四国アイランドリーグPlusの2012シーズンの年間王者を決めるリーグチャンピオンシップが29日に第1戦(松山・マドンナスタジアム、13時〜)を迎える。あいまみえるのは前期優勝の香川オリーブガイナーズと後期優勝の愛媛マンダリンパイレーツ。両者がチャンピオンシップで対戦するのは、2008年以来3度目。過去2度の対決では香川がいずれもスイープ(07年2勝0敗(前後期制覇の香川にアドバンテージ1勝)、08年3勝0敗)で愛媛を下している。愛媛は四国4球団で唯一、年間王者になった経験がなく、創立8年目で悲願の頂点を狙う。香川が優勝すれば、リーグ最多となる5回目のチャンピオンに輝く。
(写真:広島から派遣され、速球に加えて変化球も磨き、最多勝を獲得した香川・山野)
 投打ともにバランスが整ったチーム同士の激突だ。今季のリーグの投手、打撃の個人タイトルを両球団が独占したように、投打ともに柱となる選手が揃っている。香川は広島の育成選手で最多勝(16勝)をあげた山野恭介が軸。香川でさらに球速が増したストレートを武器に相手打者を牛耳る。今季成長を遂げた大場浩史、1年目で第1戦の先発に抜擢された渡辺靖彬と先発のコマは揃っている。

 リードすれば左腕の西村拓也、抑えの酒井大介とつなぐ継投も盤石。前期はオリックスに移籍したアレッサンドロ・マエストリが大車輪の働きをみせたが、9月に入団したアンソニー・プルータも重い速球を投げる。レギュラーシーズンでの愛媛戦の登板はわずか1試合で、香川にとっては秘密兵器とも言える存在だ。

 一方の愛媛は最優秀防御率、最多奪三振の2冠を獲得した小林憲幸、デイビット・トレイハンの2枚看板が強力。昨季10勝をあげた古舘数豊も後期に入って復調し、第1戦の先発に指名された。先発陣は充実している。また夏場は状態が悪く、登板がなかった元中日の河原純一が、ここにきてマウンドへ戻った。昨年の今頃はNPBのクライマックスシリーズ、日本シリーズでも登板しており、修羅場を幾度となくくぐりぬけていた投球術は大舞台で光るはずだ。
(写真:先発転向で投球の幅を広げ、「三振ではなく打たせて取るピッチングが快感になってきた」と話す小林

 打線でも香川は元阪神の桜井広大、愛媛は元横浜の橋本将とNPBでも活躍した選手が中軸に座る。彼らを完璧に抑えるのは難しいだけに、いかにその前にランナーを溜めないかがポイントになるだろう。逆に言えば、両チームとも1、2番が出塁して得点機を広げたい。

 香川のトップバッターは盗塁王の水口大地だ。「塁に出れば走られるイメージがある」と愛媛のキャッチャー宏誓は警戒する。愛媛は樋口拓平、流大輔の左バッターの1、2番コンビがカギを握る。香川は主力投手に右投げが多く、マスクを被る星野雄大は「抑えられるバッターをきっちり打ち取らないと、打線がつながる」と語る。

 後期は最終戦で敗れて前後期制覇を逃した香川は故障で離脱していた4番の島袋翔伍、足のあるウィルバー・ペレスがチャンピオンシップに間に合った。ベストメンバーで切れ目のないオーダーが組めそうだ。愛媛は首位打者に輝いた大井裕喜の起用法に注目したい。まだ守備に難があるため、シーズン中はDHで橋本将との併用だったが、投手力のある香川が相手となれば、打線に厚みもほしい。星野おさむ監督の判断も問われそうだ。

 今季の対戦成績は12勝8敗4分と香川が勝ち越している。後期に限っては5勝5敗2分と互角だ。とはいえ、過去の対戦で香川が一気に連勝で制したように初戦をとると流れが傾く可能性がある。第1戦が占めるウエイトは重い。「初戦が地元なのは大きい」と愛媛出身の宏誓はホームアドバンテージを追い風にするつもりだ。

 対する香川の星野は「波に乗らせないようにまずは各バッターの1打席目を大事に抑えたい」と話す。立ち上がり、第1打席の一投一打でどちらが普段通りのリズムで野球ができるのか。1点に笑い、1点に泣く「1」にこだわるチャンピオンシップになるかもしれない。 

<チャンピオンシップ概要>

【試合日程】
9月29日(土) 第1戦 愛媛−香川 マドンナスタジアム 13時
9月30日(日) 第2戦 愛媛−香川 坊っちゃんスタジアム 18時
※雨天などで順延の場合、予備日程で実施(10月1日〜2日 坊っちゃんスタジアム 18時)。

10月6日(土) 第3戦 香川−愛媛 レクザムスタジアム 18時
10月7日(日) 第4戦 香川−愛媛 レクザムスタジアム 18時
10月8日(祝) 第5戦 香川−愛媛 レクザムスタジアム 18時
※雨天などで順延の場合、第5戦終了時で決着がつかない場合、予備日程で実施(10月9日〜11日 レクザムスタジアム 18時)

【チケット】
前売り=大人:1,200円 小・中学生:500円
当日=大人:1,500円 小・中学生:600円
※未就学児は無料

【ルール】
・3戦先勝したチームが優勝とする。
・全5戦を終了した時点でいずれのチームの勝敗も3勝に満たない場合は、対戦成績で勝数の上回っているチームが優勝。対戦成績が同じ場合は、予備日にて追加で1試合を行ない、勝ったチームの優勝とする。
・雨天等により予備日を含む全ての日程を消化できなかった場合は、対戦成績で勝数の上回っているチームが優勝。成績が同じ場合はチャンピオンシップでの失点率が低いチームを優勝とする。
・9回裏を終了して同点の場合は延長戦を行う。延長戦は原則として決着がつくまで行う。ただし、球場使用時間制限等により引き分けとなる場合がある。