シアトル・マリナーズの岩隈久志投手が3日、本拠地でのボルチモア・オリオールズ戦にメジャーリーグ移籍後、初先発を果たした。今回、故障したケビン・ミルウッドの代役としてチャンスが巡ってきた岩隈は5回、71球を投げて3安打3失点。リードされた状態でマウンドを降りたが、終盤に味方が逆転したため、勝敗はつかなかった。試合はマリナーズが6−3で勝利した。
 開幕からロングリリーフ要員だった岩隈にとっては、先発ローテーション入りへ絶好の機会だった。最初から長いイニングは想定されていなかったとはいえ、結果は5回3失点。メジャー移籍後の課題である“一発病”が解消されず、首脳陣へ大きなアピールとはならなかった。

 立ち上がりは良かった。初回はボールを低めに集め、三者凡退。2回も4番のアダム・ジョーンズをサードゴロに打ち取り、簡単に2死をとる。ここから四球と二塁打で二、三塁のピンチを招いたが、8番のマーク・レイノルズを空振り三振に仕留めた。

 3回も2つの三振を奪って3人で攻撃を終わらせた岩隈だが、1点の援護をもらった4回、2死無走者から乱れる。ジム・トーミにライト前ヒットで出塁を許すと、続くマット・ウィータースに2打席連続の四球。ここで前の打席で二塁打を打たれているクリス・デービスが打席に入る。

 ワンボールからの2球目が甘くなり、打球は右中間へ。これが3ランとなり、1−3と試合をひっくり返された。岩隈にとっては4試合連続の被本塁打。メジャーでの被安打31のうち、何と一発が7本を占める。東北楽天時代の2008年には201回2/3を投げて、被本塁打がわずか3本だったことを考えれば信じられない数字だ。一発は得点に直結する上、ベンチも野手も防ぎようがない。この点がマリナーズの投手陣のなかで背番号18の地位が上がってこない原因になっている。

 救いはチームが再逆転し、黒星がつかなかったことだ。マリナーズは7回、川崎宗則などのヒットを足がかりに2死満塁のチャンスをつくると、キャスパー・ウェルズが走者一掃のタイムリーを放って4−3とリードを奪う。8回には連続本塁打が飛び出し、オリオールズを突き放した。 

 ミルウッドは早期復帰の見込みで、また岩隈は中継ぎに戻る可能性が高い。与えられた場所で結果を残し、またスターターの機会をうかがうことになりそうだ。