身長188センチ、体重91キロと恵まれた体格の持ち主である赤堀大智。50メートル6秒ジャストと足もあり、俊敏な動きで守備にも定評がある。赤堀自身が最も自信を持っているのは肩の強さで、走攻守に高い身体能力を持っている。そんな赤堀も大学時代には挫折を味わったという。小学2年から野球一筋で来た過去を振り返りながら、プロとしての意気込みを訊いた。
―― ドラフトで自分の名前が呼ばれた瞬間の気持ちは?
赤堀: 絶対に指名されるという保証はなかったので、期待と不安とが入り混じっていたのですが、指名されるとしても下位だろうと思っていたんです。そしたら4位で名前を呼ばれたので、本当に驚きました。正直、「まだだろうな」と思っていたので、完全に油断していました。不意打ちのような感じだったんです(笑)。前日までは考えたりしてしまって、あまり眠れないこともあったので、すごく嬉しかったですね。

―― プロを意識し始めたのは?
赤堀: 高校の時も目標にはしていましたが、本格的に目指し始めたのは、日本代表の候補合宿に参加した大学3年の頃からです。それこそプロに行くような選手たちと一緒にプレーをしてみて、「頑張ったら、自分も行けるかもしれない」と思ったんです。それまでは全然届かない世界だと思っていましたが、意外にもそれほどの差はないのかもしれないなと。特に肩の強さだったら、やっていけると自信を持ちました。

―― プロ志望届を出しながら指名を受けなかった3年前との違いは?
赤堀: 大学生の時は、プロを目指していたとはいえ、正直言って、流れに身を任せて野球をしていたという感じでした。ですから、プロに行くにはもうひとつ足りなかったと思うんです。でも、社会人に入って練習やプレーにおいてひとつひとつの意味を考えてやるようになった。そういう意味では、バッティングひとつとっても引き出しが増えたのかなと思います。

―― 具体的な変化は?
赤堀: 変に体勢が崩されての三振が減りましたね。以前は打つポイントが前だったので、崩されることも少なくなかったのですが、今はしっかりと後ろに体重を乗せて、ボールを引きつけて打てるようになりました。

 “消える魔球”に悪戦苦闘

 静岡県・掛川西高校を卒業後、東都リーグに所属する立正大学へと進学した赤堀。投手から野手へと転向した彼は、野球人生初の挫折を味わうこととなる。目の前に立ちはだかった壁を、赤堀はどのようにして乗り越えたのか。

―― これまでの野球人生で転機となったのは?
赤堀: 大学で初めて挫折を味わったことですね。高校まである意味、ちやほやされていて、大学でも当然、すぐに試合に出られるだろうくらいに考えていたんです。そしたら、1年の時はベンチにも入ることができませんでした。

―― レギュラーを取るために取り組んだことは?
赤堀: 部員数が多いので、とにかくどんなかたちでもいいからアピールしなければいけないと思いました。人一倍声を出したり、積極的にアドバイスを求めたりするところから始めました。

―― 技術的な変化は?
赤堀: いいピッチャーばかりなので、コンパクトなスイングを心掛けるようになりましたね。現在も大振りはしないようにしています。ボールに当てないことには、何も始まりませんので。

―― 一番印象に残っているピッチャーは?
赤堀: やっぱり東洋大時代の大場翔太(福岡ソフトバンク)さんですね。僕が2年の秋、4年生の大場さんと対戦したのですが、とてつもない球でした。初対戦では4打数4三振。特にスライダーのキレがすごくて、バットにボールを当てることさえもできませんでした。まさに「消える」という言葉がピッタリでしたね。

―― 対戦が楽しみだったのは?
赤堀: 東浜巨(ソフトバンク1位)ですね。僕が4年の時に亜細亜大に彼が入ってきたのですが、当時からすごいボールを投げていました。春はなかなかヒットを打つことができなかったので、秋は絶対に打ってやろうと思っていたんです。向こうが1年で、こっちは4年ということもありましたからね。そしたらレフトにホームランを打ったんです。スライダーだったのですが、気持ち良かったですね。それと中央大の澤村拓一(巨人)との対戦も楽しかったです。ほとんど打てませんでしたが、彼は真っ直ぐでどんどん押してくるタイプなので、勝負のしがいがありました。

 手応えを感じた2本のHR

 赤堀のパワーを見せつけた一打がある。昨年の都市対抗予選、明治安田生命戦でのホームランだ。理想とする中村剛也(埼玉西武)を彷彿とさせるような放物線を描いた打球は、場外へと消えて行った。しかし、予選前にはノーヒットの試合が続き、スランプに陥っていたという赤堀。彼を浮上させたものとは――。

―― 社会人2年目の昨年は一時、不振に陥った。
赤堀: 無意識にどんどん振りが大きくなってしまって、詰まってばかりいたんです。その時にコーチから「テイクバックせずに、構えたところからそのままバットを振り落とす感じくらいでいい」とアドバイスを受けました。それを実践したところ、ピタッとハマったんです。調子を上げて都市対抗の予選に臨むことができました。

―― 予選の明治安田生命戦では場外ホームラン。
赤堀: 真ん中高めに抜けたスライダーだったのですが、思い切り振ったら、グングン伸びていきました。ちょうど風が強かったのもあって、思った以上に飛んでいきましたね。メチャクチャ気持ち良かったですよ。

―― その後の東京ガス戦ではバックスクリーン弾。
赤堀: 自分でもビックリしましたね。入社して体が大きくなっているので、パワーはだいぶついたかなと思っていましたが、その手応えが感じられた一打でした。

―― プロでの課題は?
赤堀: だいぶバッティング技術は身に付いてきたと思いますが、まだ完璧ではありません。さらにバッティング技術を上げて、確率を高めていきたと思っています。

―― アピールポイントは?
赤堀: 正直、バッティングにはあまり自信がありませんが、守備、特に肩の強さには自信があります。守備でアピールをして、出場機会を増やしていきたいなと思います。

 参加したファン感謝デーで、予想以上のファンの熱さを感じたという赤堀。「主力としてチームを強くして、ベイスターズファンを喜ばせたい」と意気込む。若い選手が多いチームにおいて、即戦力として1年目から一軍での活躍を目指す。

赤堀大智(あかほり・だいち)
1987年4月13日、静岡県生まれ。小学2年から野球を始め、掛川西高3年の夏には投打に活躍し、県予選ベスト4進出に大きく貢献した。高校通算本塁打数は22本。立正大に進学後は投手から外野手に転向。2年春からレギュラーを獲得し、4年時には秋季リーグおよび明治神宮大会を初制覇。2010年、セガサミーに入社し、1年目の関東選抜リーグ戦で新人賞、昨年の社会人関東選手権では首位打者を獲得した。188センチ、91キロ。右投右打。

(聞き手・斎藤寿子)

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