29日(現地時間)、競泳の男子100メートル平泳ぎ決勝が行なわれ、3連覇を狙った北島康介(日本コカ・コーラ)は59秒79で5位に終わった。これで3大会連続2冠も逃した。金メダルを獲得したキャメロン・ファンデルバーグ(南アフリカ)は58秒46の世界新記録を樹立した。
 前日の準決勝では予選のタイムを下回る泳ぎで3大会連続2冠に黄色信号が灯った北島。自らも「(手と足の動きが)かみ合っていない」と本来の泳ぎでないことを認めていた。トップとは0秒86差で全体の6位で進出した決勝。果たして、どう修正してくるのかが注目される中、会場に入ってきた北島は自らに気合いを注入するかのように、ジャージの胸の日の丸を強く握りしめた。

 キャメロン・ファンデルバーグ(南アフリカ)がスタートから積極的な泳ぎを見せ、レースは予想以上の速さで展開された。世界記録を上回る27秒07という驚異的な速さで50メートルをターンをしたファンデルバーグに対し、北島も27秒78で折り返す。後半になってもペースが落ちないファンデルバーグを必死に追いかける北島。だが、持ち味のラスト25メートルからの伸びも見られず、最後は1秒33と差を広げられるかたちで5位に終わった。

「悔しいことは悔しいが、期待してくれた日本の皆さん、チームのみんな、ずっと楽しみにしてくれていた人たちにいいところを見せられず、とても残念な気持ちと申し訳ない気持ち。もう一度ファイナルに立てる喜びと、チャンスがある限り表彰台の一番高い所を目指してきたが、金メダルという夢には届かなかったが、今日できる精一杯の泳ぎはできたと思う。まだ自分には200メートルが残されている。チームとしてのリレーもあるので、自分の役割を最後までまっとうできるように、調整したいと思う」

 これで100メートルでの3連覇、そして3大会連続2冠という偉業達成への夢は潰えた。レース後のインタビューでは気丈にふるまい、冷静さを崩さなかった北島だが、プールサイドを去るその後ろ姿からは悔しさがにじみ出ていた。残るは200メートルでの3連覇。2日後の31日には予選、準決勝が、8月1日には決勝が行なわれる。北島本来の伸びのある泳ぎを取り戻すことができるかがカギとなる。