男子90キロ級・西山、銅メダル 〜柔道〜
1日、柔道は男子90キロ級と女子70キロ級が行われ、男子90キロ級の西山将士 (新日鉄)は準々決勝で敗れたが、敗者復活戦、3位決定戦を勝利し、銅メダルを獲得した。一方、女子70キロ級の田知本遥(東海大)は準々決勝、敗者復活戦と連敗し、メダルを逃した。
<西山、気力でつかんだメダル>
勝利の瞬間は精魂尽き果てたような表情だった。敗者復活戦、3位決定戦と2試合連続で延長戦の末の旗判定。明らかに疲労の色は隠せないなか、それでも西山は足技を仕掛けて攻め続けた。雑草から這い上がってきた男らしいメダル獲得だった。
昨年の今頃、西山が代表に選ばれると予想していた人間は少なかったに違いない。100キロ級だった国士舘大時代は際立った実績なし。新日鉄入り後、90キロ級に下げて講道館杯で3連覇したものの、この階級の代表は世界柔道で2年連続準優勝を収めた西山大希が有力候補だった。
“もうひとりの西山”に過ぎなかった男が、代表争いに加わったのが昨年末のグランドスラム東京だ。連覇を達成し、国際大会でも勝てるところを示した。そして1月のマスターズ、世界柔道を連覇した第一人者イリアス・イリアディス(ギリシャ)に優勢勝ち。五輪で結果を残せる存在として猛アピールし、出場権をつかんだ。
この日は、そのイリアディスが準々決勝で敗れる波乱。西山にとっては金メダルへ大きなチャンスが巡ってきていた。だが、イリアディス敗戦を目の前で見た準々決勝、宋大男(韓国)に背負い投げを許して有効を奪われる。さらに再び背負い投げを仕掛けられ、体が畳の上で一回転。技ありを告げられ、劣勢に立たされた。
だが、西山は決して諦めない。虎視耽々と逆転の機会を狙い、その時を待つ。残り30秒。組んで相手を押し込むと、両足が揃った。左足をかけ、大外刈りで豪快に倒す。宋大男の背中がつき、主審は一本を宣告。しかし、副審は両者ともに技ありの判定だった。一本は取り消され、勝利は幻に。有効の分、まだリードしている相手から、さらなるポイントは得られず、悔しい敗戦となった。
普通の選手ならここで精神的にも切れてもおかしくないところ。短時間で気持ちを切り替え、敗者復活戦、3位決定戦とギリギリの試合を勝ち切った。世界柔道に出た経験もない西山にとっては、初の大きな国際舞台だった。本人は決して納得できないだろうが、粘ってメダルをつかんだことは必ずや今後につながるはずだ。
<田知本、ケガに泣く>
アクシデントが起こったのは準々決勝の陳飛(中国)戦だった。相手に巻き込まれて倒れた際に腕を極められ、左ヒジを痛めた。ヒジを抑え、苦悶の表情を浮かべる。ここから一気に調子が狂った。
ヒジを痛めるまでは順調な戦いぶりだった。陳飛に対し大外刈りが連続して決まり、有効2つを奪う。負傷後も残り時間は約1分20秒で、うまく戦って何とか逃げ切りたいところだった。
だが、ケガの痛みは予想以上に強いのか、まともに相手と組めない。その様子を見た陳飛は一気に息を吹き返した。積極的に前へ出て仕掛け、投げ技で有効2つを得てポイントで追いつく。
ゴールデンスコア方式の延長戦も田知本は相手の攻めをしのぐのが精一杯。自ら技をしかける場面は少なく、相手からポイントを奪うことができない。何とか旗判定に持ち込んだものの、審判団は無情にも陳飛の勝利を示す青旗を3本あげた。
ヒジをテーピングでグルグル巻きにして臨んだ敗者復活戦。相手は北京五輪銅メダリストのエディス・ボッシュ(オランダ)だ。強豪相手に動き自体はヒジの痛みを感じさせなかった。しかし、組んでも左腕には力が入らないのか、技を充分にかけられない。組み合ったまま膠着状態になる場面も目立ち、指導を2つ受け、有効を奪われる。挽回できないまま、試合終了のブザーが鳴り、メダルの可能性は消滅した。
昨年の世界柔道では3回戦敗退。同12月のグランドスラム東京でも3位に終わり、一度は遠のいた代表切符だった。だが、2月のグランドスラムパリで代表を争っていた國原頼子に一本勝ちして優勝。5月の最終選考会となった選抜体重別選手権も制し、ロンドン行きが決まった。
ケガで本領を発揮できなくなったのは残念だが、それでも本当に強い選手は勝ち上がる。間もなく22歳になる大学4年生。大舞台での経験をバネに、4年後の再チャレンジを望みたい。
<西山、気力でつかんだメダル>
勝利の瞬間は精魂尽き果てたような表情だった。敗者復活戦、3位決定戦と2試合連続で延長戦の末の旗判定。明らかに疲労の色は隠せないなか、それでも西山は足技を仕掛けて攻め続けた。雑草から這い上がってきた男らしいメダル獲得だった。
昨年の今頃、西山が代表に選ばれると予想していた人間は少なかったに違いない。100キロ級だった国士舘大時代は際立った実績なし。新日鉄入り後、90キロ級に下げて講道館杯で3連覇したものの、この階級の代表は世界柔道で2年連続準優勝を収めた西山大希が有力候補だった。
“もうひとりの西山”に過ぎなかった男が、代表争いに加わったのが昨年末のグランドスラム東京だ。連覇を達成し、国際大会でも勝てるところを示した。そして1月のマスターズ、世界柔道を連覇した第一人者イリアス・イリアディス(ギリシャ)に優勢勝ち。五輪で結果を残せる存在として猛アピールし、出場権をつかんだ。
この日は、そのイリアディスが準々決勝で敗れる波乱。西山にとっては金メダルへ大きなチャンスが巡ってきていた。だが、イリアディス敗戦を目の前で見た準々決勝、宋大男(韓国)に背負い投げを許して有効を奪われる。さらに再び背負い投げを仕掛けられ、体が畳の上で一回転。技ありを告げられ、劣勢に立たされた。
だが、西山は決して諦めない。虎視耽々と逆転の機会を狙い、その時を待つ。残り30秒。組んで相手を押し込むと、両足が揃った。左足をかけ、大外刈りで豪快に倒す。宋大男の背中がつき、主審は一本を宣告。しかし、副審は両者ともに技ありの判定だった。一本は取り消され、勝利は幻に。有効の分、まだリードしている相手から、さらなるポイントは得られず、悔しい敗戦となった。
普通の選手ならここで精神的にも切れてもおかしくないところ。短時間で気持ちを切り替え、敗者復活戦、3位決定戦とギリギリの試合を勝ち切った。世界柔道に出た経験もない西山にとっては、初の大きな国際舞台だった。本人は決して納得できないだろうが、粘ってメダルをつかんだことは必ずや今後につながるはずだ。
<田知本、ケガに泣く>
アクシデントが起こったのは準々決勝の陳飛(中国)戦だった。相手に巻き込まれて倒れた際に腕を極められ、左ヒジを痛めた。ヒジを抑え、苦悶の表情を浮かべる。ここから一気に調子が狂った。
ヒジを痛めるまでは順調な戦いぶりだった。陳飛に対し大外刈りが連続して決まり、有効2つを奪う。負傷後も残り時間は約1分20秒で、うまく戦って何とか逃げ切りたいところだった。
だが、ケガの痛みは予想以上に強いのか、まともに相手と組めない。その様子を見た陳飛は一気に息を吹き返した。積極的に前へ出て仕掛け、投げ技で有効2つを得てポイントで追いつく。
ゴールデンスコア方式の延長戦も田知本は相手の攻めをしのぐのが精一杯。自ら技をしかける場面は少なく、相手からポイントを奪うことができない。何とか旗判定に持ち込んだものの、審判団は無情にも陳飛の勝利を示す青旗を3本あげた。
ヒジをテーピングでグルグル巻きにして臨んだ敗者復活戦。相手は北京五輪銅メダリストのエディス・ボッシュ(オランダ)だ。強豪相手に動き自体はヒジの痛みを感じさせなかった。しかし、組んでも左腕には力が入らないのか、技を充分にかけられない。組み合ったまま膠着状態になる場面も目立ち、指導を2つ受け、有効を奪われる。挽回できないまま、試合終了のブザーが鳴り、メダルの可能性は消滅した。
昨年の世界柔道では3回戦敗退。同12月のグランドスラム東京でも3位に終わり、一度は遠のいた代表切符だった。だが、2月のグランドスラムパリで代表を争っていた國原頼子に一本勝ちして優勝。5月の最終選考会となった選抜体重別選手権も制し、ロンドン行きが決まった。
ケガで本領を発揮できなくなったのは残念だが、それでも本当に強い選手は勝ち上がる。間もなく22歳になる大学4年生。大舞台での経験をバネに、4年後の再チャレンジを望みたい。