(写真:「日本サッカーがより良くなるための意思決定」と1ステージ制復帰について語る村井チェアマン)

(写真:「日本サッカーがより良くなるための意思決定」と1ステージ制復帰について語る村井チェアマン)

 12日、Jリーグ理事会が都内で開かれ、J1は来季、1ステージ制に復帰することが正式に決まった。その他の議題は「クラブ財政基盤の強化(分配金の変更)」、「外国籍選手の登録拡大」、「サマーブレイク期間の創設」、「東京五輪世代の出場機会創出による育成促進の強化」と4つのレギュレーションを可決した。

 

3年ぶりに1ステージ制へ復帰

 

 2017年のJ1は、現行の「2ステージおよびチャンピオンシップ(CS)」の体制から3年ぶりに「1ステージ制ホーム&アウェー方式の総当たりリーグ戦」に復帰する。もともと2ステージ制はテレビ放送と入場者数の減少などの世間のJリーグへの関心度の低下を食い止めるためだった。2015年に2ステージ制に変更したことでファーストステージ終盤での新聞露出件数は前年比136%を記録。11年ぶりに地上波ゴールデンタイムで放送されたチャンピオンシップ第1戦の視聴率は7.6%(関東エリア)、第2戦は10.4%(関東エリア)を記録し、メディア露出面では一定の成果を上げた。

 

 しかし、日程面でのデメリットも大きかった。2009年から12年まで一発勝負で行われていたAFCチャンピオンズリーグ決勝が13年からホーム&アウェー方式に変更。ここ2年は日本で開催しているクラブワールドカップの出場チーム(開催国枠)を決めるためにCSを早く消化させなくてはならない等のリーグ終盤での日程面がネックになっていた。Jリーグの選手会を通じてのアンケートによれば、1ステージ制復帰については約8割が支持。Jリーグがインターネットで行った世論調査でも約6割が1ステージ復帰に賛成だった。Jリーグの村井満チェアマンは「賛否あることは承知しています」と語りつつも、1ステージ復帰に踏み切った。

 

J1優勝クラブに15億円の強化分配金

 

 Jリーグは英国動画配信大手企業のパフォームグループと10年2100億円の放映権料契約を締結。1年平均200億円近くの軍資金をJリーグは各クラブに分配する。Jリーグからクラブに支給される資金は各クラブへの「均等配分金」、シーズンの成績に応じた「強化配分金」と「降格時救済金」と「賞金」に充てられる。

 

 均等配分金について「クラブの財政基盤を安定させるためのもの」と村井チェアマンは語る。J1チームが1億5000万円から3億5000万円。J2が1億円から1億5000万円。J3が1500万円から3000万円。各カテゴリーで大幅に増額することが決まった。

 

「J1に集中的に分配する」と村井チェアマンが説明した強化分配金については、1位から4位までのクラブに支給される。J1優勝クラブには3年に渡り15億円、2位が7億円、3位が3億5000万円、4位が1億8000万円となることが決定した。強化分配金は3年にわたり支給されるという。ただし、その活用法についてはJリーグの厳しいチェックが入る模様だ。村井チェアマンは厳しい目つきでこう語った。

「Jリーグのレベルアップを図るために、強化費、トレーニング関連費、育成関連費や競技場のレベルを上げるために支給します。きちんと、使途目的に沿った使い方をしているか毎年、審査しながら支給を決めます。1回優勝をしたからといって、そのタイミングで15億円が保証されるわけではありません」

 

 来季から新たに降格クラブへ「降格救済金」を支給することも決定した。「降格時の1年間、前年の均等分配金の8割を保証する」と村井チェアマン。例えばJ1からJ2への降格が決まったクラブには来季2億8000万円(前年のJ1所属時の均等配分金3億5000万円×0.8)を支給する。J2からJ3に降格した場合も前年の均等配分金(1億5000万円)×0.8である。

 

“2100億円”で来季から大きく変化するJリーグ。世界に通用するビッグクラブ創出のための第一歩を踏み出した。

 

(文・写真/大木雄貴)