1日、日本サッカー協会は日本女子代表(なでしこジャパン)の佐々木則夫監督の続投を発表した。佐々木監督は2007年12月の就任後、08年北京五輪で初のベスト4、11年W杯では初優勝を達成。今夏のロンドン五輪では日本女子史上初の銀メダルに導き、9月で契約満了を迎え、去就が注目されていた。会見で佐々木監督は「もう一度、選手と一丸となって、次のW杯(カナダ)を目指してスタートしていきたい」と抱負を語った。
(写真:左から上田女子委員長、佐々木監督、大仁会長)
 再び世界一へ。引き続きなでしこを率いる佐々木監督の表情は、この日の天気のように晴れやかだった。

 会見冒頭では「(ロンドン五輪で)選手たちにメダルをかけることができて、安堵していた。そのなかで、また情熱を持って次のステップへ進めるのか。最初は自信がなかった」と続投決断までの苦悩を率直に明かした。そんな指揮官の心境に変化をもたらしたきっかけは、周囲からの“期待”だった。

 9月に契約満了となった後、講演や普及活動で全国を回る中で多くの人々から続投を要望された。そして「少年少女からも『続けて』と言われ、『俺はこんなにも期待されているのか』と感じた」という。古巣・大宮からスタッフ入りの要請などを受けていたが、徐々に気持ちは傾き、半月ほど前から続投を強く考えるようになった。
「僕が監督を引き受けた時の環境、そしてみなさんの注目度も明らかに変わっている。僕自身もこういったプレッシャーというものをいいように受け止めながら、やりがいもあるのは間違いない」と指揮官は前を見据えた。

 W杯、ロンドン五輪と結果を出したものの、「欧米相手に我々はまだやり切れていない」と課題を感じていた。だが、その中で打開策も見えてきている。
「今までやってきた攻守にアクションするサッカー。その中でひとりひとりのスキル、判断、コンビネーションを追求していくことに尽きる。(今後は)ひとりひとりの質を上げ、なでしこ全体の進化を、新たな選手を加えながら進めていく」

 合宿や強化試合など、これからの具体的なスケジュールはまだ白紙の状態だ。しかし、「まずW杯で優勝することから逆算してメンバーを構成する。準備として若い選手に経験を積ませる中で、どういう進化があるか。そこでベストメンバーを構築していく」と佐々木監督の頭の中にはすでに世界一までのプランが描かれている。
(写真:続投を決断して「非常にスッキリした」と語る)

 そんな指揮官に大仁邦彌会長が「世界は『なでしこジャパンを打ち破ろう』という方向で大きく動いている。これからはアジア、世界の戦いも本当に厳しいものになると思うが、佐々木監督の下、その目標を達成していただきたい」と期待を寄せれば、上田栄治女子委員長も「今までのなでしこジャパンをベースにさらにチームを進化させることができると確信している」と太鼓判を押した。

「チャンピオンになるのは容易ではない。だからすぐに(続投の)返事ができなかった。しかし、引き受けたからには結果を出すのが僕の仕事」
 W杯連覇、そして悲願の五輪金メダルへ。なでしこジャパンは頼もしいリーダーとともに、新たな挑戦に挑む。