14日、クラブワールドカップ(CWC)準決勝の鹿島アントラーズ(開催国代表)対アトレティコ・ナシオナル(南米王者)が大阪・吹田スタジアムで行われ、3-0で鹿島が勝利した。試合は前半33分、ビデオ判定で獲得したPKをFW土居聖真が決めた。後半38分にはMF遠藤康の2試合連続ゴール、40分には途中出場のFW鈴木優磨がダメ押し点を入れた。鹿島は18日、神奈川・日産スタジアムで行われる決勝へ進む。明日15日のレアル・マドリード(欧州王者)対クラブアメリカ(北中米カリブ王者)の勝者と対戦する。

 

 FIFA主催試合初のビデオ判定でPK獲得(吹田スタジアム)

鹿島アントラーズ 3-0 アトレティコ・ナシオナル

【得点】

[鹿] 土居聖真(33分)、遠藤康(83分)、鈴木優磨(85分)

 

 試合開始から鹿島は苦しんだ。アトレティコ・ナシオナルのFWミゲル・ボルハにボールをキープされ押し込まれる。ボールを相手に支配され、シュートも嵐のように浴びた。クロスバーにも助けられた。いつ先制を許してもおかしくない中、GK曽ケ端準、DF昌子源、DF植田直通を中心にギリギリのところで南米王者の波状攻撃を跳ね返した。

 

 我慢の時間が続く鹿島に、国際サッカー連盟(FIFA)主催試合で初めて採用された、「ビデオアシスタントレフェリー制度」(VAR)が先制点の後押しをした。

 

 28分、鹿島はゴールから35メートル以上離れた左サイドでFKを得る。キッカーのMF柴崎岳がペナルティーエリア内にクロスを供給。この際、ファーサイドからペナルティーエリア内に走り込んだDF西大伍がFWオルランド・ベリオに足を掛けられ転倒する。一度は流されたが、数分後にレフェリーがビデオで映像を確認。VARの結果、西へのファールが認められ鹿島はPKを獲得した。このPKを33分に土居がゴール左へ決めた。“科学の眼”により、フェアなジャッジが下された瞬間だった。

 

 鹿島ファンにとって心臓に悪い展開は後半も続いた。14分にはボルハの単独突破からシュートを放たれるが、曽ケ端が右足一本でセーブ。22分にもボルハにペナルティーエリア内でシュートを打たれたものの、昌子がシュートコースに割って入って防いだ。

 

 FWの2人以外はべったりと引いて自陣から出られない鹿島。しかし、“ここぞ”の場面を嗅ぎ取り、人数をかけて攻めた。38分、鹿島に貴重なゴールが生まれる。左サイドで攻め残っていた柴崎に土居が頭でつなぐ。パスを受けた柴崎は左足でアーリークロスをファーサイドの遠藤へ。このクロスを一度は、GKフランコ・アルマニが飛び出すがクリアし切れない。こぼれ球に反応した遠藤がトラップから右足ヒールで華麗に流し込んだ。

 

 こうなると鹿島のペースだ。得点直後の39分に運動量の落ちたMF中村充孝に代えて鈴木をピッチへ送る。すると40分に守備が緩慢になった右サイドを突いた。途中出場のFW金崎夢生が抜け出し、グラウンダーのクロスを入れる。このボールに鈴木が左足インサイドで押し込み、ダメ押しゴールを奪った。

 

 終わってみれば3-0の快勝で鹿島がアジア勢初となるCWC決勝進出を決めた。試合後、先制ゴールとなるPKを決めた土居は「歴史を塗り替えられるように、準備をして頑張りたい」と決勝への抱負を述べた。

 

 Jリーグ年間勝ち点3位だった鹿島が、世界のクラブの頂点を懸けて決勝の舞台へと臨む。鹿島の勝負強さが世界に通用するかどうか。18日、横浜での決戦を見届けたい。

 

(文/大木雄貴)