5日、日本サッカー協会はブラジルW杯アジア最終予選オマーン代表戦(14日、マスカット)に臨む日本代表23名を発表した。MF本田圭佑(CSKAモスクワ)や遠藤保仁(G大阪)らを招集。左足親指を骨折して10月の欧州遠征に参加しなかったFW岡崎慎司(シュツットガルト)が復帰した。FW宇佐美貴史(ホッフェンハイム)が昨年6月のキリン杯以来に選出されている。一方、香川真司(マンU)は10月23日の欧州CLで左ヒザを痛めた影響で選外となった。
「我々にとって重要な一戦」
 アルベルト・ザッケローニ監督は勝てばW杯出場に王手となるオマーン戦をこう位置付けた。会場は敵地・マスカット。「(最終予選の)後半戦は3つのアウェー戦がある。この中でいかに勝ち点3を拾えるかが重要」と勝利を誓った。

 大一番のメンバーは指揮官が「大きな変更はない」と語るとおり、本田やDF長友佑都(インテル)など、これまでチームを支えてきた選手たちだ。ザッケローニ監督は彼らについて「これまでもよくやってくれている。(メンバー構成)変える理由はない」と高い信頼を示した。

 ただ、約1年5カ月ぶりに招集した宇佐美に関しては強烈な“ダメ出し”を口にした。
「私が2年前に日本に来て初めて宇佐美を見た時、当時の年齢と実力のバランスを見て非常に驚いた。だが、2年が経って大きくは成長していない。今、彼がやっているのは、2年前にできていたことを現在もやっているだけの状態にすぎない」
 大きく期待しているからこその叱咤だ。「足元に(ボールが)入ったときは素晴らしい技術を発揮する」と宇佐美の特長を評価。そのうえで「もっとスペースに走り込み、そこでボールを受けるといったプレーも見せてほしい」と要求した。

 オマーンとは約5カ月ぶりの対戦だ。最終予選初戦となった6月のホーム戦(埼玉)は3−0で快勝し、最高のスタートを切った。しかし、ザッケローニ監督は「6月の試合は忘れなければならない」と語気を強める。というのもオマーンはアウェーだったこともあり、終始自陣に引いた戦術をとってきたからだ。今回は本拠地での試合だけに、守備一辺倒になる可能性は低い。ザッケローニ監督は「ホームではボールをできるだけ保持して仕掛けてくるだろう。精度の高いカウンターと思い切りよくバイタルエリアに入ってきて、高い集中力でどんどんゴールを狙ってくる」と警戒した。

 指揮官が語るようにオマーンはホームで強さを示している。6月のオーストラリア戦は0−0のドローに持ち込み、10月のヨルダン戦は2−1で勝利。特にヨルダン戦では多くのサポーターが駆け付けており、14日の日本戦も完全アウェーの状態となる。

 また、大きく懸念されるのがゲームコンディションだ。オマーンが設定したキックオフ時間は現地時間の15時半。日本は最高気温30℃近くになる灼熱のピッチでの戦いを強いられる。指揮官は「自分たちの慣れた土壌で勝負したいからだろう」とその意図を分析した。普段とは真逆の気候だけに、対策として隣国のカタール・ドーハで直前合宿を張ることが発表されている。しかし、欧州組は試合があるために直前の合流が濃厚。主力の本田らが短い準備期間でいかに暑さに順応できるかがポイントだ。

 年内最終戦でもあるオマーン戦に勝利し、ブラジルに前進することができるか。「集中して臨まないといけない」と気を引き締める指揮官が、日本を勝利に導く。

<日本代表メンバー 23名>

GK
川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
西川周作(サンフレッチェ広島)
権田修一(FC東京)
DF
駒野友一(ジュビロ磐田)
今野泰幸(ガンバ大阪)
栗原勇蔵(横浜FM)
伊野波雅彦(ヴィッセル神戸)
長友佑都(インテル・ミラノ)
内田篤人(FCシャルケ04)
吉田麻也(サウサンプトン)
酒井宏樹(ハノーファー96)
MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
長谷部誠(ヴォルフスブルク)
細貝萌(バイヤー・レヴァークーゼン)
本田圭佑(CSKAモスクワ)
高橋秀人(FC東京)
FW
前田遼一(ジュビロ磐田)
岡崎慎司(シュツットガルト)
ハーフナー・マイク(フィテッセ)
乾貴士(フランクフルト)
清武弘嗣(ニュルンベルク)
宇佐美貴史(ホッフェンハイム)