(写真:鹿児島について「クラブ発展に取り組んでほしい」と語る青影マネジャー)

(写真:鹿児島について「クラブ発展に取り組んでほしい」と語る青影マネジャー)

 Jリーグは29日、都内で会見を開き、2017シーズンの「Jリーグクラブライセンス」(Jライセンス)交付の判定結果を発表した。審査はJリーグとは独立した第三者機関であるクラブライセンス交付第一審機関(FIB)とクラブライセンス交付上訴機関(AB)が行った。J1、J2ライセンスを申請した46クラブのうち40クラブにJ1ライセンスが、5クラブにJ2ライセンスが交付された。鹿児島ユナイテッドFCはJリーグライセンス申請クラブで初の不交付となった。J3クラブライセンス交付の発表は10月12日のJリーグ理事会後に行われる。

 

 今回の判定では、現在J3の鹿児島のみ不交付となった。不交付はクラブライセンス制度が導入された2012年以来、初めてである。

 

 鹿児島が不交付に至った理由は主にスタジアムにある。J2ライセンスを取得するためには10000人以上収容のスタジアムを使用できなければならない。鹿児島のホームスタジアム鹿児島県立鴻池陸上競技場は2020年第75回国民体育大会に向けた改修工事を行うため、2017シーズンはメインスタンドが全面使用できず、入場可能数は約5300人となってしまう。そのためJ2ライセンス基準に満たないのだ。

 

 青影宜典クラブライセンスマネジャーはこの結果を踏まえ「“不交付”と言われると響きはあまり良くないのは事実ですが……」と前置きし、こう続けた。

「今回の判定結果によってJ1、J2ライセンスを取得するためには何が不足しているのかを確認いただけたと思う。これは決して後退ではなく、今後鹿児島が上のカテゴリーを目指し、発展していくための1つのプロセスだと思っている。私自身、残念な気持ちを抱いていたり、後ろ向きな気持ちでない。クラブにも私と同じ気持ちで来年以降、積極的にクラブの発展に向けて取り組んでいただきたい」

 

 現在、鹿児島はJ3で3位。J2昇格争いをしているが、今回の交付結果によりJ2昇格圏内の2位でシーズンを終えてもJ2への昇格は夢と消えた。鹿児島はJ3クラブライセンス審査に回る。

 

熊本は特別措置でJ1資格 昇格争いの町田は取得ならず

 

 今年4月に震災被害を受けたJ2のロアッソ熊本は特例でJ1ライセンスが交付された。アジアサッカー連盟に確認のうえ、Jリーグライセンス交付規則第40条第1項(クラブライセンス規則に規定されていない事項については、Jリーグ理事会がこれを決定する)に基づき、熊本のみ今回のライセンス判定基準から財務基準F01(年次財務諸表)とF06(予算および予算実績、財務状況の見通し)が除外された。

 

 熊本への措置について青影クラブライセンスマネジャーは、こう説明した。

「今シーズンの財務状況を含めて来年のリーグ運営に支障が出るような財務状況である場合、ライセンスが不交付となるケースがある。今年、熊本は震災の被害を受けて物損被害、スポンサー料の減収があった。さらにホームスタジアムがしばらく使えない状態だったため、県外開催やホームゲームの延期など日程面で様々なことがあった。予算通りの財務的な損益の水準を維持するのは難しい。Jリーグ理事会での判断により今回の判定は財務基準F01とF06を除外する措置をとった」

 

 その他にはザスパクサツ群馬、レノファ山口FC、ギラヴァンツ北九州のJ2クラブが新たにJ1ライセンスを取得した。群馬はトレーニング施設の整備が進み、山口はスタジアムの改修およびトレーニング施設の整備がなされた。北九州は2017年2月に16300人収容のスタジアムが完成予定。いずれのクラブも課題をクリアし、J1ライセンスを認められた。

 

 一方で水戸ホーリーホック、FC町田ゼルビア、カマタマーレ讃岐、AC長野パルセイロ、ガイナーレ鳥取の5クラブはJ2ライセンス取得に終わった。J2の水戸、町田、讃岐はJ1昇格プレーオフ圏内に入ったとしても、プレーオフには出場できなくなった。

 

【クラブライセンス交付結果】

 

J1クラブライセンス=札幌、仙台、山形、鹿島、栃木、群馬、浦和、大宮、千葉、柏、FC東京、東京V、川崎F、横浜FM、横浜FC、湘南、甲府、松本、新潟、富山、金沢、清水、磐田、名古屋、岐阜、京都、G大阪、C大阪、神戸、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、福岡、北九州、鳥栖、長崎、熊本、大分

 

J2クラブライセンス=水戸、町田、長野、鳥取、讃岐

 

不交付=鹿児島

 

(文・写真/大木雄貴)