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(写真:目標をタイムを2時間8分に設定した服部)

 24日、「東京マラソン2017」のプレスカンファレンスが都内で行われた。8月の世界選手権(イギリス・ロンドン)日本代表選考会を兼ねたエリート男子の部に出場する今井正人(トヨタ自動車九州)、服部勇馬(トヨタ自動車)、ウィルソン・キプサング(ケニア)、ディクソン・チュンバ(ケニア)、ツェガエ・ケベデ(エチオピア)ら国内外の招待選手が出席。昨年以来、自身2度目のフルマラソンとなる服部は「質も量も積んできた。僕も楽しみ」と語った。一方、元世界記録保持者のキプサングは2時間2分57の世界記録更新に挑む。

 

170224topics1 世界への挑戦、世界記録への挑戦を目標に掲げてきた東京マラソンは、11回目を迎え、その様相を色濃くさせる。今回のレースからコースが変更(写真)。これまで新宿にある都庁から江東区のビックサイトまで南下するコースだったが、ゴール地点が千代田区にある東京駅前に変わった。これにより終盤にあったアップダウンのある地点が解消され、臨海部特有の風にランナーが悩まされることはなくなる。より高速レースが展開されると予想できる。

 

 今年も強力なアフリカ勢が首都に集まった。世界歴代4位2時間3分13秒のキプサングをはじめ、自己ベスト2時間5分を切るランナーは5人。同2時間4分32秒のチュンバは東京マラソンのコースレコード(2時間5分42秒=2014年)も持っており、同2時間4分38秒のケベデは日本国内最高記録(2時間5分18秒=2009年福岡国際マラソン)保持者と役者は揃っている。

 

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(写真:2時間2分50秒を目標に掲げ、会場沸かせたキプサング)

 プレスカンファレンスに出席したキプサングは「世界記録を更新できたとしてもサプライズはない」と自信を覗かせた。2013年9月のベルリンマラソン以来の世界最速の称号を目指す。16回のフルマラソン出場で2時間3分台を3回、2時間4分台を4回マークする安定感を誇るキプサング。東京マラソンの早野忠昭レースディレクターも好記録に期待を寄せる。

 

 キプサングを筆頭にハイペースが予想されるが、日本勢がいかに食らいついていけるかにも注目だ。今回も出場する日本歴代6位の今井、同7位の藤原新(ミキハウス)はいずれも東京マラソンで自己ベストを叩き出した。昨年の東京マラソンは不本意な結果に終わり、リオデジャネイロ五輪の切符も逃した。

 

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(写真:フォトセッションに臨む国内招待選手<今井、前田和浩、服部>)

 2人に同じく昨年のリベンジに燃えるのが服部だ。東洋大学在学中にフルマラソン挑戦を決意。しかし3年時の一昨年はケガで欠場を余儀なくされ、4年時の昨年はスタートラインには立てたものの、日本人4位の全体12位だった。

 

 そして服部は大学を卒業し、実業団に入った。練習に充てる時間や陸上について考える時間も増えたという。「マラソンのためにこの1年間費やしてきた」。大学時代はどうしても秋から年始までは箱根駅伝を始めとした駅伝シーズンに合わせなければいけない。「去年は箱根にも重きを置いていた」ことが正直あった。

 

 調整にも手応えを見せる服部は2度目のフルマラソンでは2時間8分を目標に掲げた。学生時代に30kmで歴代3位タイの1時間28分52秒をマークするなど実力は申し分ない。日本陸上競技連盟の坂口泰男子マラソン強化コーチも期待の若手に挙げる逸材。関係者をはじめ、周囲からも注目度は高い。服部自身は「期待していただくことはうれしいですし、とても光栄」と口にする。

 

 まずは日本人トップに入ることで世界選手権の切符取りに意欲を見せる。その先に見据えるのは東京五輪だ。夏のマラソン、世界大会を経験するためには代表権を獲得することは必須だろう。「2020年に向けて、しっかり自分らしく」。23歳のホープはマイペースで世界へと挑む。

 

(文・写真/杉浦泰介)