横浜DeNAが初のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めました。DeNAの躍進を支えているのはもちろん4番の筒香嘉智です。

 24日現在、筒香は打率.326(リーグ3位)、43本塁打(同1位)、108打点(同1位)で、二冠をほぼ手中に収めています。今季、筒香の出来はほぼ100点満点と言っていいでしょう。

 チームのキャプテンを務める筒香は、リーダーとしての自覚が彼の言動から表れています。以前は表立って発言するような選手ではありませんでしたが、今はチームの代表として発言することが多くなった。周りからも「筒香は行動が変わった」という声をよく聞きます。昨年のオフにはドミニカに武者修行に行くなど、野球に真摯に向き合っている姿が印象的です。リーダーが真面目に練習に打ち込み、これだけの結果を残せばおのずと周りはついていく。筒香の存在が他の選手を押し上げ、チームの結束を強めたのでしょう。

 

 今季から監督に就任したアレックス・ラミレス監督の存在も外せません。ラミレス監督は攻撃面で選手たちを信じる姿勢を貫き通しました。例えば、ホセ・ロペスが不調に陥った時も使い続け、故障で出遅れた梶谷隆幸を復帰するまで待ちました。選手たちを信頼し、時には我慢した結果が、CS進出を決めたと言っても過言ではありません。

 

 短期決戦は早めの継投を!

 さて、レギュラーシーズンが終わればCSが始まります。DeNAはファーストステージで巨人と戦います。その前哨戦となった23、24日の試合は、DeNAが2連勝を収めて巨人とのゲーム差を1.5まで縮めました。正直、今勢いがあるのは巨人よりもDeNAです。直接対決を見ていて感じたことは、巨人がチームとしてまとまっていなかったことです。


 巨人には現在首位打者の坂本勇人(打率.347、23本塁打、75打点)のほか、村田修一(打率.296、23本塁打、75打点)など調子の良いバッターもいるのに、打線の柱が見当たりません。それは投手陣にも言えることで、軸となるピッチャーがいない。2位の実力があるのに、まだ順位を確定できていない原因はそこにあると思います。

 短期決戦を制すためには、ゲームの流れを先に掴まなければいけません。迷いは禁物です。代打、代走とベンチはとにかく出し惜しみをせずに選手を使わなければなりません。それは継投にも言えることで、投げているピッチャーが駄目だと思ったら早めの交代が求められます。

 采配の点で言うと、ラミレス監督は今季、守護神・山崎康晃が不調な時は三上朋也と入れ替えていて、割と柔軟に対応していました。しかし、巨人の場合は抑えの澤村拓一の代わりが見当たりませんでした。今季は澤村が崩れると、そのままサヨナラ負けするパターンを何度も見ましたね。

 チーム全体の勢い、ベンチの采配をみてもDeNAの方が巨人よりもやや優勢です。CS初出場のチームをラミレス監督がどういう手を尽くして巨人に立ち向かうのか。是非、注目してみましょう。

 

image佐野 慈紀(さの・しげき)
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商−近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日−エルマイラ・パイオニアーズ(米独立)−ロサンジェルス・ドジャース−メキシコシティ(メキシカンリーグ)−エルマイラ・パイオニアーズ−オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。


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