来春の第3回WBCに向け、山本浩二監督率いる日本代表の初戦となる「侍ジャパンマッチ2012」第1戦が16日、福岡ヤフードームで行われ、キューバ代表と対戦した。日本は2回、炭谷銀仁朗(西武)のソロ本塁打で1点を先制。7回に角中勝也(千葉ロッテ)の二塁打から相手のタイムリーエラーで貴重な1点を追加すると、7投手のリレーで強力打線を3安打完封した。

 今村(広島)、好リリーフで2回パーフェクト
キューバ代表   0 = 000000000
日本代表     2 = 01000010×
(キ)●ペドロソ−マルティネス−ヒメネス−ゴンザレス
(日)大隣−大竹−筒井−○今村−加賀−大野−S山口
本塁打  (日)炭谷1号ソロ
 まだ相手はシーズン前の調整段階とはいえ、強打者揃いのキューバを若き侍たちがピシャリと抑えた。
 先陣を切ったのは地元・福岡ソフトバンクの大隣憲司だ。初回に中軸のユリエスキ・グリエルを内野フライに仕留めるなど、緩急をつけて2回をパーフェクトに封じる。

 すると日本は2回、伏兵の一発で先制する。スタメンマスクをかぶった炭谷がキューバ先発のヤディエル・ペドロソから甘く入ったストレートを振りぬく。打球は放物線を描いてレフトスタンドへ。今季は0本塁打だった8番打者のソロアーチにベンチも驚きの表情で本人を迎えた。

 この1点で炭谷のリードも冴え、2番手の大竹寛(広島)も3回、4回とキューバ打線に的を絞らせない。5回は3番手の筒井和也(阪神)が初めて連打を許してピンチを招くが、リリーフした今村猛(広島)がわずか1球でフライに打ち取り、流れを渡さない。今村は、そのまま7回途中まで投げ、2イニングをこちらも被安打0。丁寧なピッチングを心がければ、強力打線に対抗できることを証明した。

 3回以降もヒットを出しながら、追加点が奪えなかった日本は7回、大きなチャンスを迎える。先頭の角中が右中間へのヒットを放つと、一気に二塁へ。前の回の守備ではフェンス際の大飛球を好捕しており、動きの良さが光るプレーだった。

 この角中を犠打で三塁に進め、代打にベテランの井端弘和(中日)が登場。スライダーを流し打つと正面のセカンドゴロだったが、これを相手の二塁手がファンブルしてしまう。三塁から角中がラッキーなかたちで生還し、貴重な1点が入った。

 この2点があれば、この日の投手陣には十分だった。8回途中からは大野雄大(中日)、9回は山口俊(横浜DeNA)が締め、7投手による完封リレー。一発のあるバッター相手に無四球と逃げずに立ち向かっての結果だけに評価できる。1次ラウンドで同組の強敵に対して、日本の投手力の高さを見せつけた格好だ。

 好発進した新しい侍ジャパンだが、WBC本番に向けたチームづくりは難航を余儀なくされている。メジャーリーガーで出場をオファーしたダルビッシュ有(レンジャーズ)や岩隈久志(マリナーズ)、青木宣親(ブルワーズ)はいずれも辞退を表明し、国内組だけの編成になる可能性が強まっている。

 それだけに若手主体に臨んだ今回のキューバ2連戦はWBCの出場メンバーのセレクションを兼ねていると言ってもよい。シーズンオフながら多くの選手が持ち味を出したのは結果以上に、山本浩二監督にはうれしい1勝となったはずだ。キューバとは中1日で18日に札幌ドームで対戦する。

山本浩二監督
「ピッチャー陣がナイスピッチングだった。無四球の完封で各ピッチャーが持ち味を出してくれた。ピッチャーについては東尾(修)ピッチングコーチに任せていた。ストライク先行が相手を打ちとるためには近道じゃないかと思っていたので無四球はうれしい。投手陣もそうだが、角中の走塁も効いた。足を絡めた攻撃ができた」