160905topics3

(写真:14年ぶりの日本復帰となるジョセフHC)

 5日、日本ラグビーフットボール協会は都内の帝国ホテルで日本代表のジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ(HC)の就任記者会見を行った。会見でジョセフHCは「新たな挑戦になる」と日本での指揮に意欲を燃やした。任期は2019年末まで。初陣は11月5日に東京・秩父宮ラグビー場で行われるアルゼンチン戦となる。

 

「新しい景色が広がる段階」。今月1日付で就任したジョセフHCは日本ラグビーの現状をこう表現した。昨秋のW杯イングランド大会での躍進。今夏リオデジャネイロ五輪では7人制代表が4位入賞の大健闘を見せた。上昇気流にある日本ラグビーは更なる高みを目指す。

 

 ジョセフHCは日本に対し、W杯イングランド大会でベスト4に入ったアルゼンチン代表を例に挙げて、こう発言した。

「(アルゼンチンは)日本と似たような歩みを遂げている。日本も2019年に同じことをやれない理由はないと思っています」

 

 そのための船頭がジョセフHCである。新体制は1月に決まっていたものの、ハイランダーズ(ニュージーランド)の指揮を執っていたため、スーパーラグビー終了後の合流となった。来日してすぐにトップリーグを視察するなど、精力的に活動している。指揮官は「レベルは上がっている。ここ数年はコーチの強化も実ってきている」と評価した。

 

 日本ラグビー協会の岡村正会長は「日本ラグビーはもちろん、日本の文化もよく知っている。これからの日本代表のHCとしては最適の人物であると思っております」と、指揮官に大きな期待を寄せている。さらに「世界の強豪に勝てる強い日本をつくってほしい。2019年のW杯日本大会ではイングランド大会以上の成績を目指して、世界中からにリスペクトされるチームにしてほしいと思っております」と語った。

 

 日本ラグビー協会の坂本典幸専務理事は、ジョセフHCを選んだ理由に「日本が好き」「世界中にネットワークを持つ」「対話を重視する」の3点を挙げた。中でもジョセフHCは1995年から2002年までサニックス(現宗像サニックスブルース)でプレーし、日本代表でも99年のW杯ウェールズ大会に出場するなど9キャップを持つ。日本への造詣も深いとされる。坂本専務理事が「代表監督はないが、それに等しい経験」と言うようにハイランダーズをスーパーラグビー優勝に導いたことをはじめ、ニュージーランドでの指導経験も豊富にある。

 

160905topics2

(写真:薫田氏<左>をはじめとした協会としてのバックアップも重要になる)

 役割に関しては日本のトップ代表だけでなく、アンダーカテゴリーのジュニアジャパンを含めた総監督的ポジションに据える予定だ。スーパーラグビーのヒト・コミュニケーションズ・サンウルブズについても強化に携わるという。

 

 指揮官は「世界中からリスペクトを集めるラグビーをする」ことをゴールに置く。

「プレーヤーがプレーしていてエキサイティングな気持ちになるラグビー。メディアの皆さんがエキサイティングな気持ちでリポートしたいと思えて、ファンの皆さんが“トップのラグビーを見ることができた”と言ってくれるようなラグビーをする」

 

 3年後の自国開催でのW杯に向け、新たなジャパンウェイがスタートする。世界を知り、日本も知るジョセフHCが、日本ラグビーにどんな景色を見せてくれるのか。11月は国内でのアルゼンチン戦を皮切りにジョージア、イギリス、フランスと欧州遠征が続く。

 

(文・写真/杉浦泰介)