17日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージが開幕し、北海道日本ハム(レギュラーシーズン1位)と福岡ソフトバンク(同3位)が対戦した。試合は両先発の投手戦で終盤までスコアボードにゼロが並んだ。日本ハムは7回に先制を許すも、その裏に糸井嘉男の2ランで追いつくと、二岡智宏のタイムリーで逆転に成功。残り2イニングを盤石の継投で逃げ切り、3対2で勝利した。日本ハムはこれでアドバンテージの1勝を加え、成績を2勝0敗とした。

◇ファイナルステージ
 吉川、7回2失点の力投(日本ハム2勝0敗、札幌ドーム)
福岡ソフトバンク    2 = 000000200
北海道日本ハム     3 = 00000030×
勝利投手 吉川(1勝0敗)
敗戦投手 藤岡(0勝1敗)
セーブ   武田久(1S)
本塁打  (日)糸井1号2ラン
 クライマックスにふさわしい1点を争う好ゲームを制したのは、リーグ王者の日本ハムだった。

 試合は速球派サウスポーの投げ合いで展開した。日本ハムは今季14勝をあげた吉川光夫が、初回こそ硬さを見せたが、徐々に得意の直球が冴え、本領を発揮。6回まで7三振を奪い、ゲームを作る。

 対するソフトバンクの陽耀勲はそれを上回る快投を見せる。MAX152キロのストレートに140キロ台の変化球で日本ハム打線を翻弄する。4回までパーフェクトと満点快投。5回に先頭の中田翔に初ヒットを許したものの、後続を打ち取り得点を許さない。

 息詰まる投手戦の中、均衡を破ったのはソフトバンクだ。7回、本多雄一、内川聖一の連打で、この試合初めて得点圏にランナーが出る。続く打者はサードゴロに倒れるが、1死一、三塁のチャンス。ここで打席に入るのは、今季限りの引退を表明しているチームリーダーの小久保裕紀。12球まで粘ったが、吉川の内角低めのカーブにバットは空を斬り、三振で2アウト。続くバッターは多村仁志。35歳のベテランは、インコースの真っすぐにバットを折られながらも、弾き返す。詰まった打球は、ショート金子誠の頭を越え、走者2人が還った。ソフトバンクが先制に成功する。

 援護をもらった陽だったが、リードを守り切れない。先頭の弟・陽岱鋼にセンター前へ弾き返されると、続く杉谷拳士にきっちり送られ、1死二塁のピンチを迎える。バッターボックスには、4年連続打率3割をマークしている糸井。ここまで2三振の糸井だったが、「なんとか1点をとりたい」と、意地を見せた。カウント2−1からの高めのスライダーを振り抜くと、打球はライトスタンドへ一直線に飛び込んだ。劇的な一発で、先発の陽をマウンドから引きずり降ろした。

 同点に追いついた日本ハムは、続く中田がショートへの内野安打で出塁する。5番・稲葉篤紀を迎え、球場のボルテージは最高潮に。ソフトバンク秋山幸二監督は、その流れを断ち切るために2番手・藤岡好明に代えて、森福允彦を投入。森福は稲葉をセンターフライに抑え、1アウトをとる。しかし、続く小谷野栄一にレフトへのヒットを許してしまう。1死一、三塁の場面となり、今度は日本ハムの栗山英樹監督が動く。マイカ・ホフパワーの打順で代打・二岡をコールする。「球場の雰囲気が打たせてくれた」と、二岡は初球、外角のストレートを逆らわずにライト前へ運ぶ。代打の切り札が、北海道の大声援を背に受け、鷹の中継ぎエースを打ち崩し、決勝点を奪った。

 こうなると日本ハムは必勝パターンでゲームを締めくくる。8回はホールド王の増井浩俊が、9回はセーブ王の武田久がソフトバンク打線をシャットアウト。今季9勝13敗2分けと、苦手ソフトバンクに逆転勝利を収め、日本ハムにとってのCS初戦は好発進となった。明日の先発は11勝7敗、防御率2.36の武田勝。安定感抜群の左腕で日本シリーズ進出へ王手をかけたい。

 敗れたソフトバンクは、これで0勝2敗と苦しい展開になった。ただ、それ以上にセットアッパー森福が打たれことが痛い。絶対的信頼を置くブルペンの切り札を出して、落としたダメージは2戦目以降にも尾を引きかねない。第2戦は新垣渚が登板する。ソフトバンクは、今季復活を遂げた10年目の右腕に逆襲の望みを託す。