14日(日本時間15日)、リオデジャネイロパラリンピックの陸上女子400メートル(切断などT47)決勝が行われ、辻沙絵(日体大)が1分0秒62で銅メダルを獲得した。今大会の陸上競技日本女子メダル第1号となった。

 

 日本記録保持者の辻が意地を見せた。

 

 アウトレーンの4人がスタート直後に飛び出した一方で、第3レーンの辻は落ち着いてスタートを切った。初のパラリンピックの舞台でも舞い上がることはない。大外の先頭グループのペースに惑わされることなく予定通り、200メートルを28秒以内で通過するレースプランを守った。

 

 最終コーナーに差し掛かってもペースが落ちなかった辻。コーナーを抜け出す時には3位に浮上した。ラストの直線でも順位をキープしてフィニッシュ。自己ベスト(57秒72)には3秒近く及ばなかったものの、初めてのパラリンピックで銅メダルを手にした。

 

 レース後、辻は「いまだに信じられない気持ちと、メダルを獲れてよかったという気持ちです。レースが終わった時は緊張の糸が切れて涙が出てきた」とコメントした。

 

 辻のパラ陸上歴は浅い。ハンドボールから陸上に転向してわずか1年半というのだから驚きである。

「大好きなハンドボールを辞めた決断が正しいと思えるように、毎日つらい練習も乗り越えてきた。まだまだ速くなりたい。つらい中でも、皆さんに応援してもらい、支えてもらって、やっと掴んだメダルだと思います」

 

 喜びにばかり浸ってもいられない。辻は15日(日本時間16日)に行われる200メートル予選に出場する。「200メートルでは少しでもいいタイムでファイナルに残れるように頑張っていきたい」と抱負を語った。今大会の陸上女子で日本に初のメダルをもたらした21歳は、このままの勢いで200メートルも走り抜ける。