27日、世界選手権モスクワ大会の国内選考会を兼ねた「第32回大阪国際女子マラソン」が大阪・長居陸上競技場を発着点に行われ、タチアナ・ガメラシュミルコ(ウクライナ)が2時間23分58秒で同大会初優勝を果たした。福士加代子(ワコール)が4度目のマラソンで自身最高の2位(2時間24分21秒)に入ったが、派遣記録(2時間23分59秒)には届かず代表内定とはならなかった。3位には渡邊裕子(エディオン)が入った。残る代表選考会は3月の名古屋ウィメンズマラソンとなる。
「まだまだですねぇ!」
 ゴール直後、関係者にこう語った福士だが、言葉とは裏腹に表情は明るかった。独走態勢を築いたものの、残り1キロを切ったところでロンドン五輪5位のガメラシュミルコに逆転された。それでも、タイムは自己ベストを更新し、選考レースのひとつ横浜国際女子マラソンの結果を含めてもトップとなった。

 序盤は福士、渡辺、渋井陽子(三井住友海上)、小崎まり(ノーリツ)、ガメラシュミルコらが先頭集団を形成してレースを展開した。トップグループは5キロを17分9秒、10キロを33分59秒で通過。福士は集団の後方に位置をとり、レース状況をうかがっていた。

 14キロ直前になると、渡邉とガメラシュミルコが遅れ始め、先頭集団は福士、渋井、小崎の3人に絞られた。福士は余裕を感じさせる走りを見せ、変わらず集団の後方をキープする。20キロ地点の通過タイムは1時間7分47秒だった。
 中間点でガメラシュミルコが、22キロ付近で渡邊が追いつき、トップグループは再び5人となった。

 小雪が舞い始めた24キロを境にレースが大きく動く。福士がペースメーカーと先頭集団の距離が開いたところにスッと入り、レースを牽引し始めたのだ。すると、26キロでトップグループから渋井と渡邊が脱落。27キロ地点では小崎とガメラシュミルコも遅れ始め、29キロを通過した時には、福士の独走状態となった。

 福士は過去2度、出場した同大会でいずれも30キロ前後から失速した。しかし、今回は安定した走りを見せ、トップをキープする。自身初のマラソン優勝と世界選手権代表内定へ。あとは残りの距離を逃げ切るだけだった。

 だが、徐々にペースが遅れ出すと、2位のガメラシュミルコの足音が聞こえ始める。35キロ地点で30秒あった差は、40キロを通過した時点では19秒に縮まった。そして、残り920メートルでついに2位転落。結局、ガメラシュミルコに追いつくことはできなかった。それでも、ゴールする福士の顔には笑顔があった。
「(今までの自分に)勝った部分と負けている部分がある。切り替えができなかったし、課題が残った。ただ、これまでと違って、今の力を出し切れた」
 世界選手権の代表には5人が選ばれる。4度目のレースで確かな成長を見せたマラソンランナー・福士の世界デビューが、いよいよ現実味を帯びてきた。