“チームのために尽くし、見る人の胸を熱くするベストプレー”に贈られる「ジョージア魂」賞の年間大賞表彰式が22日、都内ホテルで開催された。この賞は缶コーヒーブランド「ジョージア」がプロ野球12球団と提携、さらにNPBパートナー契約を締結して2010年に創設された。今季、12回に渡ってファン投票で選ばれた「ジョージア魂」賞受賞プレーの中から、さらにファンの支持を集めたものが年間大賞に輝いた。栄えある今年度の年間大賞は坂本勇人内野手(巨人)が7月7日(対阪神戦)にみせた、同点のピンチを救った遊撃守備に決まった。また当HP編集長・二宮清純ら6名の選考委員によって「ジョージア魂」賞選考委員特別賞も決まり、こちらは前田健太投手が4月6日(対横浜DeNA戦)に達成したプロ野球6年ぶりのノーヒットノーランが選ばれた。
(写真:坂本には「ジョージア エメラルドマウンテンブレンド」1年分と賞金100万円が贈呈された)
 課題と言われていた守備での価値ある栄冠だ。
 年間大賞になった坂本のプレーは僅差の終盤で飛び出した。7月7日の阪神戦、巨人2点リードの8回、1死満塁のピンチで代打・桧山進次郎が放ったセンター前に抜けようかという当たりを好捕。素早く二塁へバックトスをみせて併殺を完成させ、チームを救った。「守備はあまり自信がない。ドキドキしてプレーをしていた」と、坂本はその時の心境を振り返る。

 19歳でショートのレギュラーをとって5年。巨人の若き顔に成長しながら、守備では4年連続失策王という不名誉な記録がついて回っていた。しかし、今年はキャンプイン前の自主トレで、ゴールデングラブ賞10度の宮本慎也(東京ヤクルト)に弟子入り。基本から教えを請うた。

「キャッチボールが大事だと小さい頃から言われていたが、プロ6年目で改めて、その大事さに気づかされた」
 意識面から改革した成果は着実に表れている。年間大賞を獲得したプレー以外にも、巨人が王手をかけた日本シリーズ第6戦の最終回には、三遊間の深い当たりに追いついて最後の打者を間一髪アウトに仕留めるなど、守備面での進化が光った1年だった。シーズン通じての失策は15個とまだ少なくはない。「ショートは内野の要でもある。もっとしっかり練習してチームの力になりたい」と、アジアシリーズのMVP男は一層のレベルアップを誓った。

 坂本も、選考委員特別賞に選出された前田健も同じ1988年生まれ。他にも田中将大(東北楽天)、吉川光夫(北海道日本ハム)と、今季の「ジョージア魂」賞は全12回のうち4回を“88年世代”の選手が受賞している。昨季の年間大賞には田中が輝いており、こちらも2年連続だ。加藤良三コミッショナーは表彰式のスピーチで「世代交代はなかなか難しいものだが、野球の世界ではそれが実現している」と語ったように、今や、この年代が日本野球の屋台骨を背負っている。
(写真:前田健にもジョージアの缶コーヒー1年分と賞金30万円が贈られた)

 来春のWBCでも当然、彼らが侍ジャパンの主力になることは間違いない。「(代表に)選ばれるつもりで準備したい。若い選手でジャパンを引っ張っていきたい」(坂本)「88年会の同級生でプロ野球を盛り上げる」(前田健)。本人たちも、その自覚は十分だ。魂あふれる若き侍たちが日本野球を更なる高みへと導く。

 各回の受賞者と一言コメントは以下の通り。

第1回  広島・前田健太投手 プロ野球6年ぶりのノーヒットノーラン(4月6日、対横浜DeNA戦)
「たくさんの方に祝福されてノーヒットノーランが達成できて良かった。毎回、いい試合、いい投球を見せようと思って頑張っているので、ファンの皆さんに選んでいただいたのはうれしい」
第2回  中日・山本昌投手 球界最年長左腕が復活勝利(4月15日、対阪神戦)
「来年は30年目のシーズン。魂のこもったピッチングが1年通じてできるように頑張りたい」
第3回  巨人・亀井義行内野手 名誉挽回の決勝ホームラン(5月3日、対広島戦)
「賞を獲る前に、まずはポジションを取らなくてはいけない立場。まずはそこへ向かって努力していきたい」
第4回  巨人・山口鉄也投手 魂の投球で9連勝に貢献(5月23日、対埼玉西武戦)
「個人としてもチームとしてもいい1年になった。来年もいい1年にしたい」
第5回  巨人・杉内俊哉投手 チームの勝利優先でノーヒットノーラン(5月30日、対東北楽天戦)
「今季は実質、前半戦しかいいピッチングができなかった。来季はフルに1年間頑張って、また賞が獲れるようになりたい」
第6回  北海道日本ハム・中田翔外野手 サヨナラ勝利を呼び込むレーザービーム(6月16日、対東京ヤクルト戦)
「今季は優勝できたが、日本シリーズで負けてしまって悔しい。来季は借りを返せるよう一生懸命努力したい」
第7回  広島・前田智徳外野手 驚異の勝負強さで勝利に導く一打(7月1日、対横浜DeNA戦)
「近年は代打での出場ばかりで、賞をいただくことがなかなかない。代打での決勝タイムリーをファンの皆さんに選んでいただき、とてもうれしく思う」
第8回  巨人・坂本勇人内野手 同点のピンチを救った遊撃守備(7月7日、対阪神戦)
「日本一になって最高の賞をいただけた。いい場面でいいプレーができた」
第9回  阪神・新井良太内野手 連敗を7で止めるダメ押しアーチ(7月29日、対横浜DeNA戦)
「来季はチームの優勝を目標に、微力でも貢献できるように頑張りたい」
第10回 福岡ソフトバンク・小久保裕紀内野手 6連勝に導く気迫の決勝適時打(8月21日、対埼玉西武戦)
「19年間、ご声援いただいたファンの皆様、ありがとうございました。来季からは魂のこもったプレーを皆さんに分かりやすく伝えていきたい」
第11回 東北楽天・田中将大投手 チームに力を与える10回完封劇(8月26日、対北海道日本ハム戦)
「今季は納得のいく投球が少なかったが、8月29日は納得のいく投球ができ、チームに勝利に貢献できて良かった」
第12回 北海道日本ハム・吉川光夫投手 進化を遂げる左腕が気迫の完封劇(9月14日、対福岡ソフトバンク戦)
「今季は日本一になれなかったので、来季は日本一を目指す」
(写真:勢ぞろいした今季の受賞者たち ※前田智、田中は欠席)