13日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズファーストステージが開幕し、中日(レギュラーシーズン2位)と東京ヤクルト(同3位)が対戦した。中日は4回に和田一浩の2ランで先制に成功すると、6回に加点。7回にヤクルトの反撃を許すも、その裏に3点を追加し勝負を決めた。中日が6−1で初戦をモノにし、ファイナルステージへ一歩前進した。

◇ファーストステージ
 和田、3安打3打点の活躍(中日1勝0敗、ナゴヤドーム)
東京ヤクルト   1 = 000000100
中日         6 = 00020130×
勝利投手 中田賢(1勝0敗)
敗戦投手 石川(0勝1敗)
セーブ   山井(1S)
本塁打  (ヤ)バレンティン1号ソロ
       (中)和田1号2ラン
 中日が先行逃げ切りという得意パターンで先勝した。投打のヒーローは先発を任された中田賢一と5番の和田だ。

 今季ヤクルト戦で2勝をあげ、防御率1.71の相性の良い中田賢は、「後ろにいい投手がいるので、1アウトでも多くとろう」という気持ちで最初から飛ばした。持ち味の重い直球は冴え、悪癖の与四球も0個と、快調なピッチングで5回を3安打無失点に抑えた。

 制球の定まらないヤクルト先発の石川雅規を打ちあぐねていた中日打線だったが、4回裏に中田賢の好投に応えた。先頭のブランコが四球で出塁、続く和田がバッターボックスに入る。「目一杯投げているのはわかったので、先に点をとってあげたかった」と試合後振り返った和田は1−2から石川のインコース低めのシンカーを弾き返した。レフトスタンド最前列に飛び込む2ランホームラン。40歳ベテランの値千金の一撃で、中日が2点のリードを奪う。

 豊富なブルペン陣を誇る中日は、6回から田島慎二がマウンドに上がる。今季56試合に登板し、防御率1.15の活躍を見せたルーキー右腕は、ヤクルト打線を三者凡退にきってとる。

 その裏、中日は2死二塁から堂上剛裕がレフトへタイムリーヒットを放ち、1点を追加。続く打者が四球で一、二塁のチャンスが巡ってきた。迎えるバッターは9番の田島。当然、代打を送るケースだと思われたが、高木守道監督は田島の続投を選択。田島は簡単に空振り三振に終わり、場内に嫌な空気が漂った。

 その直後の7回表、試合が動く。先頭のウラディミール・バレンティンが田島の真っすぐをレフトスタンドへ叩き込んだ。2年連続本塁打王が意地の一発で、流れを手繰り寄せる。動揺した田島は2四球を与え1死一、二塁のピンチで降板。一気にヤクルトの反撃ムードに変わる。ここで火消し役を任されたのは浅尾拓也だ。浅尾はベンチの期待に応え、相川亮二を左飛、代打・福地寿樹を空振り三振に封じる。昨季MVP右腕が相手に傾きかけた流れを完全に断ち切った。

 ピンチを脱した中日に、一転してチャンスがやって来る。大島洋平、荒木雅博の連打で一、三塁とすると、森野将彦が四球を選び無死満塁の絶好機。1死後、和田のタイムリーと井端弘和の犠飛など一挙3得点を加え、ダメ押した。中日が6年連続のファイナルステージ進出へ向け、打線も2ケタ安打を放って勝利し、好スタートを切った。

 敗れたヤクルトは、得点はバレンティンの1発のみ。4度、得点圏にランナーを出すも、あと1本が出なかった。起用した投手陣もピリッとせず、後がなくなった。残り2戦を館山昌平、村中恭平に託し、逆転でのファイナルステージ進出にかけたい。