8日からプロ野球のクライマックスシリーズ(CS)が始まる。CSファーストステージの対戦カードは、セ・リーグが巨人-横浜DeNA(東京ドーム)、パ・リーグが福岡ソフトバンク-千葉ロッテ(福岡ヤフオクドーム)。セ、パともに3戦で2勝したチームがファイナルステージへと進出する。3戦終了時点でタイの場合にはリーグ2位チーム(巨人、ソフトバンク)がファイナルへ。ファイナルステージは12日から開催。リーグ優勝を果たした広島、北海道日本ハムの本拠地が舞台となる。

 

 DeNA、CS突破の必須条件 ~セ・リーグ~

 

 チーム史上初のCS出場を決めたDeNAは、今季の対巨人戦は14勝10敗1分と勝ち越している。7月までは勝率5割だったものの、シーズン終盤の8月11日から巨人戦全6試合をモノにしている。

 

 今季のDeNAは、クリーンアップが機能して勝ちに持っていくという理想な戦い方ができている。直近の9月24日に東京ドームで行われた試合は、まさに主軸の活躍で掴んだ1勝だった。この試合、2番の梶谷隆幸、3番のホセ・ロペス、4番の筒香嘉智がそれぞれホームランを放ち、5番・宮崎敏郎の決勝タイムリーで接戦を制した。打撃力で比べると、4番がコロコロ変わる巨人よりも、攻撃パターンが確立されているDeNAに分があると予想する。

 

 DeNAの打線の中心は、もちろん4番の筒香だ。今季、自己最多の打率3割2分2厘、44本塁打、110打点をマークし、打点王と本塁打王の二冠を獲得した。巨人との対戦成績(打率3割1分9厘、7本塁打、18打点)から分かるように、苦手意識が全くない。

 

 好調な打線の一方で、投手陣にはやや不安がある。チーム最多の11勝(5敗)をあげた山口俊は調整が間に合わず、ファーストステージの登板を回避することが決まった。エース不在のなか、DeNAの先発は井納翔一、石田健大、今永昇太の3投手が有力である。

 

 初戦の先発が濃厚な石田は、今季巨人戦は2勝0敗と負けなしだが、この2勝は全てホームゲームで掴んだもの。ファーストステージの舞台である東京ドームでは、今季2試合投げたが1勝もあげていない。また、チーム別失点では巨人に最多の16失点を喫しているところも気がかりな点だ。

 

 巨人のバッターでは、DeNAをカモにしている坂本勇人と村田修一に気を付けなければならない。ともに、対DeNA戦は3割以上をマークしている。CSに慣れているベテランの阿部慎之助にも要注意だろう。

 

 先発3投手との対戦成績を調べると、今永は阿部を6打数1安打、石田は坂本を15打数3安打と抑え込んでいる。しかし、村田に関しては3投手とも3割以上打たれている。5打席以上対戦した投手では、リリーフ投手の三上朋也が6打数1安打で、“村田キラー”と呼べそうだ。

 

 DeNAがCSを突破するためには、先発陣が村田の前に走者をためないこと。そして、早い段階で“村田キラー”の三上朋也を投入することが、勝利の必須条件になるだろう。

 

 離脱者の復調と抑え陣が鍵 ~パ・リーグ~

 

 レギュラーシーズンを2位で終えたソフトバンク。最大11.5ゲーム差をつけながら大逆転を喫してリーグ優勝を逃した要因のひとつは、シーズン終盤の主力選手の負傷離脱だ。クライマックスシリーズではこれら離脱選手の復活がポイントとなる。


 柳田悠岐は9月1日の埼玉西武戦で右手薬指を骨折した。全治6週間と診断されて戦列を離れていたが、10月3日、宮崎でのフェニックスリーグの東北楽天戦で実戦復帰。初打席でヒット、そして盗塁と復調をアピールした。

 また9月26日に右肘痛を訴えてチームを離れていた今宮健太は、10月5日にチーム練習に参加した。今宮は遠投、守備練習、打撃練習などをこなし、送球、打撃で右肘に痛みがないことを確認。6日には紅白戦にも出場して2度の守備機会を難なくこなした。CS出場に障害はない。

 

 攻撃陣の再建が進む一方で気になるのは投手陣だ。15勝をマークして最多勝のタイトルを獲った和田毅は、左肘の違和感を訴えて9月23日に登録を抹消された。ファームで調整を続けていたが、CSはファースト、ファイナルともに出場が難しい状況だ。
 シーズン終盤に失点が目立った岩嵜翔らのセットアッパー陣の復調も鍵となる。千賀滉大、リック・バンデンハーグ、中田賢一、武田翔太ら先発陣から今季セーブ王のデニス・サファテまで、いかにバトンをつないでいくか。投手コーチ・佐藤義則の手腕も含めて継投策もCSの行方を左右することになりそうだ。

 

 対するリーグ3位のロッテは、対ソフトバンク8勝16敗1分けと大きく負け越しているが、10年以来の「下克上」のためにもファーストステージ突破を狙う。

 

 ロッテ攻撃陣の軸は、首位打者の角中勝也と4番のアルフレド・デスパイネ、ふたりのポイントゲッターだ。対ソフトバンクの打率は両者ともに2割台と分は悪いが、岡田幸文、清田育宏、加藤翔平らが彼らの前に出塁できるかどうか。1、2番を打つリードオフマンの活躍も鍵を握る。

 

 投手陣はゲーム後半を担う救援陣の分厚さがロッテの強みになる。シーズン序盤の好調を支えた西野勇士、大谷智久、藤岡貴裕、内竜也、益田直也がCSには揃ってブルペンで待機する。先発投手の調子次第では5回から継投で逃げ切る策も可能だ。涌井秀章、石川歩の両エースに加えて、ジェイソン・スタンリッジ、唐川侑己がシーズン最後の登板で好投を見せたのも好材料だ。

 

 さてファーストステージの勝者を待ち受ける日本ハムは、対ソフトバンク、対ロッテともに15勝9敗1分けとシーズンでも勝ち越している。指揮官・栗山英樹は「日本シリーズでの忘れ物を取りにいく」と優勝後のインタビューで語った。今年のキーワードは、下克上か、三連覇達成か、それとも4年前の雪辱か----。パの代表権を巡る熱戦に注目だ。