19日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージ第3戦が行われ、北海道日本ハムと福岡ソフトバンクが対戦した。日本ハムは初回に中田翔のタイムリーなどで3点を奪うと、6回にも追加点。終盤にソフトバンクの反撃に遭い、2点を返されるも継投策で逃げ切った。日本ハムは3連勝とアドバンテージの1勝を加え、4勝0敗でCSファイナルステージ突破を決めた。

◇ファイナルステージ
 ウルフ、7回途中3安打1失点の好投(日本ハム4勝0敗、札幌ドーム)
福岡ソフトバンク    2 = 000000110
北海道日本ハム     4 = 30000100×
勝利投手 ウルフ(1勝0敗)
敗戦投手 攝津(0勝1敗)
セーブ   武田久(3S)
本塁打  (ソ)ペーニャ1号ソロ
「皆さんの愛したファイターズの選手たちは最高です」。試合後、日本ハム・栗山英樹監督はそう選手たちを称えた。リーグ王者はシーズン同様に手堅い野球でソフトバンクを寄せ付けなかった。

 引き分けでもファイナルステージ敗退が決まるソフトバンク。崖っぷちに追い込まれた第3戦を、今季17勝の攝津正に託した。最多勝右腕は1、2番を抑えて2アウトをもぎとったが、糸井嘉男を四球で歩かせてしまう。そして、4番・中田への2球目、糸井はスタートを切る。中田は「いいポイントで振り切れた」と、攝津の外角へのスライダーにバットを合わせた。打球はぐんぐん伸び、レフトフェンス直撃のツーベース。ランナーの糸井は俊足を飛ばして、三塁を回り、ホームインを果たす。エースを立てたソフトバンクだったが、早々にビハインドを背負うことになった。

 先制を許した直後に、今度はアクシデントがソフトバンクを襲う。攝津は、稲葉篤紀のバットをへし折り、ファーストへのゴロを打たせた。稲葉は全力疾走で、一塁へ駆け抜ける。ベースカバーの遅れた攝津の足を上回り、内野安打。攝津はその際に、右足首をひねって負傷してしまう。治療後、マウンドに戻ってきた攝津だったが、小谷野栄一にセンター前へ弾きかえされ、肩を落としてマウンドを降りた。代わった藤岡好明がマイカ・ホフパワーにもタイムリーを許し、初回に3点を失う厳しい立ち上がりとなった。

 一方、日本ハム先発のブライアン・ウルフは、ストレートとシュートを武器にゴロの山を築く。3回に1死二塁のピンチを招くものの、松田宣浩をショートゴロに打ち取る。続く本多雄一は1球でセカンドゴロ。しかし、打球は詰まっており、しかも俊足の本多。内野安打を予感させたが、ここは捕球したセカンドの西川遥輝がジャンピングスロー、間一髪でアウトに仕留める。バックの好プレーにも助けられ、ウルフはソフトバンク打線に反撃を許さない。

 5回まで藤岡の前に沈黙していた日本ハム打線も、投手交代を機に息を吹き返す。代わった3番手・吉川輝昭から中田、稲葉の連打でチャンスを作る。1死後、ホフパワーの打球はファーストへ。キャッチした小久保裕紀は、目で三塁走者の稲葉を牽制しながら一塁を踏み2アウト。さらに飛び出していた稲葉を挟殺プレーに追い込んだ。冷静な判断でダブルプレーを奪いにいった。しかし、小久保のサードへの送球が稲葉の背中に当たり、ボールはレフトへ転がる。その間に稲葉は、ホームへ生還。日本ハムはラッキーなかたちで待望の追加点を得た。

 4点差をつけられたソフトバンクも意地を見せる。ウィリー・モー・ペーニャがウルフの内角低めのシュートを、強振。打球は弾丸ライナーでレフトスタンド上段に突き刺さった。怪力助っ人の目の覚めるような特大の一発で1点を返した。しかし、後続の小久保、多村が2番手石井裕也に封じられ、この回の反撃は単発に終わる。

 2点差に詰め寄られた日本ハム・栗山監督は、シーズン同様の継投策で逃げ切りを図る。8回はシーズン73試合に登板したセットアッパーの増井浩俊に託す。シリーズ3連投の増井は1点を許したものの、2点のリードで最終回へ。試合の幕引きに指名されたのは、クローザーの武田久だ。武田は、1死後、内川聖一に二塁打を打たれる。一発が出れば同点――。球場に嫌な空気が漂ったが、セーブ王はここからが真骨頂。前の打席でホームランを放っているペーニャを外のスライダーを振らせて、三振に切ってとる。続く打席には、引退を表明している小久保。ショートフライに仕留めて、ゲームセット。小久保にとって現役最後の打席となったその瞬間、日本ハムのCS制覇が決まった。

 日本ハムは、3年ぶり6度目の日本シリーズ進出を果たした。栗山監督は、CSでもシーズン同様の采配をふるった。攻撃では、バントで着実に塁を進め、代打、代走と積極的に選手をグラウンドに送り込んだ。守っては、リリーフ陣には絶大なる信頼を寄せ、増井、武田には3連投を命じた。試合後には「すべての選手に無理を言ってきた。それも日本一になるため」と語ったとおり、視線の先は6年ぶりの日本一だ。27日からはじまる頂上決戦もCS同様、“普段着”で臨みたい。