12日、女子アイスホッケーの平昌五輪世界最終予選が北海道・白鳥王子アリーナで最終日を迎え、D組の日本代表(世界ランキング7位)はドイツ代表(同8位)を3−1で破った。日本は勝ち点9で同組1位となり、平昌五輪への出場権を獲得した。日本の五輪出場はソチ五輪に続き、2大会連続3度目。日本は第1ピリオドを0ー0で終えると、第2ピリオドに2点を入れる。ドイツに1点を返されたものの、第3ピリオドで1点を加点。そのまま逃げ切った。

 

 4年前よりも強く逞しく根を張ったスマイルジャパン。ほぼ危なげなく五輪切符を手繰り寄せた。

 

 ソチ五輪の最終予選は同組内でランキング下位だったが、今回はランキングを上げてグループ最上位だった。ホームリンクで戦う権利を得た。地の利があるとはいえ、油断はできない。

 

 苫小牧市にある白鳥王子アリーナで行われた最終予選。スマイルジャパンの初戦は世界ランキング11位のオーストリア代表に6ー1で圧勝した。続く同12位のフランス代表戦は4ー1。2連勝で平昌行きに王手をかけた。

 

 最終戦のドイツは初戦こそ苦戦したものの、スマイルジャパンと同じ2連勝。勝った方が五輪に行くという“天王山”となった。ドイツはソチ五輪で2敗した相手である。ソチでの借りを返して平昌への道を拓きたい。

 

 第1ピリオド、スマイルジャパンは一時退場によるキルプレー(数的不利の状態)が続く苦しい展開だった。ここはGK藤本那菜を中心に守り切り、無失点で凌いだ。

 

 すると第2ピリオドにスコアが動く。決めたのはスマイルジャパンのFW藤本もえこ。7分過ぎにDF鈴木世奈、FW足立友里恵が繋ぐと、ゴール前の藤本もえこにパックが渡る。藤本もえこは一度空振りしたが、すぐにシュートを打ち直した。パックはGKの股下を通過し、ゴールに吸い込まれた。

 

 待望の先制点を奪ったスマイルジャパン。ドイツの一時退場によるパワープレー(数的有利の状態)でさらにリードを広げる。10分50秒、パス回しから左サイドでDF細山田茜がシュートを放った。パックはゴールの右に外れたがファーサイドにいたFW小野粧子に当たり、足元に落ちた。小野はすぐさまゴールに流し込んだ。

 

 16分30秒にキルプレーの間に失点を許したが、第3ピリオドにエースが大きな追加点を奪う。フェイスオフにFW床秦留可が競り勝つと、エースの久保英恵がダイレクトにパックを叩いた。“氷上のスナイパー”が放った強烈なシュートはゴール左に突き刺さった。エースの3試合連続得点が勝利を、そして2大会連続の五輪出場を大きく手繰り寄せる。

 

 スマイルジャパンはこのままリードを守り切った。残り10秒のカウントダウンは詰め掛けた観客の大合唱。ブザーが鳴った瞬間、ベンチからも選手が飛び出し、スマイルジャパンの歓喜の輪が出来上がった。平昌五輪出場決定は、日本勢で一番乗り。それも2大会連続だ。

 

「ここからがスタート」。スマイルジャパンの選手たちは口を揃えて言った。ソチ五輪は5戦全敗に終わった。フィジカル強化を図り、パワーアップして雪辱の舞台・平昌へと向かう。

 

(文/杉浦泰介)


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床亜矢可(2014年12月掲載 星に願いを)
<前編>「雪辱を誓うスマイルジャパンの守備の要」
<後編>「リンクに根を張り、花咲かす」

 

山家正尚メンタルコーチ(2013年5月掲載 裏方NAVI)

<前編>「“スマイルジャパン”五輪最終予選の舞台裏」

<後編>「“スマイルジャパン”誕生秘話」