サンウルブズのチャレンジが再び始まる――。

 南半球のラグビー界をリードするニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ。その3カ国で組織される「SANZAR」が運営するスーパーラグビーの2017年シーズンが、23日のレベルズ-ブルーズ戦で幕を開ける。日本の「ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ」は25日の開幕戦で、ホーム秩父宮で昨季王者であるハリケーンズを迎え撃つことになる。

 

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 初参戦した昨年は1勝1分け13敗に終わったサンウルブズ。アシスタントコーチを務めたフィロ・ティアティア氏が今季からヘッドコーチに就任した。元オールブラックスのFWでハリケーンズやトヨタ自動車ヴェルブリッツでもプレーするなど、スーパーラグビーも日本ラグビーもよく知る人物である。日本開催となる2019年のワールドカップをにらみながら日本代表の強化も考慮したうえでのチーム構成となっている。

 

 選手層に厚み、昨季以上の期待

 

 基本的には日本代表メンバー(2016年11月ウェールズ代表戦、ジョージア戦)が中心となっている。HO堀江翔太(パナソニック)、SO立川理道(クボタ)、LO大野均(東芝)らに加えてNo.8松橋周平(リコー)、マルジーン・イラウア(東芝)、CTBティモシー・ラファエレ(コカ・コーラ)、そして今季トップリーグでベストフィフティーンに選出されたFL布巻峻介(パナソニック)らも名を連ねている。

 

 ハイランダーズで4シーズン在籍したSH田中史朗(パナソニック)、昨季はレベルズでプレーしたFB松島幸太朗(サントリー)の国際大会の経験も豊富な2人が今季はサンウルブズに新たに加入。チームの層がグッと厚くなり、昨季以上の活躍が期待される。

 

 リーダーとしてチームを束ねるのが昨季闘志あふれるタックルなどプレーでチームを鼓舞してきたFL/No.8エドワーク・カークである。今季は立川と共同主将を務めることになった。チーム愛が非常に強い選手でもある。昨年全15試合に出場した「ミスター・サンウルブズ」の存在は、実に頼もしいと言える。

 

 スーパーラグビーは16チームが「オーストラリア・ニュージーランドグループ」「南アフリカグループ」の2グループに分けられ、グループは2カンファレンスとなる。

 

 サンウルブズは南アフリカのカンファレンス1でブルズ、チーターズ、ストーマーズと同組だ(カンファレンス2はキングズ、ライオンズ、シャークス、ジャガーズ。オーストラリア・ニュージーランドグループのオーストラリアカンファレンスはワラターズ、ブランビーズ、フォース、レッズ、レベルズ。ニュージーランドカンファレンスはクルセイターズ、チーフス、ハイランダーズ、ハリケーンズ、ブルーズ)。

 

 サンウルブズはレギュラーシーズンで同カンファレスのチームとホーム&アウェー(計6試合)を戦い、カンファレンス2とは1試合ずつ4試合を戦う。昨季と異なる点はオーストラリアカンファレンスではなく、昨季覇者ハリケーンズを含む強豪ぞろいのニュージーランドカンファレンスと1試合ずつ5試合を戦うことだ。

 

 プレーオフのファイナルシリーズには各カンファレンス1位と「オーストラリア・ニュージーランドグループ」から成績上位の3チーム、「南アフリカグループ」から1チームが進出し、計8チームによるトーナメントが開催される。

 

 注目は王者ハリケーンズ

 

 注目はやはり2連覇の懸かるハリケーンズだろうか。

 昨季は2年連続の決勝進出で初優勝を遂げたが、プレーオフ3試合で1トライも許さないという鉄壁ぶりだった。オールブラックスのメンバーがズラリとそろうチームは今年も優勝候補と呼べ、昨年のニュージーランド年間MVP、ワールドラグビーアワードMVPなどに輝いた司令塔SOボーデン・バレットの充実ぶりも目を引く。世界最高の司令塔ダン・カーターの後継者は、今年も話題の中心となりそうだ。オールブラックスで2011年のW杯優勝を経験し、現在は東芝ブレイブルーパスに所属するWTBコーリー・ジェーンもいる。

 

 同じニュージーランド勢ではチーフスも面白い。昨年はファイナルシリーズ準決勝でハリケーンズに9-25で敗れたとはいえ、地力はある。日本代表で47キャップを誇るNo.8リーチ・マイケル(東芝)はチームの軸として強い信頼を得ている。そしてチームのスターであるFBダミアン・マッケンジーにも注目が集まっている。本来のSOで他チームからオファーがあったようだが、彼は残留の道を選んだ。覇権奪回には、このマッケンジーの活躍は欠かせない。

 

 ニュージーランド勢有利の声は強いが、オーストラリア勢で期待したいのが日本代表No.8アマナキ・レレィ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)が加わったレベルズ。2011年に参入を果たした歴史の浅いチームで、堀江や松島など日本人選手も多く在籍してきた。今年は日本代表4キャップの快足WTB児玉健太郎(パナソニック)が挑むことになる。

 

 サンウルブズは18日にトップリーグ選抜と対戦し、24-12と勝利。開幕に向けて、調子も上がってきている。

 発表されたスローガンは「RISE AS ONE」。一つになって立ち上がれという意味である。厳しい戦いが待ち受けているが、どれだけチームが一丸になってタフに戦えるかということが大きなポイントとなりそうだ。

 

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【開幕節放送予定】※時間は放送開始時刻

 

第1節

2月23日(木)

17:30~ レベルズvs.ブルーズ(J SPORTS1)

2月24日(金)

15:25~ ハイランダーズvs.チーフス(J SPORTS4)

2月25日(土)

12:45~ サンウルブズvs.ハリケーンズ(J SPORTS1)

15:25~ クルセイダーズ vs.ブランビーズ(J SPORTS1)

 

※このコーナーではスカパー!の数多くのスポーツコンテンツの中から、二宮清純が定期的にオススメをナビゲート。ならではの“見方”で、スポーツをより楽しみたい皆さんの“味方”になります。


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