10日、リーグ優勝に王手をかけた広島が巨人を6-4で下し、25年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。広島は1点を追いかける4回表に、鈴木誠也と松山竜平が2者連続ホームランを放ち逆転に成功する。5回表には鈴木の2打席連続ホームランでさらに2点を加えた。投げては、先発の黒田博樹が6回3失点と力投する。終盤にも1点を追加し、2点リードで迎えた最終回は守護神の中崎翔太がゼロに抑えた。

 

 今季の開幕前、広島を優勝候補にあげる者はほとんどいなかった。エース前田健太(ドジャース)が抜けたことで戦力低下は免れないと予想したからだ。しかし、フタを開けてみると、広島は投打ともにセ・リーグで群を抜いていた。巨人に15ゲーム差をつけてぶっちぎりの優勝だった。

 

 先発ローテーションは、5年目の野村祐輔を筆頭にクリス・ジョンソン、黒田博樹が3本柱として勝ち星を重ねた。9月9日現在、野村とジョンソンは、リーグトップの14勝を挙げている。ジョンソンは、防御率2.22でトップの菅野智之(巨人、防御率1.93)に次ぐ安定感を誇っている。

 

 1点差ゲームに弱いと言われていた広島はリリーフの手薄さが課題だった。それを解消したのが、今季から加入したブレイディン・へーゲンズとジェイ・ジャクソンだ。主にヘーゲンズは7回、ジャクソンは8回を担当した。8月中旬に戸田隆矢が離脱するなど、先発がコマ不足になると、ヘーゲンズはローテーションの一角を担った。チームのピンチを救った彼らの存在なくして、四半世紀ぶりの優勝はありえなかっただろう。

 

 投手力だけでなく、打撃力も優れていた。今季の広島は12球団一のチーム打率を誇っている。その原動力は、2番・菊池涼介、3番・丸佳浩のキクマルコンビだ。昨季は揃って打撃不振に陥り、2割6分台にも届かなかった。だが、今季は絶好調。丸は自己最多の86打点、19本塁打と活躍した。菊池は打率.323でリーグ3位の数字を残している。

 

 キクマルコンビの復活はチームに追い風をもたらした。中堅にベテランや若手も負けていない。39歳の新井貴浩は4月に2000本安打を達成すると、その後も打ち続けた。打率.308、18本塁打、98打点をマークし、現在打点部門でトップに立っている。

 

「神っている男」として大ブレイクした鈴木誠也は、6月のオリックス戦で3試合連続決勝ホームランを放った以降も、走攻守で存在感を発揮した。首位打者の坂本勇人(巨人)に迫る2位の打率.335を記録している。1シーズンの中で鈴木は、凄まじい急成長を遂げた。

 

 ひとりひとりが与えられた仕事を全うした結果が、7度目のリーグ優勝をもたらした。広島は、次は日本一をかけて10月12日から始まるクライマックスシリーズファイナルステージに挑む。32年ぶりの日本一に向けて、まずは全勝でCS突破を目指したい。

 

(文/安部晴奈)