テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有が27日、本拠地でのデトロイト・タイガース戦に先発し、7回4安打4失点ながら、味方の援護もあり、10勝目(4敗)をあげた。オールスターゲーム前に2ケタ勝利を記録した日本人投手は2008年の松坂大輔(ボストン・レッドソックス)以来3人目。6月中に到達したのは02年の石井一久(ロサンゼルス・ドジャース、現埼玉西武)に次ぐスピードで、メジャー移籍初年度の10勝は10年の高橋尚成(ニューヨーク・メッツ、現ロサンゼルス・エンゼルス)に続き、5人目。勝利数はチームメイトのマット・ハリソンらとともに、再びリーグトップに並んだ。
 節目の1勝は強力打線のみならず、暑さとの戦いでもあった。
 この日のアーリントンの気温は試合開始時点で39度。加えてタイガースはチーム打率がリーグ3位の.263で、主砲のプリンス・フィルダーなど怖い打者が並ぶ。

 投手にとって厳しい条件のなか、立ち上がりのダルビッシュは不安定だった。いきなり先頭打者に四球を与えると、3番のミゲル・カブレラには投球がすっぽ抜けて頭に当ててしまう。1死一、二塁と得点圏に走者を背負い、迎えるはフィルダー。フルカウントからの6球目はストレートが甘く入り、左中間へ弾き返された。タイムリーとなり、2点を先行される。

 だが、前回登板同様、立ち上がりが悪くても修正できる力がこの右腕にはある。2、3回はスライダーをうまく使って、いずれも三者凡退。4回にはフィルダーに、外から曲げたスライダーをとらえられて一発を浴びるが、後続はしっかり断った。

 1−3と2点を追う展開となったレンジャーズだったが、直後の攻撃では3連打で同点に追いつくと、女房役のヨルビト・トレアルバがライトへの勝ち越し打。このイニング、一挙4点を奪って逆転に成功する。ダルビッシュは続く5回、先頭打者の二塁打をきっかけに1点を失うも、6回は2打席連続で長打を浴びているフィルダーに対し、緩急をうまくつけて大きなセンターフライに仕留めた。

 この日のラストイニングとなった7回は150キロを超える速球とフォークボールでそれぞれ空振り三振を奪い、3人で攻撃を終わらせる。奪三振は10を数え、強打者揃いのタイガース打線を手玉にとった。暑さもあり、決して絶好調ではなかったものの、終わってみれば先発として試合をつくり、白星を手中にした。リーグトップのチーム打率を誇るレンジャーズ打線の後押しを受け、日本人のシーズン最多勝利(08年、松坂の18勝)も軽々とクリアしそうな勢いだ。