田口竜二(元プロ野球選手、(株)白寿生科学研究所人材開拓課長)第25回「保護者に負担をかけるチーム制度は要再考」

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 みなさま、こんにちは。このコーナーも連載2年目に突入しました。いつも読んで下さるみなさんのおかげです。


 今回は少年野球に関して首を傾げたくなる話を聞いたので、少し意見を書かせていただきます。前回、このコーナーについて<「かなり過激なことを書いてますが大丈夫ですか?」と会った人たちから言われていますが、根拠がない発言をしてきたつもりは全くありません。せっかく与えられた場所なので自分が思うことを正直に書いてきました>と言いました。今回もズバッと書いてみたいと思います。

 

 さて友人の息子さんが中学生になり、野球を頑張ってるという話をしていたときのことです。友人が急に顔を険しくしてこう言いました。「中学生になったということで知り合いを通じてあるメーカーの硬式のグラブをオーダーして作ってあげたんだよね。子供も気に入り、毎日手入れして大切に使ってたんだよ。そしてあるチームに入部することになったら、チーム関係者から”そのメーカーのグラブは使えない。こちらが指定するメーカーのグラブを買ってくれ”って言われてさ。それってどう思う?」

 

 これだけでも「エッ!?」と思ったのですが、友人の話にはまだ続きがありました。「それと”新聞社が協賛してくれてるから3カ月は新聞を取ってくれ”とも言われたんだけど、何がどうなってるの?って感じだよ……。野球の世界はこういうことがよくあるのか?」と、友人に真顔で問い質されました。

 

 自分のこれまでの野球人生の中でそんなことは一度もない、と友人には話しましたが、逆に私の方が聞きたいくらいです。今どきはチームで道具のメーカーを指定することは当たり前なんでしょうか? それってリーグやチームの誰かとメーカーの間に癒着があるのではないか……と疑ってしまいます。新聞購読に関してもそうです。”チームに協賛しているから新聞取れ”というのはおかしくないですか?

 

 私の想像ですが、チームやリーグのお偉方の誰かが、そうすることでうまい汁を吸える仕組みになってるのではないでしょうか。結局、友人は息子のためと思って、何も言わずに何万円も出して新しいグラブを買い直し、新聞購読もしたそうです。でも中には納得せずにチームを去る親子もいると聞きました。

 

 友人はこのこと以外にも「これはどうなんだ?」ということを、このときとばかりに話してくれました。「グラウンド整備を親がやるのはなぜ? ラインを保護者が引くのってどうなの? あとお茶当番なんていう役目は誰が始めたんだ?」
 友人は野球チームにまつわる様々な仕組みに疑問を持っているようですが、これは私も同感です。私も少年野球を教えに行くことがあるのですが、そのときに同じような光景を目にしています。親御さんたち(特にお母さん)が忙しなく動いてるのを見るたびに、「なぜそこまでやるのか」と思っていたのです。

 

 現場の指導者は何を考えてるんでしょうか。グラウンド整備を選手の親がやる姿を見て、何も思わないんでしょうか。少年野球が人間教育の場だとすればグラウンドの準備や整備は選手がやるのが当然です。選手にやらせないなら指導者がやるべきでしょう。
 自分たちが使うグランドを丁寧に丹念に一生懸命ならす。みんなで曲がらないように気をつけながらラインを引く。誰かのために自分ができることをする。それが人間教育というものです。保護者にグラウンドの準備をしてもらい、お茶当番もやってもらって、自分は椅子に座って、足を組んで指示するだけ。こういう指導方針では子供たちの心を育むことは難しいと思うのですが、私の方が間違っているのでしょうか?

 

 こちらも私の想像ですが、そうした当番をすることで子供に背番号やポジションが与えられる。そんなこともあるんじゃないか、と疑ってしまいます。

 野球に限らずスポーツは弱肉強食の世界です。力あるものが勝ち、力ないものは負けていく。だからこそ負けたくないから頑張り、頑張るヤツがいるから、自分はもっと頑張るようになる。それが相乗効果となってチーム力が上がる。これがスポーツのいいところだと思っています。決して選手の実力以外のことで振り分けが行われてはいけないはずですよね。

 

 友人の言っていたグラウンドの準備や整備、そしてお茶当番という仕組み。これは指導者が「改めよう」と一言発すれば解決するものだと思います。友人から聞いたような野球環境では、子供たちの心が育まれる気がしません。何もかも親や他人がお膳立てをして、子供は感謝することもなく野球をしているようでは未来はありません。

 

 指導者やチーム関係者には子供たちが大人になったとき、厳しい世の中にも耐え得る人間となり、活躍していくことを第一に考えて欲しいと思います。今の環境でいいのか? それが果たして子供のためになっているのか? そして親が気を使わずとも安心して任せられるチーム作りはできないものなのか? 今一度、考えてほしいと願っています。

 

 ちょっと友人の話を聞いて、思い返せば思い返すほど腹が立つ内容だったので思い切り書かせていただきました。
 最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。

 

1600314taguchi田口竜二(たぐち・りゅうじ)
1967年1月8日、広島県廿日市市出身。
1984年に都城高校(宮崎)のエースとして春夏甲子園出場。春はベスト4、夏はベスト16。ドラフト会議で南海ホークスから1位指名され、1985年に入団し、2005年退団。現在、株式会社白寿生科学研究所人材開拓課長としてセカンドキャリア支援を行なっている。
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