第3回WBCは20日、決勝でドミニカ共和国代表がプエルトリコ代表を3−0で破り、初優勝を収めた。初回、エドウィン・エンカーナシオンの二塁打で2点を先制すると、5回にも1点を追加。5人の継投でプエルトリコ打線を散発3安打に抑え、完封リレーを達成した。ドミニカは今大会、1次ラウンドから無傷の8連勝。史上初の全勝で大会を締めくくった。
 カノ、決勝は無安打もMVP(AT&Tパーク)
プエルトリコ代表    0 = 000000000
ドミニカ共和国代表  3 = 20001000×
(プ)●ジオ−バーゴス−デラトーレ−セデーニョ−カブレラ
(ド)○デドゥーノ−ドテル−ストロップ−カシーヤ−Sロドニー

 野手では大会史上最多の15安打を放ってMVPに輝いたロビンソン・カノ、ホセ・レイエス、ネルソン・クルーズ。投手ではフェルナンド・ロドニー、ペドロ・ストロップ……。バリバリのメジャーリーガーを集めた優勝候補が土つかずの強さをみせつけた。

 試合は立ち上がりの攻撃が分岐点となった。初回、プエルトリコは1番のアンヘル・パガンがヒットで出塁。続くアービング・ファルーが進塁打をみせて1死二塁の先制機をつくる。しかし中軸のカルロス・ベルトラン、ヤディアー・モリーナが連続三振に倒れる。

 一方、ドミニカは日本でも活躍したジャンカルロ(ジオ)・アルバラードを攻め、先頭のホセ・レイエスがライトフェンス直撃の二塁打を放つ。エリック・アイバーが確実に送り、1死三塁。大一番での先取点は勝敗を大きく左右する。プエルトリコは打撃好調のカノを初回からいきなり敬遠した。

 しかし、4番にはエンカーナシオンが控えるのがドミニカの打線だ。2球目のインコースのボールを詰まりながらも、右中間へ運び、三塁走者のみならず、一塁のカノも生還。タイムリー二塁打で2点がスコアボードに刻まれた。

 ドミニカの先発サミュエル・デドゥーノは2回以降も毎回のように走者を背負いながら、プエルトリコに反撃を許さない。3回には2死三塁を切り抜け、4回は先頭のベルトランを歩かせたが、モリーナをゲッツーに仕留めた。5回には四球とワイルドピッチで無死2塁のピンチも、後続を落ち着いて打ち取る。スターターの役割を十分に果たし、相手に主導権を渡さなかった。

 すると直後の攻撃でドミニカが貴重な追加点をあげる。プエルトリコ2番手のヒラム・バーゴスから1死後、9番のアレハンドロ・デアザが三塁へ絶妙なセーフティバントで出塁。続くレイエスはセカンドゴロだったが、ダブルプレーを狙ったプエルトリコの二塁手が一塁走者にタッチしきれず、2死二塁にしてしまう。

 優勝するチームはこういったチャンスを逃さない。アイバーはチェンジアップをうまく拾ってライトの右を破る二塁打。二塁からデアザがホームインを果たし、3−0とリードを広げた。

 この展開になればドミニカは自慢のブルペン陣が威力を発揮する。6回からはオクタビオ・ドテル、ストロップ、サンディアゴ・カシーヤと防御率0.00のピッチャーがバトンをつないでいく。プエルトリコは7回にヒットと四球で無死一、二塁の好機を迎えたが、ストロップが連続三振で火の粉を振り払った。

 そして最終回は大会中、全試合で最後を締めくくったロドニーがマウンドへ。味方のエラーで走者を許したものの、2死からルイス・フィゲロアにチェンジアップでバットに空を切らせる。8試合で7セーブをあげた絶対的守護神が歓喜のフィナーレの中心となった。

 ドミニカは戦前、強力打線と比べて投手陣が弱点とみられていた。だが、フタを開けてみれば、先発、中継ぎ、抑えが安定し、他を寄せ付けなかった。第1回大会からの米国と並ぶ“本命”が、投打にバランスのとれたチームをつくりあげ、3度目の正直で栄冠にたどり着いた。