約4分のパフォーマンス。演技を終えてプールサイドに整列した選手たちの表情には充実感が漂っていた。

 

 得点が表示されると、こみ上げてくるも抑えきれなかった。95.4333点でウクライナを上回り3位になった。銅メダルが確定。2大会ぶりの表彰台が決定し、井村雅代ヘッドコーチも選手達を笑顔で迎えた。

 

 井村コーチが日本に再びメダルをもたらした。その手腕を改めて証明した。再建を託された井村コーチは2014年の復帰当初を振り返って「マイナスからのスタート」と語っていた。肉体改造、意識改革に着手し、選手達を世界と戦える集団へと鍛え上げた。昨年の世界選手権でもメダルを獲得し、リオデジャネイロ五輪でも結果を残した。

 

 井村コーチは「ただシンクロが好きだった子たちが今はアスリートになった」と称えた。前回のロンドン五輪はメダルなしに終わった日本。リオデジャネイロでは2つの勲章を手に入れた。この好成績は東京五輪へと勢いづくだろう。

 

(文/杉浦泰介)

 

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「日本シンクロ、復活への切り札」(2014年7月3日掲載)