白熱の決勝、PK戦で浦和優勝 ~JリーグYBCルヴァンカップ~

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 15日、JリーグYBCルヴァンカップ決勝、浦和レッズ対ガンバ大阪が埼玉スタジアム2002で行われた。前半17分にG大阪FWアデミウソンがカウンターから先制点を奪った。後半31分、途中出場のFW李忠成が右CKから頭で合わせて、浦和が追いついた。その後、スコアは動かず、延長戦に入っても決着はつかなかった。PK戦までもつれた熱戦は浦和がG大阪を5-4で退け、13年ぶりにJリーグカップを制した。尚、大会MVPは貴重な同点ゴールを決めた李が受賞した。

 

 西川、PKを1本止める活躍(埼玉)

浦和レッズ 1-1 ガンバ大阪

  (PK -4)

【得点】

[G] アデミウソン(17分)

[浦] 李忠成(76分)

 

 1日のリーグ戦で激突した両チーム。4-0で大勝した浦和に勝利の女神は微笑んだ。

 

 浦和はG大阪のDFライン4枚と中盤4枚にシステムの肝である2シャドーの動きを封じられ、苦しんだ。すると、試合は17分に動く。浦和はパスをMF遠藤保仁にカットされ、最前線で待ち構えるアデミウソンへパスを送られる。縦パスをインターセプトしようと前に出たDF遠藤航が、アデミウソンに反転で振り切られ、ハーフラインから独走を許す。そのままGK西川周作との1対1に持ち込こまれると、冷静に左足インサイドでゴール左に流し込まれた。カウンターに徹したG大阪の術中にハマったが、「カウンターで失点したが、慌てることはなかった」と、西川は試合後に振り返った。

 

 その後、浦和は押し込むものの、これといって決定的な形を作れず前半は終了した。ハーフタイムで、FW興梠慎三は「後半、必ず多くのチャンスを作れるはず」と、チームを鼓舞する。浦和はここ10年近くタイトルから遠ざかっているが、鹿島時代にタイトル獲得経験のあるエースがチームを鼓舞した。

 

 後半に入り、G大阪は2度チャンスを作るがゴールネットを割れない。すると、31分、浦和が右CKを獲得したところでミハイロ・ペトロヴィッチ監督が動く。MF高木俊幸に代えて李を投入。右CKのキッカーのMF柏木陽介はニアに鋭く曲がるボールをあげる。このボールにピッチに入ったばかりの李が頭で合わせて試合を振り出しに戻した。

 

 両チームはその後の決定機を決め切れず、延長戦へ突入した。延長後半15分、浦和はG大阪にヒヤリとさせられる。途中出場のMF藤本淳吾に右サイドでボールをキープされ、ペナルティーエリア内へスルーパスを通された。このパスが途中出場のFW呉屋大翔に渡ると、右足でゴール右を狙われたシュートはポストに当たり、ノーゴール。浦和は九死に一生を得た。

 

 延長戦でも決着はつかず、カップの行方はPK戦へ。G大阪が先攻、浦和が後攻。互いに3人ずつ順調に決めて迎えたG大阪の4人目は大卒ルーキーの呉屋が蹴った。ここでゴールほぼ正面を狙ったキックを西川が右足で止めた。見事にPKをセーブした西川は「ホッとしています。1本は真ん中にくると思った。(G大阪の)今野(泰幸)選手に真ん中に決められたときは、“次は(正面から)動かないようにと思った」と満足顔。浦和の4人目、G大阪の5人目の遠藤保が着実にゴールネットを揺らす。最後の浦和のキッカーはMF武藤雄樹。これを決めれば勝敗が決する。プレッシャーのかかる中、遠藤航が冷静にゴール右上に決めて、浦和が13年ぶり2度目のJリーグカップで頂点に立った。

 

 交代直後のCKからヘディングで貴重な同点ゴールを奪った李は、大会MVPに輝いた。殊勲のヒーローはピッチに入るときの心境をこう語った。

「 “自分のところにボールは来るんだ”という気持ちが引き寄せたゴールだと思う。やはり、イメージしないと緊張して外していたと思う。途中から入って自分がヒーローになるんだという攻めの気持ちがゴールを呼んだ」

 

 浦和は07年にアジアチャンピオンズリーグを制して以来、ペトロビッチがチームを率いてから初めてのタイトル獲得となった。このままの勢いで、06年以来のJリーグチャンピオンも狙う。

 

(文/大木雄貴)

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