来春のWBCに向けた「侍ジャパンマッチ2012」第2戦が18日、札幌ドームで行われ、日本代表は第1戦に続き、キューバ代表と対戦した。中盤まで両チーム無得点だった試合は7回、坂本勇人(巨人)の犠飛で先制すると、相手のバッテリーミスの間に追加点をあげ、2点を奪う。9回にも1点を追加した日本は、7人の投手リレーで強力打線をソロ本塁打の1点に抑え、連勝を収めた。

 堂林(広島)、先制点呼ぶ三塁打
日本代表     3 = 000000021
キューバ代表   1 = 000000010
(日)澤村−村中−西村−森福−○大竹−涌井−S山口
(キ)アルバレス−ゴンサレス−●ヒメネス−ヌニェス−ガルシア−イエラ−O.デスパイネーP.フェルナンデス−イノホサ
本塁打  (キ)グリエル1号ソロ
 若手主体のメンバーが強敵キューバ相手に2試合連続でロースコアのゲームを制した。
 日本の先発は巨人の澤村拓一。立ち上がりにアレクセイ・ベルに二塁打を許すものの、続くユリエスキ・グリエルをスライダーで三振に仕留めるなど後続を断って無失点で切り抜ける。澤村はインコースを直球で突き、外の変化球を振らせる組み立てで2回は三者連続三振と相手を牛耳った。

 対する日本は初回、2死から3番・坂本勇人(巨人)が内野安打で出塁。4番に座った糸井嘉男(日本ハム)のライト前ヒットに、5番・松田宣浩(福岡ソフトバンク)のサードゴロがエラーを誘い、満塁のチャンスを迎える。だが、T−岡田(オリックス)はセカンドゴロに倒れ、先取点を奪えない。

 日本は2回にも2死一、二塁と得点圏に走者を出しながら無得点。一方のキューバも4回に2本のヒットで一、二塁とするが、2番手・村中恭兵(東京ヤクルト)をリリーフした西村健太朗(巨人)が、昨季のキューバリーグ首位打者ホセ・ダリエル・アブレウのバットにフォークで空を切らせ、ピンチを脱する。

 西村は続く5回も一、二塁と走者を背負ったが、相手のバント失敗や牽制アウトにも助けられ、この回もスコアボードに0を入れた。6回は森福允彦(福岡ソフトバンク)、7回は大竹寛(広島)が先頭打者にヒットを打たれながら、要所を締め、キューバ打線に得点を与えない。

 中盤はキューバ投手陣に封じられていた日本だが、若武者が膠着した試合を動かす。8回、山本浩二監督は先頭打者に代打・堂林翔太(広島)を起用。今季、14本塁打を放った21歳は、キューバ3番手のイスメル・ヒメネスの初球を思い切って叩いた。打球はぐんぐん伸び、センターがフェンスに激突しながらキャッチしようと試みるも、ボールがグラブからこぼれる。その間に堂林は一気に三塁へ。無死三塁と絶好機をつくった。続く坂本はカウント0−2と追い込まれながら、アウトコースのボールにうまく合わせてライトへ大きなフライを打ち上げる。犠飛には十分な当たりで、日本が貴重な先制点を挙げた。

 さらに2死から糸井がライト線を破り、一気に三塁を陥れる。山本浩二監督も試合後に評価した、この走塁が追加点を呼んだ。続く松田の打席で相手ピッチャーが暴投。糸井が生還し、リードを2点に広げた。

 その裏、涌井秀章(埼玉西武)がグリエルにソロアーチを浴びるものの、9回には先頭のT−岡田(オリックス)が二塁打で出塁する。これを足がかりに1死二、三塁とチャンスを広げると、代打・井端弘和(中日)のセカンドゴロ。キューバの内野陣は本塁へ必死の送球をするも間に合わず、試合を決める3点目が入った。

 日本はこの2試合、タイムリーが1本も出なかったが、大事な場面でソツなく得点を重ねた。また若い投手陣でキューバ打線をわずか1点に抑え、相手にとってイヤなイメージを与えたはずだ。WBC本番はまたメンバーが変わるとはいえ、1次ラウンドで対戦する最大のライバルに最高の先制パンチを浴びせたことは間違いない。

山本浩二監督
「野手も前の前の塁を狙って、ピッチャーも好投してくれた。(2試合通じて)無四球だと思うが、ピッチャーに言っていたストライク先行を実践してくれた。(先制点につながる三塁打の)堂林は彼の持ち味が出たし、(犠飛の)坂本もさすが。第1戦も第2戦も点を取れない状況が続いていて、相手のピッチャーもコントロールが良かった。勝ったことは自信になるだろうが、本戦はまた違ったキューバが来ると思う。気を引き締めてやりたい」