17日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージが開幕。レギュラーシーズン1位の巨人・内海哲也、同2位の中日・大野雄大の両先発投手の力投で接戦となった初戦、チャンスを確実にモノにした中日が、盤石の投手リレーで逃げ切った。これで通算成績は1勝1敗となった。

◇ファイナルステージ第1戦
 谷繁、ポストシーズン61打席ぶりにヒット(中日1勝1敗、東京ドーム)
中日   3 = 001001001
巨人   1 = 000100000
勝利投手 大野(1勝0敗)
敗戦投手 内海(0勝1敗)
セーブ   山井(1S)
 2年連続最多勝の巨人先発の内海哲也と、東京ヤクルトとのファーストステージで打率6割9分2厘と絶好調の盗塁王・大島洋平との対戦で始まったファイナルステージの初戦。まずは内海が大島を内角高めの変化球でピッチャーゴロに打ち取ると、荒木雅博、井端弘和も内野ゴロに仕留め、三者凡退と最高の立ち上がりを見せた。

 その裏、中日の先発、2年目のサウスポー大野雄大はCS初登板の緊張からか先頭の長野久義を四球で出してしまう。藤村大介はバント失敗に終わるも、坂本勇人がチーム初安打で続き、1死一、二塁の場面で、二冠王の阿部慎之助に打席がまわる。阿部に対し、キャッチャー谷繁元信は徹底的にアウトコースを要求する。そしてフルカウントからの7球目、大野は渾身のストレートで阿部をセカンドゴロに打ち取った。

 しかし、なおも2死二、三塁の場面、巨人にとっては先制のチャンスが続く。打席には復調が待たれる村田修一。村田はファウルで粘りを見せるも、最後は大野の鋭く落ちるフォークボールに手が出て空振り三振。巨人はチャンスを生かすことができず、これが結果的に大きく響くことになる。

 均衡が破れたのは3回表だった。中日は先頭の森野将彦がチーム初安打で出塁すると、谷繁元信の内野ゴロの間に二塁へ進む。大野はスリーバント失敗に終わるも、続く大島が好調ぶりを発揮。1−1からの3球目、真ん中に入ってきたスライダーをセンターへ弾き返した。二塁ランナー森野は思い切って三塁を蹴り、ホームを狙う。長野からのバックホームがそれ、中日が貴重な先取点を挙げた。

 初回こそ29球を投じた大野だったが、2、3回は強気なピッチングで巨人打線を完璧に封じた。一方、内海は先取点を奪われて以降、徐々にコントロールが乱れ始める。4回表、先頭の荒木雅博には高めに浮いた変化球をうまくレフトに弾き返されると、1死後の和田一浩にはストライクが入らず、ストレートの四球。さらにトニ・ブランコにも四球を出し、1死満塁と自らピンチを招いた。しかし、内海はエースの意地を見せる。まずは平田良介をピッチャーゴロに打ち取り、三塁ランナーをホームで刺して2死とすると、続く森野もピッチャーゴロに打ち取り、最大のピンチを無失点で切り抜けた。

 その裏、疲労が出てきたのか、大野にも変化が見え始める。先頭の坂本を初めての四球で出すと、続く阿部はバックの好プレーでショートライナーに打ち取るも、村田をストレートの四球で出す。このチャンスを巨人は逃さなかった。調整のために出場したフェニックス・リーグで快音を鳴らし、好調をアピールしていた高橋由伸が真ん中に入ってきたストレートをジャストミートし、鋭い打球をセンターへ。二塁ランナー坂本が一気にホームへ返り、試合を振り出しに戻した。

 しかし6回表、内海は再びピンチを招く。1死後、井端にヒットを打たれると、一発への警戒心からか和田を2打席連続の四球で出してしまう。ブランコは空振り三振に切って取るも、平田に高めに甘く入ったチェンジアップをレフト線へ運ばれ、2点目を許した。

 その裏、先頭の阿部が大野の高めに抜けた変化球を見逃さず、ライトへ大飛球を放った。あわや同点弾かと思われたが、打球はスタンドの手前で失速し、ライトフライとなる。ほっと胸をなでおろしたのも束の間、大野は続く村田をサードゴロに打ち取るも、続く高橋には2打席連続でヒットを許した。ここで中日の高木守道監督は大野を諦め、ルーキーの田島慎二をマウンドに上げた。その田島は矢野謙次を三振に切って取り、ベンチの期待に応えた。

 田島は7回裏、1死後に代打・松本哲也にヒットを打たれるも、長野を併殺打に打ち取り、結果的には3人で終わらせる。そして8回裏は浅尾拓也がピシャリと3人で終わらせ、最終回へ。すると9回表、1死一塁からポストシーズンでは60打席連続無安打だった谷繁にヒットが出る。高橋がクッションボールの処理にもたついている間に、一塁ランナー森野が生還し、中日はダメ押しとなる3点目を挙げた。

 その裏、マウンドを託されたのは山井大介。ファーストステージで3連投した疲労も見せることなく、山井は村田、高橋、代打・石井義人と3者連続で内野ゴロに打ち取り、ゲームセット。試合巧者ぶりを発揮した中日が先勝し、これで通算成績を1勝1敗とした。巨人は主砲の阿部が4打数無安打、5番に起用された村田も3打数無安打と、中軸に快音が聞かれず、レギュラーシーズンのような勢いを見せることができなかった。