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(写真:先制トライを含む2トライを挙げた尾崎)

 20日、関東大学ラグビー対抗戦グループAは帝京大学が明治大学を42ー15で下した。5戦全勝同士の対戦を制した帝京大は、1試合を残して6年連続7度目の優勝が確定した。リーグ最終戦の筑波大学(12月3日)に引き分け以上で単独優勝が決まる。帝京大が敗れた場合、明大は最終戦(12月3日、早稲田大学)の勝利で同校優勝。現在、4勝1敗の早大も優勝の可能性を残している。

 

 深紅の王者が、まず対抗戦V6を達成。全国大学ラグビー選手権8連覇へ向けて弾みをつけた。

 

 2週間前、攻めては11トライ、守っては早大をノートライに抑え、75ー3と圧倒した帝京大。一方、明大は慶應義塾大学にロスタイムでの劇的な逆転勝利を収めた。昨年は対抗戦優勝を分け合った両校が今年も全勝対決で覇権を争うこととなった。

 

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(写真:安定したキックとゲームメークでチームを牽引した松田)

 試合が動いたのは6分。SO松田力也(4年)、FB尾崎晟也(3年)の京都・伏見工業高コンビで決めた。右サイド敵陣深くに攻め込むと、パスを受けた松田が明大ディフェンスの裏を突くグラバーキック。転がったボールはインゴール目前で跳ね上がる。それを尾崎が掴んでゴールへ飛び込んだ。鮮やかな足技で先制点をアシストした松田はコンバージョンも確実に決める。

 

 一気に帝京大ペースに傾くかと思われたが、37分にNo.8ブロディ・マクラカン(2年)が反則により、シンビン(10分間の一時退場)を科される。その2分後にはWTB山村知也(1年)にトライを奪われて、21ー8と点差を詰められた。

 

 1人少ないまま、後半を迎えた帝京大。キックオフのボールをターンオーバーする。左サイドで攻め込むと、小畑がキックパスを送る。高く舞ったボールが大外の竹山に渡り、そのままトライをもぎ取った。松田は左隅のコンバージョンを成功させて20点差にリードを広げる。

 

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(写真:「反省の見える試合だった」と試合を総括した岩出監督)

 帝京大は、18分に松田が尾崎のトライをアシスト。ロスタイムにはPR垣本竜哉(3年)がトライを奪った。松田はいずれのコンバージョンも確実に決めて、この試合のキック成功率は100%と抜群の安定感を誇った。両踵で足踏みするルーティンでリズムを取って、自らのペースを崩さなかった。終了間際に明大にトライとゴールを返されたが、42ー15でノーサイド。開幕6連勝で対抗戦6連覇を決めた。

 

 帝京大の岩出雅之監督は「積み上げた成果で喜びもあるが、学生たちは“8”の方にこだわりがある」と語る。キャプテンのFL亀井亮依(4年)は「このチームを始めた時から目標は日本一」と口にした。次戦の相手は筑波大。昨年対抗戦で敗れている。「目の前の一戦一戦を全力でやる。筑波大学戦は去年、嫌な思いをした。チーム全体を締めて、いい準備をして臨みたいです」と亀井。大学日本一、そして日本選手権へ向けて深紅の王者は邁進する。

 

(文・写真/杉浦泰介)