10日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦が行われ、横浜DeNAが巨人に4‐3で勝利し、初のCSファイナルステージ進出を決めた。DeNAは初回にホセ・ロペスの2ランで先制する。その後巨人が2点を返し、両チーム1点ずつ追加して3-3でゲームが進んだ。迎えた延長11回、途中出場の嶺井博希が決勝タイムリーを放ち、DeNAが勝ち越し。1点のリードを守護神の山崎康晃が守り、ゲームを締めた。

 

◇ファーストステージ第3戦

 嶺井、決勝タイムリー(横浜DeNA2勝1敗、東京ドーム)

横浜DeNA    4 = 210|000|000|01

巨人       3 = 200|001|000|00

 

勝利投手 田中(1勝0敗)

敗戦投手 澤村(0勝1敗)

セーブ  山崎(2S)

本塁打  (D)ロペス2号2ラン

  (巨)阿部1号2ラン、村田1号ソロ

 

 プレイボール直後に、ゲームは動いた。2番・梶谷隆幸の打席で、巨人先発・内海哲也が投じた内角のシュートが梶谷の左手に直撃した。痛がる梶谷はそのままベンチにさがり、関根大気と交代。ドームの半分を埋めたDeNAファンのブーイングが響くなか、3番のロペスが打席に入る。ロペスは5球目を勢いよく振り抜くと、打球は大きく舞い上がりレフトスタンドに入った。ブーイングは一気に歓声へと代わり、DeNAが2点を先制した。

 

 DeNAが序盤からゲームの流れを掴んだかと思われたが、その裏、DeNAの先発・石田健大が4番の阿部慎之助に2ランを浴び同点に追いつかれる。味方の援護を守り切れなかった石田だったが、バッティングで挽回した。2回表、石田はヒットを放ち出塁。次の桑原将志が二塁打を放ち、1死二、三塁とチャンスを広げた。ここで、梶谷の代役・関根が犠牲フライを放ち、石田がホームイン。3-2と勝ち越しに成功した。

 

 これ以上の失点を防ぎたい巨人は、ロペスを迎えた所で、内海を諦めブルペン待機させていた大竹寛を送った。ベンチの期待に応え大竹は、この回を無失点で切り抜けると、7回まで三塁を踏ませない見事なピッチングをみせた。

 

 好投する大竹を援護するように、6回裏、村田修一から執念の一発が飛び出した。村田は第2打席で石田にデッドボールを受けていた。左ヒザの外側にボールが直撃すると、村田はその場に倒れこみタンカでベンチ裏に運ばれた。しばらくゲームは中断されたが、村田は自らの足で戻ってきた。そしてこの第3打席、村田はカウント2-1からの4球目を左中間スタンドに放り込んだ。男・村田の意地の一発で、同点に追いついた。

 

 巨人は大竹、DeNAは砂田毅樹、三上朋也の両チームのリリーフ陣が好投し、両者譲らないまま試合が進んだ。

 3-3で迎えた9回裏、巨人はこの回先頭の村田が内野安打で出塁すると、俊足の鈴木尚広が代走で起用された。盗塁を試みようとリードを大きくとっていた鈴木は、一瞬、逆をつかれて、4番手の田中健二朗の牽制に刺されてしまう。今季盗塁成功率100%の鈴木だったが、サヨナラ勝ちのチャンスをつぶす形となった。

 

 試合は延長戦に入り、11回表のマウンドは10回を投げた澤村拓一がそのまま上がった。しかしここでアクシデントが発生。この回先頭の倉本寿彦が打った打球が、澤村の右足に直撃。澤村は降板を余儀なくされた。マウンドにはサイドスローの田原誠次が上った。

 

 ファイナル進出のためには何としてでもこのチャンスをモノにしたいDeNAは、エリアンが確実に送りバントを決めた。1死二塁で打席に入った嶺井は初球を躊躇なく振り抜いた。打球はレフトフェンスに直撃し、その間に二塁走者の倉本が生還。DeNAが4-3と勝ち越しに成功した。

 

 その裏、守護神の山崎康晃がランナーを背負ったものの、無失点に抑えてゲームを締めくくった。手に汗握る4時間21分におよぶ熱戦はレギュラーシーズン3位のDeNAが勝利した。11回表に訪れた得点のチャンスを確実にモノにしたDeNAに対して、巨人は9回裏の鈴木の牽制死が致命的だった。ファーストステージを2勝1敗で制したDeNAはレギュラーシーズン首位・広島が待つマツダスタジアムへとコマを進めた。

 

 セ・リーグファイナルステージは、12日に開幕する。