161013nomitai二宮: 今回のゲストは、“角界のレジェンド”と呼ばれた元関脇・旭天鵬の大島親方です。そば焼酎「雲海」のソーダ割り「そばソーダ」を飲みながら、大相撲談義に花を咲かせたいと思っています。

大島: 僕は元々、焼酎を炭酸で割って飲むタイプなんです。これもおいしいですね。

 

 

二宮: ずっとソーダ割り党ですか?

大島: はい。ここ最近はずっと炭酸で割っています。一緒に行く人の好みによって、飲む焼酎は異なりますが、全部ソーダ割り。同席する人に薦めているから、僕のまわりには「ソーダ割り」で飲む人が多いんですよ。ウイスキーは40度ぐらいだから強いと感じる人もいるかもしれませんが、25度の焼酎は炭酸で割るとちょうど飲みやすいんです。

 

二宮: 相撲取りには酒豪が多いですね。ある元大関に、「1日どのくらい飲みますか?」と尋ねると、「最低1升、多いときは6升」という答えが返ってきました。ひっくり返りそうになりましたよ(笑)

大島: 好きですね。実は昨日もめっちゃ飲みました。ビール、ハイボールを飲んだ後に僕の付き人と友人と3人で2升ほど。だから今日も若干二日酔いです(笑)。

 

二宮: 親方が一番飲んだときでどのぐらい?

大島: モンゴルではウォッカが一般的なんですが、それを7本ぐらい空けたことがあります。チェイサー代わりにカクテルを飲んでいました。だいぶ前のことですが、バカなことをやっていたね(笑)。でも、この焼酎なら、飲み口がいいからけっこう飲めそうです。相撲と一緒で、最初の当たりで大体実力がわかります。

 

“日本出身”力士への違和感

 

二宮: 9月場所は豪栄道関が初優勝を果たしました。カド番で迎えた場所で見事な全勝優勝です。11月場所はいよいよ綱とりになります。親方から見て、豪栄道関はどうでしょう?

大島: 今場所の相撲を取れれば、いけるんじゃないですか。大関に上がってからは、攻める姿勢がなくなっていた印象があります。はたきにいくなど、注文相撲が多かったですね。でも9月場所は攻めていました。

 

二宮: 彼の一番の強さは攻めですか?

大島: ええ。その攻めで大関になったのに大関になってから守りに入ってしまった感がありましたね。今場所は綱とりの懸かっていた稀勢の里関に注目が集まっていたこともあって、ノーマークだった。その分、やりやすい部分もあったと思います。

 

161013nomitai2二宮: 一方、プレッシャーのかかった稀勢の里関は10勝5敗と、またしても綱とりのチャンスを逃しました。親方は現役時代の対戦成績は9勝14敗ですが、どういう印象をお持ちですか。

大島: 最初は得意でした。初顔合わせから5、6番連続で勝っているんです。嫌いなタイプじゃないです。

 

二宮: どこか勝負弱い印象があります。

大島: 課題はメンタル面じゃないですかね。土俵上では冷静に見せていますが、たぶん弱いから余計に意識してやっているのかもしれません。たとえば、他の力士が呼吸を整えていても、彼はいつもと変わらないような表情をする。でも本当はすごく必死なんじゃないかなと思います。

 

二宮: 取り口はどうですか?

大島: 各々の型があるので、一概には言えませんが、攻めている時は強いけど、攻められると弱い印象がありますね。一発目で攻めた時は結構ガーっといって押し切れる。逆に攻められると慌てて完敗するような印象があります。

 

二宮: 横綱になるためには、まずはメンタル面の克服だと?

大島: 今場所は白鵬関が休場して、すごいチャンスだと思ったけどダメでしたね。

 

二宮: 9月場所は豪栄道関、1月場所では琴奨菊関が賜杯を抱きました。琴奨菊関の初優勝は、12年5月場所の親方以来となる日本人力士の幕内優勝です。親方は当時、既に帰化していましたが、それについてはあまり触れられなかったですね。

大島: 悔しいというより、その言い方が寂しかったですね。“日本生まれ”の関取とか、そういう表現をしていたじゃないですか。でも外国から来た人たちも、ちょんまげをつけて着物を着ている。この時点でみんな気持ちは日本人なんですよ。それをわかって欲しかった……。

 

 横綱相撲を地でいく強さ

 

二宮: 現役時代の幕内出場1470回は史上最多記録です。これまで多くの関取と相撲を取ったと思いますが、最強力士は誰でしょう?

大島: 今までやってきた中で一番強かったのは貴乃花さん(現・貴乃花親方)ですね。朝青龍関や白鵬関も強いんだけど、彼らは攻める相撲を取るじゃないですか。貴乃花さんは一回、相手を受け止めてから、攻めていましたね。今、思えば立ち合いで張ったりすることもない。

 

二宮: まさに横綱の相撲はこれだと。

大島: そうですね。別に朝青龍関や白鵬関の相撲が悪いというわけではないんですが、貴乃花さんは全部受け止めて、取っていたイメージです。

 

二宮: ぶつかっていく時は壁に当たるみたいな感覚でしょうか。

大島: こちらが攻めていても、力が真っすぐ相手に伝わらわないんですよ。

 

二宮: 吸収されるみたいなイメージ。やはり貴乃花さんだけですか。

大島: その時はそうでしたね。武蔵丸さん(現・武蔵川親方)、曙さんとも対戦したことはあって、“でかいな”とは思って圧倒されたこともありました。でも貴乃花さんには、向こうが「はい、はい、ご苦労さん」みたいな感じでひねられる。横綱相撲とは、“正面から相手を受け止めて圧倒的な力の差を見せつけて勝つこと”を指しますが、その言葉にそのまま当てはまるのが貴乃花さんなのかなと思います。

 

 朝青龍の“何をしてくるかわからない怖さ”

 

161013nomitai4二宮: モンゴル出身の後輩である朝青龍さんは、その貴乃花さんの幕内優勝回数を上回る25回の優勝を成し遂げました。

大島: 朝青龍関はスピーディーで相手を威嚇したりもする。力士にはそれぞれのスタイルがあるじゃないですか。彼も強いですが、貴乃花さんとはちょっと違うタイプだなと思いますね。

 

二宮: 朝青龍さんとは2勝36敗です。

大島: 2回勝ったうちの1勝は朝青龍関が横綱になって、最初の黒星が僕なんです。掛け投げで2人とも土俵下まで吹っ飛びました。

 

二宮: 先ほどもお話にありましたが、朝青龍さんはとても俊敏でした。捕まえるのが大変だったのでは?

大島: ええ。2回負けてから僕が得意な四つの型にはならないようにしていましたね。それに朝青龍関には何をしてくるかわからない怖さがあった。睨まれたり、威嚇もされましたね(笑)。

 

二宮: 先輩相手に威嚇するんですか。

大島: 勝負の世界は別ですからね。ただ僕のことを張ったりはしなかったですね。“来いよ”と眼で挑発される感じはありました。“なんだ、この野郎”と思って、こっちもその気になるじゃないですか。先輩後輩というのは、土俵の上では関係ないです。

 

 白鵬、“平成の大横綱”に近い柔らかさ

 

二宮: なるほど。史上最多の37回優勝を果たしている白鵬関は?

大島: 白鵬関は貴乃花さんに近い取り口ですね。まず受けるけど、貴乃花さんよりも柔らかさがある。僕も何回か投げられたことがありますが、力任せではなく下にひきずる感じなんです。もう、こけざるを得ないぐらいの投げ方をする。

 

二宮: 理に適っているんでしょうね。

大島: 僕は下手から投げを打つイメージだけど、白鵬関は身体を開いて下に引き寄せて投げを打つんです。

 

二宮: 腰の位置はずっと変わらないですもんね。

大島: むしろ僕らよりも低いんじゃないかな。この前、TV番組でやっていましたが、立ち合いの瞬間がすごく低い。相手のまわしより1枚ぐらい下に白鵬関の腰がありました。

 

二宮: それだけ下半身が安定しているという証拠でしょうね。

大島: そうです。そして身体が柔らかくないと低い立ち合いはできないんです。僕はいつも足首やヒザが硬いって言われていました。だから腰高だったんです。

 

二宮: なるほど。グラスもあっという間に空になって、もう何杯目でしょうか(笑)。次は親方の現役時代のお酒にまつわるエピソードもお聞かせください。

大島: とても飲みやすいので、お酒も話もどんどん進みますね。

 

(後編につづく)

 

 <大島勝(おおしま・まさる)プロフィール>

 161013nomitaipf1974年9月13日、モンゴル・ナライハ市(現・ウランバートル市ナライハ区)生まれ。本名太田勝。92年2月に来日し、大島部屋に入門。史上初のモンゴル出身力士となった。同年の3月場所で初土俵を踏み、98年の1月場所で新入幕を果たす。192センチの長身を生かした四つ相撲で関脇まで昇進した。05年にはモンゴル出身力士として初の日本国籍を取得。12年4月には大島部屋閉鎖に伴い、友綱部屋へ移籍した。5月場所では12勝3敗の好成績で優勝決定戦へ進出。37歳8カ月という史上最年長での初優勝を成し遂げた。40代を過ぎても土俵に立ち続け、“角界のレジェンド”と呼ばれた。15年7月場所限りで現役を引退した。現在は年寄・大島を襲名し、後進の指導にあたっている。優勝1回、敢闘賞7回。金星2個。幕内での通算成績は697勝773敗15休。幕内出場1470回は史上最多。

 

 

今回、大島親方と楽しんだお酒は本格そば焼酎「雲海」。厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。

 

提供/雲海酒造株式会社

 

<対談協力>

イタリアンレストラン Kamiya

東京都新宿区三栄町6 第一原嶋ビル1F

TEL:03-5379-6628

 

営業時間:

ランチ   11:30~14:00

ティー   14:00~16:30

ディナー 17:30~23:00(L.O.22:00)

 

☆プレゼント☆

 大島親方の直筆サイン色紙を本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらより、本文の最初に「大島親方のサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)を明記し、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は11月10日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

 

◎クイズ◎

今回、大島親方と楽しんだお酒の名前は?

 

お酒は20歳になってから。

お酒は楽しく適量を。

飲酒運転は絶対にやめましょう。

妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

 

(構成・写真/杉浦泰介)


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