“チームのために最も貢献した魂あふれるプレー”に贈られるNPBの「ジョージア魂」賞が今季で4年目を迎え、シーズン開幕を前日に控えた28日、記者発表イベントが都内ホテルで開催された。今季も昨年同様、山田久志氏(元阪急)、衣笠祥雄氏(元広島)、梨田昌孝氏(元近鉄)、工藤公康氏(元西武)、小林光男氏(週刊ベースボール編集長)に加え、当HP編集長の二宮清純が選考委員を務め、シーズン中に全12回、ノミネートプレーを選定する。イベントでは賞創設時より選考委員を務める山田氏が、「先般のWBCでは残念ながら3連覇は達成できなかったが、魂のこもったプレーが数多くあった。ペナントレースでも、そういったプレーが数多く見られるように期待したい」と語った。
(写真:昨年の全日本国民的美少女コンテストでグランプリに輝いた吉本実憂さん(中央)も駆け付けた)
 この賞は缶コーヒーブランド「ジョージア」がプロ野球12球団と提携、さらにNPBパートナー契約を締結して2010年より創設された。今季もシーズン中、2週間に1度、計12回に渡って表彰される。選考委員によってノミネートされた6プレーのなかから、「ジョージア ベースボールパーク」のサイト内でファン投票を実施し、最も多くの票を集めた選手のプレーが賞に選ばれる。また全12回の受賞プレーから、シーズン終了後に、さらにファン投票を行い、年間大賞を決定。6名の選考委員によって選考委員特別賞も選出する。昨年の「ジョージア魂」賞年間大賞には巨人・坂本勇人選手が輝いている。

 今季からはFacebookと連動し、“いいね!”ボタンをクリックすることでも投票可能になり、より気軽に参加できるようになった。投票すると抽選で、ジョージア魂賞のプレゼンターとして表彰式に出席する権利や、液晶テレビ、KONAMIのゲームソフトなどの豪華賞品が当たる。

 イベント内では先のWBCから、各選考委員が「ジョージア魂」賞に値するプレーを発表。多くのファンが真っ先に思い浮かぶのは第2ラウンド初戦の台湾戦、絶体絶命の場面での鳥谷敬の盗塁や井端弘和の同点打だが、日本代表の野手総合コーチを務めた梨田氏は、「その後で牧田和久が陽岱鋼のバントをダイビングキャッチした。このプレーの素晴らしさが忘れられている」と、侍ジャパンの守護神がみせた好フィールディングを絶賛した。

 また大会中、テレビ解説を務めた工藤氏は、同じく台湾戦で8回に1点を勝ち越されて登板し、追加点を与えなかった山口鉄也のピッチングを取り上げた。「今回の大会では打たれたこともあったが、準決勝のプエルトリコ戦でも、これ以上、点をやっちゃいけないところで彼がしっかり抑えてくれた」と巨人時代の後輩を称えた。

 衣笠氏が指摘したのは、井端や内川聖一のバッティングだ。「日本人は外国人に比べて筋力的には落ちる中、どうテクニックで相手ピッチャーを打ち崩すか。これなら世界に通用するという見本を示してくれた」と野手出身ならではの視点を披露した。

 開幕前日とあって、話題は今季の順位予想にも及んだ。選考委員は全員がセ・リーグは巨人を1位予想。巨人については「オープン戦の成績もWBCの代表メンバーが抜けたにもかかわらず、トップだった。選手層の厚さが際立っている」(工藤氏)と誰もが文句なしの評価をつけた。次いで上位にあがってきたのは阪神だ。山田氏は「西岡剛、福留孝介、ブルックス・コンラッドが入って去年より得点力が上がった」と2位に予想。ただ、「藤川球児(カブス)の抜けた穴に誰が来るのか。一番大事なところが埋まっていない」と抑えを不安視した。また工藤氏が2位に推すなど、広島のAクラス入りをあげた選考委員も多かった。
(写真:衣笠氏は古巣の広島を3位に。「2年連続、9月で失敗している」と上位進出への課題を挙げた)

 パ・リーグも全員が1位にしたのはソフトバンク。衣笠氏は「いくら考えても難しい。決め手が見つからない」としながら、ソフトバンクに関しては「戦力ダウンが一番少なかった」と分析する。続いて2位予想が多かったのは東北楽天で、アンドリュー・ジョーンズ、ケーシー・マギーの両外国人の補強がプラスに働くとの見立てだ。梨田氏は「仙台の本拠地は(ラッキーゾーンの設置で)球場が狭くなる。ホームランが出やすくなる」とホームアドバンテージを指摘した。

 また西武も工藤氏が「抑えを大石達也に任せられる。先発、中継ぎ、抑えがしっかりしている」と指摘するなど評価が高かった。一方で、昨季の覇者・北海道日本ハムは優勝はおろか、Aクラス入りをあげた選考委員がひとりもおらず、軒並み厳しい見方となった。

 とはいえ予想は、あくまでも予想だ。梨田氏は昨季の「ジョージア魂」賞の受賞プレーを引きあいに、「中田翔をまさか守備で表彰するとは夢にも思っていなかった。新井良太がまさか4番を打つとも思っていなかった。若い選手や、あまり期待されていない選手がとんでもない活躍をするから目が離せない」と予想を覆すプレーがたくさん生まれることを願っている。今季の第1回「ジョージア魂」賞は4月21日にノミネート6プレーが発表され、同日からファン投票が開始される。

(石田洋之)