1日、2016明治安田生命J1リーグセカンドステージ第14節、浦和レッズ対ガンバ大阪が埼玉スタジアムで行われた。試合は浦和がG大阪を4―0で下した。前半6分、MF高木俊幸のゴールで浦和が先制。後半は浦和が3点を追加して勝利を収めた。フル出場した浦和MF阿部勇樹はJ1通算500試合出場を達成。35歳25日での達成は最年少記録となった。

 

 黒子役に徹した阿部の活躍で無失点(埼玉)

浦和レッズ 4―0 ガンバ大阪

【得点】

[浦] 高木俊幸(6分)、武藤雄樹(50分)、宇賀神友弥(83分)、ズラタン(87分)

 

 阿部がG大阪のMF遠藤保仁の35歳8カ月19日での500試合出場最年少記録を塗り替えたメモリアルな試合。浦和が4発大勝で飾った。

 

 試合は前半6分に浦和が先制する。敵陣右サイドでDF森脇良太、MF駒井善成、MF柏木陽介、MF武藤雄樹とつないだ。ゴールラインを割りそうな深い位置で武藤が、ゴール前にグラウンダーのクロスを入れる。ニアでFW興梠慎三がつぶれ役になり、フリーで待ち構えていた高木が難なく右足で押し込んだ。阿部の記録を祝福する鮮やかな先取点だった。

 

 ボランチで出場した阿部自身の動きも冴え渡っていた。決して派手さはないものの、G大阪DF陣が跳ね返したボールを拾い、浦和の二次攻撃につなげた。浦和の戦術の特性上、時には最終ラインにポジションをずらしてカバーする。相手の縦パスをカットして攻撃の芽を摘み、守備での貢献が光った。この献身的なプレー、ユーティリティー性が、監督が代わろうとも阿部が起用され続けてきた理由だろう。

 

 相手にペースをやらぬまま、後半に入ると、浦和攻撃陣が爆発した。5分に武藤、38分にはMF宇賀神友弥、42分には途中出場のFWズラタンがゴールを奪い、優勝を争うG大阪に4-0で勝利を収めた。浦和はリーグ戦4連勝で、セカンドステージ首位を守った。敗れたG大阪はセカンドステージで浦和との勝ち点差は7に広がった。年間順位でも上位進出は厳しい状況。チャンピオンシップ出場が遠のく痛い黒星となった。

 

 試合後、キャプテンとしてチームをけん引した阿部はリーグ2連敗中の相手からもぎ取った勝利をこう振り返った。

「ここ数年、G大阪相手に良いゲームはしていたが、勝ち点3を奪いきれなかった。勝たないと何事も面白くない。悔しい思いをさせられていたし、非常に順位が近い相手だったので負けられない試合だった。いつもスタジアムに大勢の方が来てくれて戦ってくれているのに、一緒に喜べなかったという試合が多かった。だから、今日は勝ったことが一番良かった」

 

 1998年に16歳10カ月30日でJデビューした阿部。デビュー戦の相手もG大阪だった。節目の出場については、「皆さんに“おめでとう”と言ってもらえるのはおまけみたいなものだから(笑)。やっぱりチームが勝って勝ち点3をとれたことのほうが嬉しい」と、はにかんだ。

 

 J1通算500試合出場は楢崎正剛、遠藤、中澤佑二らに次いで史上6人目の快挙である。イングランドでのプレーも含め、約18年もの間、阿部が大きなケガなくやってきた証拠だ。本人は「若いときは未熟だったからケガも多かった。だけどトレーニングをやることによって、しっかりとした体に鍛えられてきた。そういうことを教えてくれた監督がいるので。いろいろな人の助けだったり支えがあって戦ってこられている」と語り、続けた。

 

「その方たちにまだ、何も返せていない。レッズに来て、何かを成し遂げたわけではない。何かを成し遂げてみんなで喜びたいというのが目標。それがモチベーションになっているので、達成できるように頑張っていきたい」

 “鉄人”阿部にとって500試合は通過点なのだろう。頼もしいキャプテンが引っ張る浦和は、2006年以来のJリーグチャンピオンの座を狙いに行く。

 

(文/大木雄貴)