18日、イギリス・ノッティンガムでロンドン五輪に向けた強化試合が行われ、U-23日本代表は五輪に出場する同ベラルーシ代表と対戦した。日本は後半36分、途中出場のFW杉本健勇(東京V)のゴールで先制。結局、このゴールが決勝点となり、日本が今回の五輪代表チームでの初白星を飾った。

 杉本、2試合連続ゴール!(ノッティンガム)
U-23日本代表 1−0 U-23ベラルーシ代表
【得点】
[日] 杉本健勇(81分)
 本番に弾みがつく勝利だ。五輪登録メンバー発表後、初めて全22人(予備登録を含む)が揃っての実戦。五輪欧州予選を3位で勝ち上がったベラルーシに対して終始ボールを支配した。国内でのニュージーランド戦には出場しなかったオーバーエージ(OA)のDF吉田麻也(VVV)、MF宇佐美貴史(ホッフェンハイム)らがチームにフィットし、多くの選手を試すなかで、しっかりと結果も出した。

 吉田、宇佐美、MF清武弘嗣(ニュルンベルク)らがスタメンに名を連ね、ほぼベストメンバーで臨んだ前半は、序盤から高いボールポゼッションを誇った。しかし、引いて守るベラルーシ相手になかなかチャンスが生まれない。状況を打開するために、宇佐美、清武、FW大津祐樹(ボルシアMG)らが積極的にボールを受け、攻撃のリズムをつくりだそうとした。

 なかでも光ったのは宇佐美のボールキープ力だ。得点には至らなかったものの、厳しいプレッシャーの中でもタイミング良くボールを収め、前線の起点となった。前半27分には、PA内左でパスを受けた宇佐美が中に切り込んで右足でシュート。これに大津が反応してダイビングヘッドでコースを変えるが、わずかにゴール上へ外れた。33分には、PA内右で宇佐美からのパスを受けた清武が中央にスライド。最後は左足でシュートを放つも、GKの正面を突いた。

 スコアレスで迎えた後半開始から、日本はNZ戦でゴールを決めた杉本など一気に6人を投入。その交代で入った選手たちが存在感を見せる。13分には、MF東慶悟(大宮)が決定的場面を迎えた。MF山村和也(鹿島)のパスが相手DFに当たりこぼれたところに反応。GKとの1対1からグラウンダーのシュートを放つ。しかし、シュートはGKの足に当たり、ゴール左へと外れた。

 先制のチャンスを逸した日本は、17分、GK林彰洋(清水)らバックアップメンバーの3人を投入。31分には宇佐美に代えて、こちらも予備登録メンバーのMF山崎亮平(磐田)を送り出した。関塚隆監督はこの交代策について「(NZ戦から先週末の)Jリーグを含めて(五輪本番まで)4連戦となる。コンディションを整えることも大事なので、多くの選手に出場機会を与えた」と意図を明かした。

 試合開始時と比べて10人が変わった日本だが、高いボール支配率を維持し、主導権を譲らない。そして迎えた36分、待望の先制点が生まれる。決めたのは杉本だ。ピッチに投入された直後からシュートを放つなど好調ぶりがうかがえたストライカーは、PA手前で東からパスを受け、右足インサイドでゴール右へ蹴り込んだ。NZ戦に続く2試合連続ゴール。サプライズ選出から、一気にレギュラー獲りへ決定力の高さをアピールした。

 先制した日本は、その後も高いボールポゼッションを維持し、前がかりになったベラルーシにチャンスを与えない。ロスタイムには途中出場のMF齋藤学(横浜FM)が鋭い突破で相手陣内に攻め込んだ。一瞬のスキを突かれたNZ戦とは一転して、最後まで高い集中力をキープした。

 試合後、OAとして初出場した吉田は「初めてチームに入って勝てたことはよかった。(右ヒザの負傷明けの)不安もあったが、痛みもなくプレーできた」と語った。宇佐美も「チームの中での(自分の)プレーをイメージすることができたのは大きかった」と手応えを口にした。新たにチームに加わった選手たちが組織の中で及第点の動きを見せたのは大きな収穫だ。

 ただ、ボールを支配し続けながら、得点はわずかに1点のみ。決定機を確実に決めきれなければ、世界から勝利をあげることは難しくなる。宇佐美は「もっと決定機を作ることができた。1点だけでなく、さらに多く得点を取れるように、(チームで)つめていきたい」と課題をあげた。21日のU-23メキシコ代表戦は、本大会前の最後の実戦だ。選手はもちろん、ベンチも調子の良い杉本をスタメンに抜擢するなど、ゴールを奪うためのチャレンジが求められる。

<U-23日本代表出場メンバー>

GK
権田修一
→林彰洋(61分)
DF
酒井高徳
鈴木大輔
→徳永悠平(45分)
吉田麻也
→米本拓司(61分)
酒井宏樹
→大岩一貴(61分)
MF
扇原貴宏
→山村和也(45分)
山口螢
→村松大輔(45分)
清武弘嗣
→齋藤学(45分)
宇佐美貴史
→山崎亮平(76分)
永井謙佑
→東慶悟(45分)
FW
大津祐樹
→杉本健勇(45分)